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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

トロイメライ

作者: 杏ひふみ

ここはとある小さな病院。産科医院である。

院長が直接執刀するような、小さな病院。

そこに関して、少し妙なビデオが見つかった。


「これより、嬰児摘出手術を行う。」

院長の声と共に手術が始まる。摘出、という表現からも分かるように、帝王切開手術である。

院長はメスを受け取り、対象の腹を切り開く。

腹部の肉は厚く、刃は通りにくい。

であるからなのか、院長は力を込めて開腹を施していた。

……にしてもおかしい。普通はこれ程力を入れて切る事は無い。

岩に杭を打ち込むようなその動作からは狂喜染みた物さえ覚える。

周りの者はいつもの事と慣れているのだろう、微動だにしない。

無機質な心電図の音だけが響いていた。それがこの舞台を一層不気味なものへと変えた。

メスの刃は腹膜を突き破り、子宮へ、更にはそれすらも突き破り、胎児へと突き刺さる。

院長は悦びの笑みを浮かべ、胎児を取り上げた。女の子である。

母体に由来するのか、或いは彼女によるものなのか、胎児は鮮血の衣を纏っていた。

院長はその子を床に叩き落とし、頭を踏み付けた。

命の弾ける音と共に、深紅の花が床に広がった。


ビデオはそこで終わっていた。

私は今その病院の前にいる。

いや、病院だった場所というべきだろうか。

とうの昔に閉業しており、廃病院となっていたのだ。

私は、惹かれるかの如く足を踏み入れた。


中は薄暗く、閑散としている。

流れる空気は冷たい。一歩、一歩と歩みを進める度にリノリウムの音が岩に染み入るように響き渡る。

流れる時間が異様に長く感じられた。一分一秒が永遠のようだ。

つまり私は今この病院と一体化しているのだ。

そう考える事にして足を進めた。


私は目的地に辿り着く。第二手術室と書かれたプレートを見て、安心感を覚えつつその部屋の扉を開けた。

中は荒れ果てていた。機材は倒れ、ベッドのシーツには得体の知れない虫が湧いており、所々穴が空いていた。

照明やベッドの骨組みなどの金属部は光を照り返す事の無い鈍色をしており、所々に赤茶けた錆が見られる。

ふと床を見る。一面にどす黒い色をした「何か」――人の体液であった事は言うまでも無い――が広がっていた。

私は喜びのあまり吐き気を覚え、うずくまった。


そして、影が差している事に気付く。

私が死んだのは言うまでも無い。

如何でしたか?駄作でした?ありがとうございます。

最後まで読んで頂いただけで恐懼感激でございますとも。

批判コメント等頂けますと幸いです。宜しくお願いします。

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