『詩老』【詩】【6600編目】
詩老
色濃く墨を磨って
沢山墨を含ませて書いた
遥か過去の詩も
蟲に喰われて色褪せた
白筆の美しさばかりに焦がれ
黒い言葉を残さずに
ただ白紙を眺める時間が多くなる
白髪交じりの声を
まやかす為に色濃く書いても
擦れて聞こえ難い詩となった
細々とした詩は
誰も読もうとは思わない
それでも創り語り綴り
文字に白毛が抜け落ちても
詩は白い老いを染め上げる
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2025/1/23/6600編