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ある社長の苦難

作者: バンズ

 昔々、それはバブル崩壊と言われた時代のことです。とある大企業の社長が、頭を抱えて困っていました。

「どうしよう、バブルがはじけてしまった。このままでは、わが社の商品が売れなくなってしまう」

 その会社の商品は非常に高額で、しかも生活する上では全く必要のないものでした。バブル期には、捨てるようにお金をつぎ込む人もたくさんいたのですが、それはもう期待できそうにありません。もし商品が売れない状態が続けば、いつかは倒産してしまいそうでした。

 困り果てた社長は、何か良い案はないかと、社員から解決策を募りました。

 すると、一人の社員が手を挙げました。

「私に考えがあります。今までにない、新しい商品をつくればいいのです」

 社長は身を乗り出して聞きました。

「どんな商品だ、言ってみろ」

 しかし社員は、少し困ったように答えました。

「はい。しかし、それはわが社だけでは十分な成果は出せないものなのです。社長にはぜひ、やっていただかなくてはならないことがあるのですが……」

 社員の目をじっと見て、社長はうなずきました。

「かまわん、会社のためなら何でもしよう」

 その言葉を聞いて、社員は答えました。

「……それでは、国と交渉してください」


 翌月、社長は国の機関の大臣と、高級料亭で会談を行いました。大臣はそこで贅沢の限りを尽くし、社長の話を聞いて、わかったと大きくうなずきました。大臣の帰り際、社長は包みを差し出し、「ささ、どうぞお土産に」と言って大臣に渡しました。大臣は大変嬉しそうに微笑み、帰って行きました。

 会談が成功に終わり、社長はほっと胸をなでおろしました。

「これで来年度から、わが社は安泰だな」


 さらに一年経って、ひとつの業界に大きな波がやってきました。公務員試験がバブル崩壊前に比べ、格段に難しくなったのです。「新規開設! 受講生募集! 一緒に夢を叶えよう!」これは例の会社の宣伝文句、商品の広告です。この年からの公務員試験対策の講座、それがあの会社、資格専門学校の新商品でした。他の資格専門学校に先んじて、いち早く新公務員試験に対応した講座を打ち立てたのでした。

 ある晩、社長はひとり、受講者の数を見て満足そうに酒を呑んでいました。全ては、一年前のあの社員の言葉から始まったことでした。社長は夢見心地に、その言葉を思い出しました。

「バブル崩壊後は、安定した将来を売りましょう」

 読んでいただきありがとうございます。こんにちは、バンズです。これは公務員講座のパンフレットを見て、どうしてこの講座はこんなに高いのだろうと考えながら書いたものです。実際にはこのようなことは起きていないと思うので、公務員の方や公務員を目指している方はお気になさらず。むしろ、公務員志望の人、応援しますよ!! がんばって!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 賄賂で試験問題を……。ところがこういうことが起きてそうなのが怖いですね。職員採用試験でありましたし。
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