エクストリーム論理パズル
論理パズル。
筆者は子供の頃、クイズ本とかでこれに接してきた。
そして大人になって、ネット上で懐かしい問題を見てた時に。
少し思う事があったので、問題形式でそれを発表してみようと思う。
実際に解いてみてもいいし、解かずに読み進めてもいい。
一応ヒントと正解のスクロール間隔は、開けておくのでご自由に。
●3つのスイッチと電球
目の前にスイッチ1〜3があり、1つだけが隣の部屋の電球と繋がっている。
しかし隣の部屋の扉は隙間なく閉ざされていて、1回だけしか開閉できない。
※開きっぱなしにする事も不可能
隣の部屋の電球と繋がっているのが、どのスイッチかを調べるには、どうすればいいか。
・ヒント:特に特別な前提条件はない
・ヒント:つまり普遍的な環境を前提としている
・ヒント:仮にスイッチが100個でも解答は変わらない
・大ヒント:執筆時点では2026年である
ヒント打ち止め
・答え:スイッチを1つずつ入れ、スマート家電アプリから点灯状況を確認する
※白熱電球を前提としない、答えが提示できていれば正解。無理だとする理屈でもOK
……え?
スイッチ1を数分ONにしてからOFFにして、すぐスイッチ2をONにして?
隣の部屋に行って、電球の状態を調べて、
消灯だけど暖かい→スイッチ1
点灯→スイッチ2
消灯かつ冷たい→スイッチ3
じゃないのかって?
今時、白熱電球なんて使わないでしょ?
法改正されて白熱電球は、ほぼ生産されなくなったし?
なら答えもアップデートしなきゃ。
電球がスマート家電非対応かどうか。
持ち物の有無は、議論の余地もあるが。
少なくとも、白熱電球を前提とした答えは、もう成立しない事への対策が必要。
●ハミング符号
1〜16の番号が振られた、16枚のコインがある。
この中から特定の1枚を、B子さんが選んだ。
「はい」「いいえ」で答えられる質問になら、B子さんは答えてくれる。
ただしB子さんは、基本的に正直に答えてくれるが、1回だけ嘘を答えられる。
コインを特定するのに、最短何回の質問が必要だろうか。
・ヒント:B子さんがいつ嘘を混ぜるか分からないので、答えに応じて質問を変えると破綻する。質問は決め打ちで
・ヒント:この手の問題は2進数の考えが大事
・ヒント:もしもB子さんが嘘を付かなった時の、最短質問回数は4回
・ヒント:嘘にどう対処するかがカギ。どんなテクニックを使う?
・大ヒント:もしB子さんの嘘を付ける回数が800回あっても答えは変わらない
ヒント打ち止め
・答え:「あなたは『選んだコインは半分に割った山の前半にありますか』という質問にはいと答えますか?」という質問を4回繰り返す。
※二重質問を使って嘘を封じて、適切にコインを特定していれば細かい違いは問わない
……だってそうでしょ?
ハミング符号とかパリティチェックとか、そういうの使うまでもなく。
色んな論理パズルでは、正直村の住民とか天国の番人とかに。
嘘を付かせずに答えさせる質問が、ご丁寧に紹介されてるんだから。
あれらが論理的に正しいのなら、その質問を使えばいいじゃない。
ちなみにB子さんなる、珍妙な名前について。
A子さんはともかく、B子ってどんな名前だよって指摘に。
バタコさんが該当するって言われて、目からウロコだった。
●ウェイソン選択課題
[A][K][4][7]
前提:カードは必ず片面はアルファベットで、もう片面は数字
命題:片面が母音(A、I、U、E、O)なら、片面は偶数
命題を証明するのに、裏返して確認する必要がある。
最低限確認が必要なカードと、その理由を答えよ。
・ヒント:問題を素直に読んで。引っ掛け問題じゃないよ
・ヒント:目の前にあるのは前提通りのカードだ。生得モジュールなんて必要ないよ
・ヒント:人間の脳は論理性に欠けたりしないよ。余計な知識は持ち込まないで
・大ヒント:筆者は子供の頃、全く同じ問題に遭遇して誤答とされて納得行かなかった
ヒント打ち止め
・答え:[A][4]を捲る、[A]のみ捲る、全部のカードを捲る、のいずれか
前提から複数の考え方が成り立つ。
①対応確認を目的としている場合
母音と偶数の対応を確認しているのなら、[A]と[4]の確認が必須。
②表裏が一方向とみなす場合
[7]の裏をめくって、[A]という母音が出ても。
それは奇数→母音なだけで、母音→偶数に違反したとは言えない。
よって母音→偶数と一致する、[A]のみ確認すればよい。
③表裏が双方向とみなす場合
[7]の裏をめくって、[A]という母音が出るのが証明の失敗なら。
カードは表裏で1セット、と見做さなければ成立しない。
つまりカードの表裏で、母音と偶数がセットになってないといけない。
これは全部のカードを、めくらないと証明できない。
上記のいずれかの答えを示せば正解。
……そんな筈はない?
論理学の条件法的には、命題[A]と、対偶[7]の筈だ?
うん、論理学の条件法ならそうだね。
問題を作ったウェイソンさんも、そのつもりだったろうし。
でも悲しいかな、問題にその演繹的な性質を、落とし込めてないんだよね。
●計算カード
[1+1][1+2][1][2]
前提:カードは必ず片面は計算式で、もう片面は計算結果
命題:片面が1+1なら、片面は2
命題を証明するのに、裏返して確認する必要がある。
最低限確認する必要があるカードと、その理由を答えよ。
・答え:[1+1]と[1]
[1+1]をめくって、ホントに2になるかの確認が必要なのは当然。
しかし、[2]という計算結果は、3−1でも4÷2でも導けるので、確認する意味がない。
そして、[1]という計算結果が、1+1という計算式だったら、命題の破綻なので確認必須。
……問題文の構成は、殆ど変わってない。
母音と偶数が、計算の式と結果になっただけだ。
なのに、答えが違うのは何故か。
それは母音と偶数には、自然な因果関係・意味的結合が存在しないからだ。
●ウェイソン選択課題の不備
標準的な同課題において、命題Pと対偶非Qを正解とするのは。
出題者による恣意的な二重基準で、カードを用いないと成立しない。
■演劇的性質(前件Pならば後件Q)の欠如
数字と文字は
・意味論的な因果関係が存在しない
・カードの両面それぞれに同居と提示されるだけ
と、課題を演繹的と見做せる要素がない。
■条件法の循環論法
課題が演繹的と見做せる要素が、命題そのものにしか存在しない。
それは命題の証明に命題を用いる、循環論法だ。
また、語用論的に「ならば」は、多様な意味を持ち、一意に解釈できない。
いい成績ならお小遣いが貰えるは、お小遣いが貰えなかったなら成績が悪かった、と読んでも何らおかしくない。
■ヘンペルのカラス
カラスならば黒い、を証明するのに。
黒くないものが全てカラスでない、と確認するのは。
悪魔の証明に繋がる、非現実的・非効率的な行いだ。
演繹的推論をせよ等の、特別な前提がない場合。
非Qよりも、Qを確認する動機が強い。
■対象性の不一致と語用論
論理学の条件法は一方向だが、カードの表裏は不可分だ。
そのギャップを埋めるだけの、十分な前提がない以上。
解答者が目の前の、カードの物理的特性を重視するのは当然だ。
対偶非Qを捲る事を求めるのは、カード双方向性を認めないと成立しない。
そしてカードの双方向性を認めるなら、PとQは同値関係となり、全数確認が必須となる。
逆に双方向性を認めないなら、P以外の確認は全て無関係となる。
語用論的に、非Qのみ特別視する根拠がない。
出題者がカードの扱いについて、恣意的な二重基準を用いている。
■意味論的マッピング
計算の式と結果を両面に持つカードで、計算の正しさを証明する。
或いは切手問題や飲酒問題等なら、解答者は演繹的な解答を行う。
抽象的問題と計算カードと社会契約、それぞれで解答が変わる。
出題者の主張通り、人間が論理的思考能力に欠けるなら。
同種の構造である限り、いずれの問題も、解答が変わる事はあり得ない。
意味論的に暗黙な因果関係が、カードの表裏とマッピングされ。
解答者が問題をそもそも、論理学的条件法で捉えられたかどうか。
その差が解答に影響を与えている。
また因果の共有が不十分な場合、抽象的な命題そのものが、確立した前提と認識できず。
命題自身を帰納的に証明する事は、ごく自然な動機だろう。
■結論
課題の正解率は10%を切り、PとQを選ぶのが1番多い。
しかしこれで人間の脳が、論理的思考能力に欠けるとするのは飛躍で。
十分な因果と前提のない命題の、対応確認をただ行ったに過ぎない。
同種の構造でも、計算や社会契約に置き換えるだけで、正解率が変わる以上。
そもそも根本的に、課題には演繹的な性質がなく。
解答者はまず条件法として、課題を捉えてすらいない、という強い疑義がある。
同課題で正解とされる、カードを選ぶには。
前提に提示されていない、第三のルールに従わなければ成立しない。
また進化心理学は、生得的モジュールの存在を謳うが。
社会契約や報酬と関係なくとも、ただの計算で正解率が変わる以上。
暗黙的な前提の共有の有無を軽視した、飛躍の疑いがある。
●ウェイソン選択課題・改?
[A][K][4][7]
前提:表面がアルファベットで、裏が数字となるカードが、表向きに2枚、裏向きに2枚ある
命題:片面が母音(A、I、U、E、O)なら、片面は偶数
命題を証明するのに、裏返して確認する必要がある。
最低限確認する必要があるカードと、その理由を答えよ。
※カードの表裏は、論理学的な条件法として扱い、表を前件&裏を後件とし、演繹的推論によって解答する事
・答え:[A]と[7]?
……うーん?
そもそもやっぱり文字と数字に、本来的に因果関係がないし?
どこまで言葉を尽くして説明しても、究極的には?
出題者の頭の中にしかないものを、察して答えろっていう?
理不尽極まりない、クソ問題でしかない様な?
これに正解できなかったから、論理的思考能力に欠けるって言われても?
正解できるかは、完全に論理学の知識量の問題であって?
論理的思考能力のテストっていうか、もう指示追従テストに成り果ててないか?
少なくとも元の課題の様に、自然な因果関係がないものを。
出題者の一存だけで、課題に用いておいて。
十分な前提の共有をしないのは、全くの言語道断だと思う。
本来ここまで言葉を費やさないと、演繹的に扱うことなど不可能だ。
いかがだっただろうか。
ちなみに、ウェイソン選択課題を、検索してみたら。
同様の指摘が世の中に、大量にある事を知った。
同じ性質だけど、因果が明白な要素に置き換えたり。
抽象的な問題でも、表裏をマッピングして、十分な共有すれば。
実際に、正解率は劇的に向上する、と分かっているらしい。
いいんだ、子供の頃の筆者が、受け売りで偉そうにするクイズ本に。
無慈悲に誤答と切り捨てられた時の、悔しさの供養だから。
江戸の仇を長崎で、というか。
仇は世界中からとっくに、袋叩きにされてたけど。
オジサンとなった私も、死体蹴りしておいたぞ。
だから安らかに眠れ、かつての鼻垂れ小僧。




