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◇第5話~二階堂先輩とは?(前)~

朝、少し早めに起きる。

部屋の奥に窓と面した板張りの、一畳程度の廊下のさらに端に付いている洗面台で顔を洗って、歯を磨いて、制服に着替えたら髪を梳かす。

この後に咲奈さきなが起きて以下略。


そんな風景を早く自分に馴染ませようと、自身に感覚を染み込ませていく。


二人の身仕度が済んだら、部屋を一緒に出て、3階から1階へ寮の階段を降りていき…

そして、たわいもない会話をして笑いながら―――


庭吉にわよしー!」

「ひッ…!」


二人で歩いると突然、後ろからよーく聞き覚えのある声に呼び止められる。

その声に、自身に馴染ませようとしていた日常にパキッとヒビを入れられた気がして…

身体が無意識にグッと力んだ。


そんな俺の様子を知ってか知らずか、隣にいた咲奈が後ろを振り返る。


二階堂にかいどう…」


彼の呟いた人の名前に、ああやっぱり、と身体が強張った。

二階堂先輩が走り寄ってくる足音が聞こえて、おずおずと後ろを振り返る。


「…先輩」

「おはよー!」

「おは、おはようございます」


昨日の出来事のせいか、いつもより上機嫌な先輩が俺の前まで駆け寄ってくる。

まだ昨日の事に対して頭の整理ができていない俺は、先輩のテンションに戸惑ってしまう。


「学校、一緒に行こう!」

「あー…はい」

「なんだ?元気がないぞ庭吉ー」

「や、そんなことはないですよ、ええ、はい」


正面から俺の目をまっすぐ見つめている先輩からあからさまに視線を逸らして答えると、にこにこと無駄に爽やかな笑顔を浮かべていた先輩の顔がどんどんむくれっ面になっていく。


「あーウソだ、彼氏にウソ付いたら駄目だろー?」

「う、嘘なんか…ていうか彼氏って…」

「一週間だけでも彼氏に変わりはない!」

「うっ…で、でも…」


頬を膨らませながらじりじりと詰め寄ってくる先輩に困っていると、咲奈が飽きれた様に助け舟を出してくれた。


「オラてめぇさっさと歩け、朝メシ食う時間なくなっちまうだろーがよ」

「あ、そうだな!庭吉、一緒に食べような?」

「は…はい」


先輩は俺の返事を聞いていたのか聞いていないのか、自分が話し終わると「さぁ!」と笑って先頭を歩き出した。

前を歩く先輩をなんとなく目で追いかけながら、咲奈と並んで後を歩く。


「お前…二階堂のテンションについてけんの?」

「…まず無理だろうね…」

「おいおい」

「ま、まぁでも一週間付き合えばわかってくれるって」


俺の方を向いて心配してくれる咲奈に苦笑いでそう答えると、咲奈は少し口を引き結んで、かすかに聞こえる程度の声で呟いた。


「どーだか…な」



更新が遅れたので分けただけです、すみません;

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