ヨン組のヨン様達
「2組の女子強いんだね~。俺たちも負けないようにしなくちゃ。」
男子の歓声をかき消すように、少し低めのテノールボイスがすぐそばで聞こえた。
「あ!!空と団地じゃん~!!久しぶり。俺らだって負けねーからな!」
空と団地??知らない名前だ、4組かなと思いながら後ろを振り向く
「えイケメンんんん!もしやこれがヨン組のヨン様じゃね!え?なに千賀知り合いなの?!」
「おう!じゅんにも紹介してやるよ。空、団地!こいつ俺の幼馴染の香取純!んで、じゅんこっちの色素薄いやつが花見空で、こっちのノッポが霧生団地《きりゅう 団地》!」
ジーーーザスッ!!
神様!!この世に、こんな美青年達を生み出してくれてありがとう。そりゃこんだけの美貌なら子猿達が騒ぐのも分かるわ、うん。
花見空と呼ばれた子は、千賀の下手くそな説明の通り確かに色素が薄いなと思った。
少し癖毛かかった色素の薄いベージュの髪に、パッチリおメメ!目の色もうっすら茶色くて薄い。
霧生団地と呼ばれた子は身長が180センチゆうに超えているだろう。
目付きは少し悪いが、漆黒の髪を後ろに流していて赤いピアスも似合っている。うん、イケメンだ。
なんていうかすごいんだよ!
私の語源力じゃこんな風にしか表せないけど!かっちんがハンカチ噛んでキーって叫んでるくらい!!
「あれ?でもじゅん、ほかの子達みたいに好きー!!付き合ってぇー!とか言わないね。」
「おめー何年私と一緒いんだよ?今まで私がただのイケメンごときになびいて来たかよ?」
「確かにまあ、あることを除いてね!」
なんだ、何か文句あるのかコラ?でも、イケメンとの子孫は残してもいいかな?とは思うよ。あの顔で微笑みかけられたらそりゃ頬も熱くなるさ。
「よろしくね。俺のことは、空って呼んでね、俺じゅんじゅんて呼んでいいーかなー?」
あ察しました。この子は千賀と一緒でアホの子だ。なんて失礼な事考えなから、握手する。
ん?
ふと目線を下にして、空が手首に着けている時計を目にする。こここ、こうきゅう時計…。
「空さんや、もしかして主はお金持ちでございましょうか?」
「えー?どうかなあ~普通だと思うけどー。」
「あ!空んち、めっちゃくちゃ金持ちだよ!俺この前自宅にお邪魔させてもらったけど何かもうヤバかった!」
「結婚してください!」
えーほら始まったよ、純ちゃんは金持ちに目がないんだからー。だよなーまじ、貞操ねえよな!とか聞こえるけど無視無視!
「だが断る!!俺、学生のうちは勉学に励むって決めたんだ。プロポーズしてくれたのは嬉しいけど、ごめんね。友達として仲良くするのはどうかな?」
「てな感じで、下心ありあり女子に迫られた時こんな風に言えって空の母ちゃんが言ってたよな!」
「いやそれ言ってよかったの?千賀君。まあ、こんな事くらいで諦めるような純ちゃんとは到底思わないけど。」
「Yes,of course!!」
そう!別に結婚できなくてもいいのさ!お金持ちとお友達になって、あわよくばお家にご招待されて、あわよくば空のお母様に認められて結婚できたらな!って思うけど。
あ、そんな目でみないで、全員にそんな目で見られたらさすがに傷ついちゃう!純ちゃん拗らせちゃうぞ!