第61話 くぱぁ
「消去魔法の手の内はばれている。筒状の魔法で魔法を加速して打ち出しているんだろ。素晴らしい発想と技術だが、さて。わしに通用するかな」
先手必勝。
秘孔魔法・爪死弾。
じじいは扇子で爪死弾を受けた。
くそっ。
殺すしかないか。
やっぱりお遊び感覚じゃ駄目か。
「点火」
Fランク魔法をSランクに引き上げる。
炎はリング一杯に広がった。
「消去」
炎は消えた。
「かっかっか、これが本物の消去魔法だ。肉弾戦は久しぶりだのう。楽しむとするか」
不味い攻撃を封じられた。
秘孔魔法・爪死弾は筒の方向で攻撃が分かる。
肉弾戦ははっきり言って自信がない。
慌てて秘孔魔法・強化点穴を押す。
不本意だが肉弾戦だ。
じじいの扇子攻撃を魔力感知で予想する。
筋肉の動きが魔力にも表れるので、思考加速すれば、なんとかついて行ける。
じじいとの攻防は互角になった。
秘孔魔法・滅魔点穴を突いてじじいの魔力を奪ってやりたいが、隙を見せない。
「そよ風」
そよ風をFランクからSランクに引き上げる。
突風がじじいを襲う。
「消去」
駄目だ、消去魔法を破れない。
消去魔法に霧散拳は打てない。
そよ風魔法が接触した瞬間消えるからだ。
待てよ肉体を使えばどうか。
肉体の中の魔力までは消せないだろう。
「そよ風」
じじいと近距離になった所で魔法を放つ。
「消去」
俺は消去魔法の秘孔を素手で突いた。
「どこを狙ってる。うおっ。風は消したはず」
隙をついて秘孔魔法・滅魔点穴が完成。
もう消去魔法は撃てないぞ。
「点火」
じじいは消し炭になった。
「馬鹿な、話が違う」
そう言いだしたのはガイだ。
なんの話が違うと言うんだ。
「そいつは聞き捨てならねぇな」
そう言いだしたのはコンティネントの闘士だった。
コンティネントの仲間も騒ぎだす。
「ヒロ、やばいよ。逃げよう」
ロイドが青ざめて俺に逃亡を促した。
「待て、事情は俺も聞きたい」
「僕は逃げる」
ロイドは逃げ出した。
なんだ情けない奴だな。
「元オーナー、さあ喋ってもらいましょうか」
コンティネントの闘士がそう言った。
「いや、失言だ。独り言だ。何でもない」
「何でもない事はないな」
横から口を出す奴がいた。
「おめぇは誰だ」
「娼婦組合の者だよ。絶対に勝てるからと言って金貨10枚出させられたんだ」
「計算が合わない。たしか娼婦組合は金貨200枚出したはずだ」
「ガイがオークションをやれば絶対に勝つから、落札後の運営は娼婦組合に任せるって」
「ほう、オークションに出品者が挑戦するのはご法度だと知ってるな」
「俺は挑戦してない。娼婦組合がしたまでだ。俺がやったのはそこに居るヒロに八百長を頼んだだけだ」
何だって。
そんな話初めて聞いたぞ。
「俺は八百長なんかしてない」
「誰がグルかなんてもうどうでもいい。このオークションの店はコンティネントのものだ。オークションの金も、もちろん返してもらう」
「そりゃないぜ」
娼婦組合が気色ばんだ。
「俺としては勝者の権利を主張したい。皆殺しにしてもな。俺の強さは知ってると思うがな」
「先生、頼んます」
コンティネントの者がそう声を掛けた。
出て来たのは。
あれっ、見た事がある顔だな。
どこでだっけ。
ああ、ノルド老の所だった。
「あんた、ノルド老の護衛じゃないか」
「ヒロ先生、奇遇ですね」
「なんだ、どういうこと」
「大きな声じゃ言えませんが、コンティネントってのはインフィニティの下部組織でして」
「派閥の資金稼ぎか」
「まあそのようなもので。法律を破るような事はしてません。治安を守るのに金銭を要求したりはしますが」
「それって法律違反じゃないの」
「言うなれば月契約の私兵ですね」
「まあいいや。この場はどうすんの」
「店はヒロ先生に差し上げます。お前達もそれでいいな」
「へい」
「娼婦組合はどうする。俺としては一戦交えても良いが」
「2対1でやるほどうぬぼれてはいないですよ。あんたが勝ったのは見ているし、あんたにメンツを潰された訳じゃない」
「よう、ガイ。そうなったが良いよな。出品した以上、値が付いたら仕方ないよな」
「くそう、今日は退いてやる。覚えていろよ」
場は治まった。
「ええと俺としては運営はコンティネントに任せたい。上がりの一割ほど貰えれば文句はないさ」
「さすがインフィニティの会員に、先生と呼ばれている人は違いますな」
「その代わり、ダンサーの借金の利息はゼロにしてやれ」
「いいですぜ」
「たまに飲みに行くが、知らんぷりしてくれ。権力や財力で女を口説きたくない」
「見上げた心掛けだ。気に入った」
店が銅貨1枚で手に入った。
オークションの金はガイに渡るが、これは仕方ないよな。
俺は強盗じゃない。
ストリップバーに行くとダンサーは気味悪いぐらい笑っていた。
「何か良い事でもあったの」
「太っ腹なオーナーが借金の利息をゼロにしてくれたのさ」
「良かったね。ほらチップだ」
ガーターリングに銀貨を挟む。
「口で銀貨を咥えてくれないか」
もう一枚銀貨を出して口に咥えさせた。
「今度は下の口で咥えてくれないか」
「もうエッチなんだから」
背中を思いっきり叩かれた。
でもサービスで踊りながらくぱぁしてくれた。
この店が残って良かった。




