第三章<美麗なアイドルと不機嫌な刑事>
「はぁ?
あいつは何をご機嫌斜めになっているんだ。
まったく、吸血鬼というやつは本当に意味不明な種族だな。」
と、春樹は呟きながら後をついてきたけど。
違うでしょ!
吸血鬼とか関係ないからっ!
あんたが乙女心がわからない、野暮で粗野な男だからでしょうが。
と、文句言ってやりたかったけどね。
春樹に言っても詮無い事なので、私は無視を決め込んだ。
フォトフタジオの中に入ると、そこはもう眩しい程の照明と芸能界独特の煌びやかな世界が広がっているように感じた。
撮影の舞台にあがっていたのは桜庭 優のグループ、sprintersのメンバー達。
「はうぅ、思わず目の保養ぅ~っ。」
だってだって!
人気№1の桜庭 優もだけど、他のメンバーも超々格好良いんだもん。
sprintersのリーダー、長田 裕仁は、クールな目元とシャープな顔つきが超格好良い。
それに、健康的な肉体美と、爽やかなスポーツマン風のイケメン、香山 良治。
内向的かつ、ナイーブで繊細な性格と、華奢な少女のような中性的な魅力が売りの中里 瞬。
見た目だけで言えば、春樹に近いかな。
あえて言うなら、ロックシンガーがつけているような髑髏のネックレスがマイナスポイントかしら。
もうもうもう。
なんだか頭がくらくらしてきそうよ?
あぁ、刑事やってて良かったぁ!
なんてね。
「おい、そこの色ボケのアホぅ。
ちょっと男にモテないからって物欲しそうな顔をするな。
隣にいる俺が恥ずかしいだろうが。」
しっっつれいね!
誰がモテない女ですって?
これでも署内では美貌のアイドルって…。
言われてたんだからぁ。
なんだか最近では、アバウティー美紅とか言われてるけど。
最近、なんだかおかしいのよ。
誰も私に言い寄ってこなくなったし、こっちが男性に接近しても気のせいか、一線引かれてるような気もするし。
あまり君と親しくすると、睨まれるから。
とか言われるし。
なんの事か、さっぱりわからないの。
うーん。
ま、いっかぁ。
細かい事は気にしない!
人生、万事塞翁が馬っていうしね。
っていうか、なぁんかフォトスタジオに入ってから春樹が不機嫌なのよね。
まぁ、私は思わぬ目の保養が出来たから機嫌直ったんだけどね。
「ぼさっとしてないで、とっとと事情聴取を始めるぞ。
俺達はアイドルの物見遊山が目的で来た訳ではないのだからな。」
わかってますよぉ~だ!
ったくぅ、なんなのよ春樹ったらぁ。




