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悪書ポスト

実在の団体とは関係ありません。


 なんでも最近はJTPAなる組織が、悪書を焚書する運動をやっているらしい。検索してみると正式名称は「正義たる教師と親の連合」というらしい。名前の通り、教師と親から構成される団体であり、小中学校に所属する教師と、そこに子供を通わせる親は強制加入らしい。その中では持ち回りで強制労働が行われているとか書いてあった。

 ホームページを見ると、「悪書を焚書する運動について」とでかでかと書いてある。そもそも焚書とは本を燃やすことだから、悪書を焚書とは意味がかぶっている気もする。

 なんでも、悪書とJTPAが認定した本を白いポストに入れておくと、それを回収して燃やすらしい。写真もついている。すごい。学校のグラウンドらしき場所で燃える本、その後ろにいる人たちは本を運んだり燃やしたりした人なのだろう。彼らも強制労働させられているのだろうか。それにしてはやたら明るい顔をしている。焚書という偉業を成し遂げたのだからそれもそうかもしれない。なんせ秦の始皇帝と同じレベルの偉業である。あの広い中国を始めて統一した偉人のやることを日本で再現できたのだからやりがいがあるのは考えてみれば当然だ。しかし焚書だけでは不十分だから坑儒もしなければなるまい。そこまでやって初めてやり切ったと言えるだろう。彼らが坑儒を始めるのはいつだろうかと活動予定を見てみたが、まだない。気合いが足りないのか人手が足りないのか、それとも埋める場所がないのか。流石に学校のグラウンドに埋めたらまずいだろうし、第一学校の七不思議の題材になってしまう。

 そういえばうちの近くにも白いポストがあった。イメチェンかと思っていたが、焚書活動であろうことが今わかった。そういえば燃えるごみの回収日が近かった。

 ゴミを持って近づいてみると、なるほど消えかかった字で悪書ポストと書いてある。ゴミを突っ込むと、背中から声をかけられた。おおっとこれはまずいのではないか。

「ご協力ありがとうございます」

 ああよかった、背中からだからゴミとはわからなかったようだ。私に声をかけたのは中年に差し掛かる直前ぐらいの女性で、白い雑誌をいくらか抱えている。

「これ、もしよければ、私たちJTPAの活動記録です!」

「ええ、悪書はあのポストですよ」

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