竹原 悠二(1)
「ふぅ、やっと遊べる……」
おれの名前は竹原 悠二。専門学生でゲーム会社に就職できるよう、日々精進している。今は、自転車で専門学校からマンションに帰る途中だ。専門学校からマンションまでは自転車で十五分ぐらい掛かる。跳ばせば十分ぐらいで到着するだろう。
「おっと、信号が赤だ」
おれは自転車にブレーキをかけて止まり、おれの前の道路を走る車を見る。この前、読んだ小説は交通事故で死んで異界にトリップするという話だった。人間は一度死んだら、ナニかに生まれ変わる。ナニかとは、人それぞれで、厳密にはわかっていない。
だけどおれは初めて"仮想現実"という異界を生きていく。だから、おれは楽しみにしている。現実を超えた仮想現実になるから。
自転車を自転車置き場に置いて、鍵をかける。どんな時代にも泥棒がいるからだ。それから三階の一番奥の扉を解除して、家に入る。
「ただいま……」
シーンと静まっている。それもそうだ。おれは地方出身者で、このマンションで一人暮らしをしている。まぁ、ある意味、自由があるのでゲームはやりたい放題だ。おれは真っ直ぐに自分の部屋に向かう。そこにあるのは仮想現実に入るためのイスとヘルメットとグローブがある。最近のゲームはソレが支流となっている。ほんの数年前までは携帯型のゲーム機やテレビ画面に繋げてコントローラーでピコピコするゲーム機もあったというのに……。そう思いながら、おれは鞄をベッドに置く。後はイスに座り、ヘルメットを装着する。すると目の前に文字が現れる。
……バーチャルネットシステムオンライン、起動します。ユーザー認証、竹原 悠二。本人確認。本人確認しました。ようこそ、バーチャルネットシステムへ。
その間におれは、グローブをはめる。よし、全ての準備は整った。
「おれを"仮想現実"に導け」
……了解しました。バーチャルネットシステム、起動致します。