古い一族とズッ友
かっちん弄りを止めて話を戻そう。私が急に顔つきを変えたから皆も黙ってこちらを伺う。
生まれた時から私とかっちんにとってアレは、当たり前に見える存在だった。
赤ん坊の頃から、何もないところを見て喋ったり、泣き出してしまう私達を見て両親はとてもビックリしたと言っていた。しかし、
あぁこの子達は「香取一族」の血を色濃く受け継いで生まれてきたのだなと、喜びと悲しみを同時に感じたという。
というのも「香取一族」とは古代からある古い一族で、妖怪というものと長らく共存してきたとお爺ちゃんから聞いたのだ。
昔は妖怪が見える人間達がほとんどだった、人間が捨てた物に命が宿って生まれたもの、自然から生まれたもの、無害なものもいれば危害を加えるものもいた。
後者の方は今でも変わらない、だが一つ異なる事がある。
「それは今でいう現代で妖怪が見える人間が、私のようにほとんどいなくなったって事ね~。」
いや、信じなくなった。と言っても間違いではないだろう。
「私達と一緒にいるせいで、見えることもあるし巻き込んでしまうこともある…ごめんね強子。」
そして千賀も…
あんな事がなければ!私があんな所にいかなければと!何度悔やんでも悔やみきれない思いが心をしめて自然と頭が深く垂れていく。
「じゅん!!そんな顔すんなよ!見えるようになったからって悪い事ばっかりじゃねーし。俺は、嬉しいよ!それに、この力を授かるという事はとても素晴らしい事だって、じゅんのジイチャンが言ってたじゃねーか。」
そうだ悪いことばっかりじゃない。両親でさえ受け継がれていないこの力を誇らしく思わなければ。
ずっと、これからも平和な世の中を築いて行くために、妖怪と人間は共存していけるという事を後世へ伝えていくために!
仮にも「香取」という家名を背負っているんだから!それは少しプレッシャーでもあるけど、私には頼れる祖父と仲間がいるんだから……
「私が皆を守るよ!だからずっと友達でいてね!」
「俺も頑張る!じゅんだけが背負うことねーよ。」
「当たり前じゃない。純ちゃんに助けてもらったから、今の私がいるんだし。それに私達もう…」
「「「ズッ友だよね!!!!」」」
「ちょっとおおおおおあ!!僕もいるんですけどぉー?!微笑みあって手繋いでるとこ、水指すようで悪いんだけどさあ!なんかデジャブ!これ朝もやったよね?!泣くよ?泣いていい?てゆうか、僕と純ちゃんだって立派な幼馴染だよね?なんで僕だけ仲間外れ感バリバリあるの?!」
「だってあんたこっちいたの幼稚園の途中までじゃん!か弱い私を置いて引っ越しといて、のこのこ中学の途中で戻ってきやがって!!お父さんが覚えてなかったら、てめえの存在なんかとっくに忘れてたわ!」
「ごめんねえええ!てかそこまで言うー?!確かに僕の顔平凡だけど!!…はぁ僕も何かチャームポイントとか作ろうかな。」
「あっそろそろ予鈴なるじゃん、着替えなきゃ。」
「純ちゃん、女子更衣室行きましょ~。」
「また後でな~。ほら、かっちん泣いてないで着替えなきゃ置いてくからな!」
「なんで僕だけこんな扱いなの。」