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シキ

外の日差しが強い中

快適な室内で作業に取り組み…たい所だけど、店内を模様替えしたい。

やっぱり、見やすく映えるような店内に憧れるのですよ。


「ここにアレを置いたら…コレはどこに置くんだ?映えって難しい…」




考えてる間にドアのベルがなりお客さん来店。


「こんにちは!雑貨店ユーダリルへようこそ!」


お客さんは不思議そうに相変わらずの反応で店内を見渡しながら


『あの…死んだと思ったのに、気づいたらここに居て…ここって死後の世界なんですか?』


おや?珍しく記憶が残っているタイプのお客さんだ。


「死後の世界とはちょっと違うような…

んーっと、三途の川の手前の手前みたいな所。とでも言いましょうか」


「せっかく来たので奥でゆっくりしませんか?珈琲お出ししますよ。」



お客さんをカウンターに案内して珈琲を提供しながら


「先程も言ったような感じなので、生死をさ迷っているような状態です。

お客さんの気持ち次第でどちらにも行けますよ」


「ただ、もう一度考える時間を提供する場なので、よろしければ お話聞きますよ」



お客さんは、事の経緯などを話してくれた。

事業を始めて、失敗して、恨まれて…



珈琲をもう一杯飲みつつ泣きながらも話してくれた。なんだか僕まで悲しくなってくる話だな。


「ずっと、真っ直ぐに頑張って来られたのですね。それは本当に凄いことです


でも、それでは忙し過ぎるので。息抜きや 他のものに目を向けるのも大事です」



「例えば…そのカップに敷かれたコースター。おかわりする時色が変わったのに気づきましたか?」


『言われてみれば…最初と何か違うと思ってました』


「リバーシブルで、名前を四季のコースターといいます。勿論他にも3種類ありますよ!」




僕は1つ1つ説明してお客さんもちゃんと聞いてくれていた。

このお客さんは多分、普段から四季のなんて気にもしてしていなかったんだろうな。



『このコースターください。でも、どの色にしようか…』


「お好きな色、お好きな季節、縁のある季節…お好みでどうぞ」


『では、今使っているこれで』


「ありがとうございます」

僕は接客スマイルで聞いてみた。きっと帰るんだろうなと思ったから。



なんとお客さんは首を横に振った。

『帰らないです。守るものも無いですし、帰っても また同じ事の繰り返しになりそうで…もっと柔軟になれば良かったな とは思いますが、特に未練はありません』


「そうですか…また0から始めるんですね」


『はい、考える時間をくれてありがとうございました』


「こちらこそありがとうございました。そうしましたら、入口までご案内します」



店の入口を開けると近くの木に麦が止まっていた。

「あの鳥さんが案内してくれます。あなたの来世に幸多からんことを」



僕は手を振って見送り店内へ入る。



あのお客さん、来世は暫く先かな。

何十年後か、何百年後か…以前会った小さな2人と同じ匂いがした。きっと家族だったのだろうけど、あの2人を思い出すとなんだか苦しくなる。



片付けをしていたら麦が帰ってきた。

お客さんに売ったはずのコースターを咥えて。


「麦 お帰りー。回収ありがとう」


来世が後回しになると商品は持っていけないみたいなので、回収してもらって僕の本体の傍に埋めるようにしている。


「さて、埋めたら この後も頑張りますか」



人とは難しい存在なんだなと改めて思いながら、僕は商品補充の為に作業場に向かった。




四季: 春・夏・秋・冬 4つの季節の総称


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