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equibreed  作者: NG
1/8

1:序

はじまりのはじまり、すべてが生まれる前。









世界は混沌に包まれていた。 上下も光闇すらも混ざり合い、時の概念すらなく。


あるものがただあるがまま、あり続ける。


そういう状況が永遠とも一瞬ともとれぬ間続いていた。





ある時、その混沌の中から音が生じた。


混沌にあって生じた音は、次の音を呼び、音と音が重なり調和が生まれた。


調和が生まれることにより、混沌の中で初めて差異が生まれた。




差異から自我が生まれた。


自我は観察を生んだ。


観察は意志を組み上げた。


互いの意志が交差して、時間が誕生した。


混沌は不和を生じさせて調和を排除しようと試みたが、調和は混沌を追い返した。


最初の諍いは永遠に埋まらぬ溝を生み、長い間調和と混沌は争っていた。





調和と混沌は拮抗しており、争いに結末が訪れないと悟り始めた。


そして調和と混沌は互いに同じだけ、世界を分け合った。


各々は自らの領域を作り始めた。


調和は世界を整ったものにしようとした。


天と地を創り、昼と夜を生み、山と海を拵えた。


そして最後に生と死を生んで一つの形に落とし込んだ。生き物の始まりである。





調和の世界は美しく整えられた。





混沌は、自ら分けられた領域に対して関心を持つことはなかった。


ただひたすら、世が再び混沌で満たされることを望んだ。


混沌は自らのうちにこもり、不満と呪詛を繰り返すうちに自我を失い、やがて世界を一つの混沌にする力そのものとなった。



やがて混沌は調和の世界を蝕み始めた。


調和は混沌に呼びかけるも、自我を失った混沌は応えることが出来ない。


調和はやむなく混沌を滅ぼそうとするが、それはかつての差異のない、単一の世界になることを意味していた。




調和は非常に悩んだ。どちらが滅んでも、世界はただ一つで満たされてしまう。


差異から生じた均衡は調和にとって非常に美しく、また誇らしいものだった。


世界を守るためには、均衡を維持せねばならなかった。


調和は、混沌に立ち向かう為の知性ある生き物を創った。


光と風からエルフを


大地と水からドワーフを


そしてエルフとドワーフの資質を半分づつ継いだものを作った


これが人である。


調和はそれぞれに男と女を創り、先んじた動物同様つがいを以て調和となした。




しかし混沌の蝕みはかれらには耐え難く、調和はイクイブリードと呼ばれる意志なき巨人を四体作り上げた。




太陽のベルタイン

月のエルヴェイティ

星のアルセスト

地のリザンクシア




男女のつがいでなければ乗ることすら許されない。


これらを用いることで、ようやく世界に均衡が訪れた。


滅びもせず、しかし滅びの気配は消えず。


永久に備え、永久に戦いを続けていく。


どちらかが滅びるか、滅ぼされるまで。


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