第27話 くんかくんか
波乱の演習旅行は終わった。
学園に帰ると学園長に呼び出されたので、仕方なく園長室の扉をノックする。
お小言でなければ良いのだが。
「入りたまえ」
「失礼します」
「君のおかげで、色魔教団の魔の手から学園を救う事ができた。礼を言わせてくれ。ありがとう」
「用事はそれだけですか」
「それで、褒美が出た。EXP・ポーションだ。飲みたまえ」
「頂きます」
赤いEXP・ポーションを一気に呷った。
鑑定石も用意してあったので触る。
魔力、17436年。階級F。余白0。
覚えている魔法がそよ風、呪いの藁人形、魔力感知、調合、点火、振動刃、人除け、隠蔽、思考加速、幻影。
階級がFから上がってない。
モーラに貰ったのも上がらなかったな。
「ランクは上がらなかったようです」
「君は階級限界がFなのか、それはなんと言うか」
「慰めの言葉は要らないですよ。魔法は10個覚えていますし、戦えています」
「そうか、満足しているなら何も言うまい。限界の壁を超えた者の話は聞かないが、何か情報が入ったら教えよう」
「これで用は終わりですか」
「そうだ。授業に戻りたまえ」
俺の限界はFだったんだな。
モーラに貰ったポーションも欠陥品じゃなかった。
モーラに貸しを作って取り立ててしまったが、悪い事をした。
後で埋め合わせをしておこう。
リリー先生の所に顔を出した。
「先生、生産科の先生に伝手はありますか」
「何か作らせたいの」
「ええと俺の魔法が地味なので派手にしようかなと」
「魔法を派手にするなんて聞いた事がないわ」
「そよ風で手の形を作っているんですが、風って見えにくいですよね」
「そうね」
「風に何か混入したらどうかなと」
「なるほど気体を入れるのね」
「何か良いのがありますか」
「マナ鑑別薬が良いかも」
「それはどういうものですか」
「魔力に反応して、光るのよ」
「おお、恰好良いかも」
「人体に害もないし、吸い込んでも平気よ。ただ、常温だと液体なのよね。温めれば気体になるけど」
「まあ見せ技ですしね。ひと手間掛けてもいいでしょう」
「見せ技っていうと皆に見せるのよね。私もあなたの魔法には興味があったの。協力してあげるからじっくり見せて」
「ええ、構いません」
マナ鑑別薬を貰い、修練場に行く。
修練場では自主練している生徒が沢山いた。
「先生が相手して下さい」
「いいわよ。じゃ、行きます。火球」
「点火。炎でマナ鑑別薬を温めてと。駄目だ遅すぎる」
火球の魔法に素手で秘孔魔法・霧散拳を施した。
「すいません。気化に手間取って失敗しました」
「そうね。霧吹きで吹いたらどうでしょう」
「気化しないと下に落ちてしまわないですか」
「今度はそちらの準備が終わってから、魔法を撃つわ」
「では、点火」
小さい金属皿に入ったマナ鑑別薬が気体になる。
「魔力感知、そよ風、呪いの藁人形」
「そよ風が手の形になっているわ。じゃ行くわね。火球」
光を纏ったお触り魔法が火球に向かって飛び、当たる。
秘孔魔法・霧散拳で火球は消えた。
「そよ風でファイヤーボールが消えるのね」
「少しは俺の魔法が理解出来ましたか」
「魔力を使って魔法に干渉するのよね」
「はい、その通りです」
「マナ鑑別薬を一瞬で気体にするのは、焼けた石を持っておくのはどうかしら。掛ければ一瞬で気化するわ」
「じゃ、魔道具ですね」
「ええ、カイロの魔道具を改良すれば、いけると思うわ」
リリー先生の伝手で蒸発器を注文した。
一週間後。
一瞬で薬を気化させる魔道具が出来上がった。
俺はマッサージ屋にアイナを呼び出した。
「新技だ。協力してくれ」
「何なの。エッチな事じゃないでしょうね」
「模擬戦だ」
エッチな模擬戦だけどな。
薬を気化して両手と舌の形をしている風が光を放った。
思考加速も発動。
「スタートだ」
光る手がわきわきしながらアイナに迫る。
アイナは手を叩こうとした。
叩かせるか。
逃げ回る手と舌。
おっぱいにタッチしてやる。
そよ風が見えていると迎撃は容易い。
上級者は魔力感知で見えているので、今のアイナと同じ条件だ。
良い訓練になる。
両手はフェイントで舌が本命だ。
おっぱいを舐めるんだ。
素早く阻止された。
ふむ、なかなかエッチな悪戯が出来ない。
3対2なのだが、こっちは捕まったら一発アウトだ。
俺の方が若干不利だ。
あと一つぐらいは、そよ風の何かを増やせそうだが、何が良いだろう。
パオーンは駄目だ、怖い。
痛くないのなら膝だな。
鼻の頭も捨てがたい。
鼻の頭でやってみるか。
鼻の頭を追加した。
両手と舌がフェイントで、おっぱいに迫る鼻の頭。
ダッチダウン。
鼻がおっぱいに押し付けられる感触。
楽しくないな。
絵面はエロいが、感触はエロくない。
くんかくんか、フローラルの香り。
呪い恐るべし匂いも再現するとは。
呪いの藁人形って熱も感知するらしいから、匂いも嗅げるのも頷ける。
股間にそよ風の鼻を押し付ければ匂いが嗅げるのか。
匂いフェチという訳ではないが、そういうのも有りだな。
「痛っあ」
アイナにそよ風の鼻を潰された。
「エッチセンサーが反応した」
さいですか。
まあ良い。
4つまで物体を動かせる様になった。
戦う時は手を二組っていうのが順当だろうな。
感覚は両手と両足に同調させよう。
これでかなりの戦力アップになるはずだ。




