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吸血鬼犯罪捜査官 美紅  作者: 城島 剣騎
第5章<吸血鬼医院殺人事件>
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第五章<事件現場にて>


立川医院に到着した時、すでに時刻は3時を回っていた。

パトカーを降りた時に出迎えてくれたのは、野川 智弘くんだった。

私の親友、シンディーは当然日の光が致命傷となるので出迎えには出ていない。

まぁ、そりゃそうよね。

一般的に吸血鬼にとって日の光は弱点以外の何物でもないんだから。

「御苦労さまです、藤田警部補。

わざわざ来て頂いて申し訳ありません。」

智弘くんって、本当にいつも勤勉で礼儀正しくて素敵よねぇ。

学校では生徒会長だったというのも、頷ける。

ちょっと…、というか、かなりの童顔なんだけどね。

でも芯はしっかりしているし、正義感も強い。

明るくて活発で、そして利発な可愛い感じの少年。

なんか春樹を少年にしたら、こんな感じなんだろうなって思う。

くせっけな所も、よく似ている。

春樹の弟分というより本当の弟みたい。

多分、実際そうだと言われても反論するものはいないよね。

ただ違うのは、智弘くんの瞳は優しげな癒し系なのだけれど春樹は細目で陰険そう。

っていうより、本当に陰険なんだけどね。

それと、智弘くんは私と一緒でキャリア官僚だったりする。

つまり将来的には、悲しいかな春樹は追い越されてしまう運命なのよ。

ノンキャリアって、辛いわね。

「で、野川警部補。

殺害されたのは、立川医院に勤務している準看護師と看護師の二名で間違いないのだな?」

すると智弘くんは、間髪いれずに答えた。

「えぇ、1人は橋本 優衣さん。

そして看護師の高山 健吾さんの二名です。

いずれも、砂になっている事から、死徒だったと思われます。

そして死体…、というより砂の上には白樺の杭が二本あった事から推測すると、何者かによって殺害されたのは明らかです。」

なんだろう?

春樹ったら、報告を聞いてすぐに考え事を始めた。

が、しばしの沈黙の後、再び春樹の口が開いた。

「ともかく、その状況を中で詳しく聞かせて貰おうか。」

と言いつつ、智弘くんと共に医院がある地下への階段を降り始めた。

「ちょっとぉ、私を置き去りにしないでよね!」

なんか私、眼中にないって感じ。

何よ何よぉ、男同士くっついちゃってぇ。

私が眉をしかめると、智弘くんは不意に私の方へと振り返った。

あ、私の事も気にかけてくれるのね。

そう思って笑顔を向けると、途端に不機嫌な顔をした智弘くんは急に春樹の腕を強引に組んで、あてつけがましく私に優越感にも似た微笑みを見せた。

「ええっ?

う、うそ…。

智弘くんってまさか、そっち系なのぉ?」

ガーン!

ちょっと、ショックぅ。

あれだけの美少年が、まさかBLだなんてぇ。

…。

でも待って?

確か、智弘くんってシンディーと付き合ってたはず…だよね?

って事はまさか…。

りりり、両刀使いなのぉ?

私は驚愕のあまり、思わず顔がムンクになってしまった。


地下への階段を下りて扉を開けると、すぐ隣にはナースステーションがあった。

で、私の顔を見たシンディー・ジョナサンが一目散に私の胸に飛び込んできた。

「ハローぅ、美紅・アバウティー!

あぁ、良かったぁ。

事件が解決しない上に、太陽まで登ってきたから帰るに帰れなかったデース。

我が愛しの親友、美紅・アバウティーに後は任せマース!」

ちょっとちょっと!

いきなり、それはないでしょう。

第一、私の名字は上条であってアバウティーじゃないもん。

彼女の名前は、はシンディ・ジョナサン。

とても陽気なアメリカ人で、なんでもネイティブの血を受け継いでいる数少ないネイティブアメリカンらしいの。

そのせいかな?

ちょっと陽気すぎてラテン系の吸血姫じゃないかと、思わず勘違いしてしまいそうになる。




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