リンゴ
今日も資料を漁りながら知識の深堀をしていたけれど、方向性が迷子になり詰み状態。
「もう無理だ!糖分だ!気分転換の糖分だ!」
行き詰まったのだから仕方ない
僕は店内のカウンターに向かいスコーンを作り始めた。
(お客さんに飲み物を出す事もあるので、調理など一通り出来るように設置してある)
材料を混ぜてオーブンに入れ焼きあがりを待っていると入口のベルが鳴る。
「こんにちは!雑貨店ユーダリ…」
『やっぱり匂いがする!』
そこでタイミング良いのか悪いのか焼けた音がオーブンから鳴る。
あ…
入口には小さなお客さんが2人、やはり聞くしかない
「スコーンが焼けたのですが、良かったら食べますか?」
勿論返事は食べるの一択。
2人をカウンターに案内して、飲み物は冷たいココアを出した。
美味しそうに食べてくれているけどそんなにお腹が空いていたのかな?
少し話してみたら2人は家族で仲良しエピソードをいろいろ話してくれた。
満たされて座ってるのに飽きたのかソワソワしだしたので店内の探検を提案してみた。
危ない事が無いように探検に付き合い、質問されたら答えながら一緒に回る
『リンゴがある!』
1人が駆け寄って手に取った。
「リンゴの形をしたサコッシュっていうバッグです」
目線が合うようにしゃがんでストラップの長さを調節して、もう1人にも掛けてあげた
「長さどうですか?宝物とか大切な物を入れておくのに調度良い大きさのバッグになってます」
ポケットに手を入れると木の実や葉っぱが出てきて、それをサコッシュの中に入れ始める
ここに来る道中拾っては集めていたのかな。
『おおー!これ欲しい!』
小さな両手で持って見つめていたけれど
『だめだよお金無いもん!』
もう1人が止めに入ったけど悔しそうにストラップを両手で握りしめている
僕は少し考えて両手を出してみた
『2人とも、僕の手を触ってくれませんか?』
顔を見合わせながらも手に触れてくれたので僕は目を閉じる
「ふむふむ…なるほど…うーん…...うん!」
目を開ける
「2人は良い子にしていたみたいですね!
実は僕、サンタさんのお手伝いをしていまして
良い子には少し早いですが...クリスマスプレゼントです!」
『ホントに?!ありがとう!』
2人はとても嬉しかったのか暫く開けたり閉めたり見せあったりしていた。
「さて!ここでの楽しい時間はそろそろ終わりで、帰らないといけない時間ですね」
『帰りたくない』
2人はしょんぼりしてしまった
予想していた反応だけど仕方ない。
僕は2人の手を握って見つめながら
「2人なら大丈夫です。だって、良い子にしていたのですから」
僕は店の出口まで案内し しゃがんで道を指さし
「えっと...来たのは あの奥にあるトンネルだと思うのですが...
お2人はここの森を...白い鳥さんが案内してくれます
はぐれないように手を繋いでいてください
そうすれば迷わず帰れますよ」
2人はしっかり手を繋いで、麦の案内で道を進んでいった
「…これからの2人に幸あれ」
遠くなった2人の後ろ姿を見つめながら呟いて店に戻る。
「何であんなに小さい子が...」
頭を掻きながら モヤモヤした気持ちになりながらもカウンターの食器を片付ける事にした。
暫くすると麦か帰ってきた。
「お帰り麦 ありがとう。あの2人は無事に渡れたみたいだね
最後くらいは楽しい思い出になったかな」
やっぱりお互い悲しい気持ちなる
...来世は愛溢れる生を願うばかりだ。
気持ちを切り替え、ふと現実に向き合って僕は更に悲しくなった。
「スコーン全部食べられてしまった...」
また作る気にもならないのでココアを飲むことにした。
リンゴ 花言葉
優先 選択
誘惑 後悔