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ユズ

僕は日々考えていた案を実行すべく、店内の作業台に向かい制作していた。

やっぱり頭で考えるより実行して実際に見えてくるモノもあるのでなかなか楽しい。


そんな時に店の入口が開く音がしたので対応に向かう。


「こんにちは!雑貨店ユーd わーーーー!」


入口に立っていたのは、雨に降られたのかずぶ濡れのお客さんだった。

僕は慌てて商品の棚にあるタオルを掴み小走りでお客さんの元へ行き差し出した。


『あの、ここは…』

お客さんの声を遮ってしまって申し訳ないけど

「とりあえず拭いてください!あとこっちにストーブあるので来てください!風邪引きますよ!」


ストーブの前に椅子を移動させてお客さんに座ってもらい、温かい飲み物も準備する。


お客さんはなんだか落ち込んでいるようにも見えて少し静かだ。


「どうぞ、ジンジャーティーです。あの、乾くまでゆっくりしてて大丈夫なので。ちなみに、ここは雑貨店です。店内もご自由にどうぞ」


『ありがとうございます』


ほんのりお酒の香りがする。飲みすぎたのかな?

聞いてみたらやっぱり飲みすぎていた。


お酒は自身のペースで楽しく飲んでこそ!などと雑談をしたり、店内を見渡してファッション雑貨や生活雑貨があると説明してみたり。


『あの畳まれた物もタオルですか?』

お客さんが指さしてたので

「あれですか?」

僕は商品をとってきて広げて見せてみた。


「これは柚子ブランケットです」


「日差しが弱くなる季節に実る太陽。柚子を題材にして作りました!」


『冬の太陽って響きが良いですね』


「柑橘類の中でも柚子は寒さに強いんです」


「ひざ掛けにしたり、羽織ってみたり、柚子湯に浸かったような温かさを感じて欲しいなと思いまして」


お客さんは少し話しただけだけど決めたようで


『これ、羽織って帰ってもいいですか?服は乾いたけど、上着はまだかかりそうなので…あと、このタオルもお願いできますか?濡らしちゃったので』


「あ、タオルは僕が勝手に渡した物なので気にしなくて大丈夫ですよ!」


僕自身もすっかり忘れていた存在だったけど、手触りとか気に入ってくれたみたい。


上着とタオルを丁寧に包みお客さんを見送る。


「道中お気を付けて。ありがとうございました」


少し笑顔になったお客さんが振り返り会釈をしつつ、蔦のアーチの方に向かっていった。



店の入口を閉めて一呼吸……


「妖精さん達、ありがとうございました!」

今回は僕じゃなくて火と水の妖精さんの方が大活躍だった。

濡れた服から水を取って、冷えた体を温める

本当に優しくて優秀な妖精さん達です。


「お礼に何か食べますか?」


リクエストを聞きながら今日もユーダリルの1日が過ぎてゆく。




柚子 花言葉

健康美

汚れなき人

恋のため息


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