第68話 転校性
「転校生です。今日から加わる新しい生徒になります。皆さん仲良くしてあげて下さい」
リリー先生が入ってきてそう言って、教室に入ってきたのはリンダとシャノンの二人だった。
「リンダです。よろしくね」
「シャノンです。いろいろと教えて下さい」
「ひょー、美女が二人も加わるのか」
「こうしちゃ居られない。ファンクラブを作らないと」
二人はつかつかと歩いて来て俺の隣に来た。
「お見舞いぐらいで調子に乗らないでね」
「もう風邪は良いのか」
「ええ」
「同じクラスなんて、あなたと縁があるのね」
「追っ手は大丈夫なのか」
「プロダクションの方で話をつけてもらったわ。当分は大丈夫だと思う。それに魔法学園は不可侵の協定が結ばれているから」
「へぇ」
「ヒロ、二人を紹介してくれる」
「アイナ、リンダとシャノン。リンダはノルド老の孫娘だと知っているよな。シャノンの正体は知らん。複雑な事情だそうだ」
「リンダよ」
「初めまして、シャノンです」
「アイナよ。仲良くしましょう。そうよ、マッサージクラブに入らない?」
「瞑想至高クラブと掛け持ちでよければ」
「私も物づくりクラブと掛け持ちなら」
「幽霊部員、大歓迎」
リンダとシャノンは俺達の後ろの席に座った。
「くそっ、ゴキブリローパーの所になんで美少女が集まるんだ」
「手を出したら、闇討ちだ」
「そこ、うるさいですよ。授業を再開します。明日から魔法武闘大会です。エントリーする人は今日中に私の所に書類を提出して下さい」
「同志ヒロよ。後で紹介してくれるよな」
ロイドが小声で話し掛けて来た。
「ああ、後でな」
授業が終わり、俺はエントリーの書類を書いて提出した。
「同志よ。早く紹介してくれ」
「自分から話し掛けろよ」
「ちょっと気後れして」
「仕方ない奴だな。リンダ、シャノン、こいつはロイド。助平だが良い奴だ。頼りにはならないがな」
「ちょっと、頼りにならないは無いだろ」
「頼りにならないのは駄目ね」
「助平なのはちょっと」
「ヒロの方がもてるのは分かっていたけど、悲しい」
「ロイド、男なら突き抜けないとな。極めないと魅力にならないんだ」
「よし、僕は財力を極める。大金持ちになってやるんだ。その手始めに魔法武闘大会で賭けまくるぞ」
「ほどほどにな」
授業が全て終わったので元マッサージ屋、今はマッサージクラブに顔を出す。
俺は入口の受付に座った。
「どんな所か見に来たわよ」
「そうね知っておきたいわ」
リンダとシャノンが見学に来た。
「存分に見てってくれ」
「エステを受けに来ました」
客が来たようだ。
「アイナ、お客さんだぞ」
「はーい」
「女性の方の部屋にお進み下さい」
三人は女性用のマッサージルームに入っていった。
俺はお触りの手で横たわった客にエステを施す。
アイナがマッサージをするのが魔力感知で見えた。
しばらくして、客は立ち上がりシャワールームの方へ歩いていった。
リンダとシャノンが受付に戻ってくる。
「普通なのね」
「やっている内容は救護クラブ寄りだわ。もっともあちらは治療が主だけど」
「美容とマッサージが売りなんだ」
これは表の顔だけどな。
エロエロとやるのが裏の顔だ。
暗殺は余技だ。
あんなのエロ魔法の副産物の一つでしかない。
「まともそうで、良かったわ」
「評判は良い」
「不思議なんだけど聞いて良い」
シャノンがそう言った。
「なんだ」
「マッサージだけで、あの肌の良さは納得できない。ローションかなんかに秘密があるの」
「困ったな。まあいいか。魔力は肉体と深く結びついている。モンスターが巨体を維持できるのも魔力あればこそだ」
「それは知ってる」
「実は筋肉だけでなく神経にも作用してる。これを刺激すると、老廃物が噴き出して、ツルピカになるって寸法よ」
「それはどうやるの」
「魔力には流れがある。それが体を巡っている訳だ。ほんの少しの魔力で魔力の流れに干渉する」
「なるほどね。参考になったわ」
「あなた、なかなかやるのね。じゃ瞑想の強化みたいのもできるわけなの」
「ああ、できる」
「どうせインチキでしょ。でも、お爺様があなたをヒロ先生って呼ぶ訳が少し分かったわ」
「所詮、魔力なんてエネルギーの一つにしか過ぎない。悟りなんて一切関係ない。どうやって操るかだけだ」
「そんなはずはないわ。邪念を排除してこそ、魔力を操れるのよ」
「操るのに集中力が必要だというだけで、その方法はどうでもいい」
「まるで悟った賢者だわ。生意気ね」
「リンダ、この人を恋人にするの。アイナさんと競争ね」
「やむを得なくよ。一時期だけだから。心まで許さないわ。そういうシャノン姉は?」
「興味があるだけよ。物づくりのね」
「そういう事にしておくわ。ヒロ、言っとくけど、魔法武闘大会は優勝よ。ガイに絶対負けないで。私の人生が掛かっているんだから」
「ああ、任せてくれ。学生なんかに負けないさ」
雑談していたら、モーラがひょっこり顔を出した。
なぜかニマニマしてる。
面白い事があったのかな。




