第35話 刷毛車輪
「あのね」
「なんだアイナ、何か言いたい事があるのか」
「そのあれよ。あれ。エッチな約束か」
「うんそれ」
「今日のは凄いぞ。刷毛車輪だ」
10センチぐらいの刷毛を4つ、そよ風で作り、刷毛にマナ鑑別薬の気体を混ぜる。
やっぱり刷毛が回っているのが、肉眼で見えないと。
俺は刷毛を縦にグルグルと回転させ始めた。
「それをどうするの。まさか」
「そのまさかさ」
快楽結界を発動。
※済まない、ここから先は自主規制なんだな。
うーん、刷毛車はいま一つだな。
感覚を共有できないし、アイナの快感もイマイチだ。
よし、第二ラウンドだ。
「そよ風で下着を作ってみた。着けてくれないか」
「何よ。下着っていっても光じゃない」
「そのスケスケ具合がいいんだ」
「幾らなんでも恥ずかし過ぎるわ」
「やってくれないと頼みを聞かないぞ」
「仕方ないわね」
着替える為にアイナがパーテーションで隠れたので、パーテーション越しに声を掛ける。
「もう良いか」
「ええ良いわよ」
アイナに魔力感知で見て光のスケスケ下着を着せる。
「ちょっとこれなに丸見えじゃない」
「どれ見せてみろ」
パーテーションから身を乗り出して覗く。
「きゃっ」
「光が眩しくて、よく見えないな」
ブラの面積は拳大。
パンティも拳大。
でも、いいね。
エロっていうのはこういうのだ。
もうしわけ程度に隠す。
見えそうで見えない。
それがエロい。
下着に振動を付与する。
「ちょっと聞いてない。やんっ」
※済まない、ここから先は自主規制なんだな。
光のバイブ付き下着、堪能しました。
「はぁはぁ、約束を果たしてもらうわよ」
「なんか怖いな」
「今日一日、私の奴隷をやってね」
「奴隷か。まあ良いだろ。お嬢様、何でもお申し付け下さい」
「まずは、エロなしのエステをやって」
「かしこまりました」
エステをして念入りにマッサージをする。
これって罰ゲーム的な意味合いはないな。
アイナだとてっきり罰ゲームみたいなのを言ってくるかと思った。
どちらかと言えば俺へのご褒美だ。
「そこの服を着せて」
「はい、ただいま」
アイナに学園の制服でなく私服を着せる。
これからお出かけなのかな。
「付き従って」
「はい」
アイナの後を俺は歩いた。
アイナは学園を出て商店街に向かうようだ。
大通りを歩き、ひと際大きな店に入る。
「端から端まで全部頂くわ。払って下さる」
「冗談だよな」
「冗談ですか、お嬢様でしょ。冗談よ。一つ指輪をプレゼントしてね」
「はい、お嬢様。どれがよろしいでしょうか」
「あなたが選んで」
アイナの青い髪に合わせて、サファイヤかな。
「これが良いと思います。どうでしょうか」
「良いね。気に入ったわ。着けて」
店員にお金を払い、差し出された手に指輪を嵌める。
「喉が渇いたわ。何か買って来てよ」
「はい、ただいま」
俺は駆け足で飲み物の露店を探した。
「あら、奇遇ですね」
飲み物を買って店に戻ろうとしたら、リノアに出くわした。
「今日は幼馴染の奴隷なんだ」
「面白い事をしてますね。ご一緒してよろしいですか」
「構わないと思う」
俺とリノアがアイナの下に行くと、アイナは不機嫌になった。
「今日は私の奴隷。忘れないでね。ところで、そちらはどなた?」
「リノアさんです。モーラの知り合いにございます」
アイナの機嫌が良くなった。
今の言葉のどこに機嫌を直すワードが入っていたんだろう。
「リノアです。なんか邪魔したみたい」
「良いのよ。疲れたわ。椅子を用意しなさい」
俺が椅子になるのはちょっと勘弁。
俺は幻影魔法を使った。
アイナは俺が四つん這いになった映像が見えているはずだ。
座ろうとしたところを秘孔魔法・金縛り拳。
倒れないようにアイナの背中を支えた。
座る箇所にはお触り魔法で感触を持たせる。
お尻の感触が手に伝わってとても良い。
空気椅子は美容にもいいぞ。
堪能してくれ。
リノアにも俺が椅子になる幻影魔法を掛ける。
これでアイナが空気椅子しているはばれないはずだ。
「何これ? 足が固まっている」
幻影魔法はすぐにばれると言っていたな。
ランクが上だとそれが顕著らしいな。
「ちっ、ばれたか。幻影魔法だよ」
「もう、何て恰好させるのよ。恥ずかしいじゃない」
「俺が椅子でも十分恥ずかしいぞ」
「椅子を借りてくれば良かったのよ」
「はいお嬢様、只今お持ち致します」
俺は椅子を借りて来てアイナとリノアを座らせた。
「リノアさんは、どこの出身なの」
「この店が実家です」
「ええっ、この店に住んでるの」
「はい、事情があって寮に入る前はここに住んでました」
店の表が騒がしくなった。
「暴漢が出たぞ」
店の中に人が逃げ込んで来る。
入口から通りをみるとナイフを持って振り回している男が見えた。
危ない。
逃げる最中に足をもつれさせた女性がへたり込んだ。
男はナイフを振りかぶる。
俺はお触り魔法を飛ばして、秘孔魔法・金縛り拳。
男は固まり、警備兵に連れていかれた。
学園に帰ると、被害者会の会長が待っていた。
「リノアの事、ありがとう。あなたの罪を六割ほど許します」
「リノアの件で既に一割許してもらっている。まあ貰う物は貰っておくけどな」
「違います。今日、リノアの店の前で女性を一人助けたでしょう」
「ああ、良く分かったな」
「魔力感知を発動してた人が見てました。あなたが魔力を飛ばしたら暴漢が動かなくなったと」
「そうか。見ている人は見てるもんだな」
「助けた女性は被害者会の会員の知人です。満場一致で一割許す事になりました」
「そうか、サンキュ」
全て許してもらえる日も近いな。




