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吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
<第1章>吸血鬼ストーカー殺人事件
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第一章<AVGH>


西暦5500年…

東京…


近代化が進み、車は運転手を必要としなくなった。

全てのエネルギーは宇宙光発電で賄えるようになった、近未来都市…


だが、いつの時代であろうと人が人として生き続ける限り争いの種は尽きず、今日もまたどこかで悪質な犯罪がまかり通っている。

ただ一つの違い…。

それは中世より闇から闇へと密かに生き続け、人類にとっての害悪に他ならなかった吸血鬼と、それを恐れ続けた人間が、医学の発展にともない人工血液を作るのに成功して以降、共存繁栄の道を歩んできたという事実だけではないだろうか。

しかしだからといって共存によって両者に安寧の時を迎えたという訳ではない。

吸血鬼の中には自らの悦楽によって人を襲う醜悪なる吸血鬼もいて、さらには闇ルートで人類の血を金に換える闇ブローカーなるマフィアが絡んだ事件にまで発展する始末…。


やがて事態を重く見た人類吸血鬼連合政府は、警察の組織の一つに吸血鬼専門の犯罪捜査を行うAVGH[アンチ・ヴァンパイア・ガード・オブ・ザ・ヒューマン]、アブジーという組織を結成するに至ったのである。


結局あれから一晩中こっぴどく有り難いお小言を頂いた私は、終わった安堵感で大きな欠伸をした。

私の名前は上条 美紅。

実家は京都なんだけど、私はその潜在能力と実力?をかわれてアブジー結成のおりに東京に転勤とあいなった訳。

上条家は平安時代より続く名門の旧華族の家柄でもあり、御先祖様はかつて、あの有名な安倍晴明という陰陽師と死闘を繰り広げたという大妖怪の末裔らしい。

ま、ひらたく言えば日本発祥の和風吸血鬼一族の一つらしいの。

今はルーマニアやトランシルバニアが主体の吸血鬼世界連合に加盟しているんだけどね。

確かに世間一般に見れば、ドラキュラ伯爵とかカーミラ夫人とかのイメージといい、あちらが本家と言われれば反論しても詮無い事だしね。

とまぁ、私の自己紹介はこんなものでいいかしら?

あとは…、そうね。

私の家系は16歳になった時点で歳が止まるって事と、本家と違って寿命があるって事ぐらい。

うちの家系で私が知る限り、最も長く生きた長老様[私の曽祖父様ね?]が200歳だったから、それくらいは生きれるみたい。

だから永遠に生きれる本家の吸血鬼とは、だいぶ違うわよね。

でもね。

良い所だって、沢山あるのよ?

まず女として一番気になるのは結婚とか出産。

本家では基本的に人間と吸血鬼との結婚は御法度ってなってるの。

理由はまぁ、いろいろあるんだけどね。

まず第一には、種族の劇的な増加を防ぐ為。

愛する人には自分と同じように長く生きていて欲しい。

そういう気持ちって、人間も吸血鬼も関係ないって思うの。

まぁ私の所みたいに感染症のような力を持たない種族は例外として免除されてるけどね。

それと、本家の吸血鬼の女性は人間の男性とは子供をもうける事が出来ない。

なんたって本家の人々ってアンデット…。

つまり一度人間として死んで、それから吸血鬼として第二の人生を歩んでいるから。

あんまり言いたくないけど、欧米の本家の女性の中には子供が生まれないのを良い事に、風俗に勤めたり娼婦なんかをやって生計をたてている人もいる…。

でもそういうのって嫌よねぇ。

あえて否定はしないけど、私なら人生を出来るだけまっとうに生きたいわ。

第一、好きでもない男性と…その…、あんな事や…こんな…事を…。

あんもう!わかるでしょ?

私だって花の独身女性なんだからぁ!

ごほんごほん、うん。

話を本題に戻すね?

吸血鬼世界連合って組織を紹介しとくね。

貴族と呼ばれる、一部の真祖[吸血鬼の元祖って言えば良いかしら]は私達種族と一緒で生まれながらの吸血鬼なの。

吸血鬼世界連合の中心は、その真祖が政治や経済の中枢を担っているの。

そして数年に一度、選挙とかもあって政治家も変わったりする。

まぁ人間の世界と違って党とかはないけど。

吸血鬼の属性を持つ者は、すべからく吸血鬼世界連合に加盟しないと人間達からその存在を認めてもらえないし、当然市民権を取得する事も出来ない。

で、吸血鬼って属性は世界中に様々あるんだけど、本家と違って人間との結婚を許される種族もかなりあるし、その趣向も弱点も違いも千差万別だったりする。

私達なんて燦々と降り注ぐ太陽もへっちゃら!

だって本家と違って生きてるんですもの。

寿命があるって以外に目立った弱点もないしね。

それに人間の男性と結ばれて出産だって出来るんだからぁ。

そういう人達は吸血鬼世界連合から祝福を受けて、ヴァンピールって称号を授かったりするのよ。

私だって今年で20歳…。

社会人になったばかりでなんだけど、結婚だって知っておきたいから吸血鬼法律辞典を調べて勉強も沢山したの。

こういう知識も、言わばそのお陰だったりする。

ついでに吸血鬼の種類についても、教えておくわね?

吸血鬼の種族は様々で多岐に及ぶんだけど、種類だけは二種類しかないの。

さっき言ったように、私や本家のような元々生まれながらに吸血鬼という真祖。

そして咬まれた人間が吸血鬼になる死徒。

この二種類の違いは、その力もさることながら主人と配下…、まぁ言えば下僕ね。

の関係が一般的かな。

とはいえ、それは昔の話。

今は魔力や妖力以外で大別する事はないみたい。

当然よね、そんなの人権侵害だもの。

ま、ざっとこんな所かしら。



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