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神様としゃべろう

初投稿です見切り発車ですあしからず…

ほんっとうに唐突で申し訳ないが、いやむしろこっちが謝って説明してもらいたいのだが、



今僕の目の前には神がいる。



この半透明のふわふわした触れられない壁にガラス張りの床でしかも遥か下に小さな街と森が見える不思議な空間で、目の前のそれは“神”を名乗った。

最初は夢でも見ているのかと思った。だって、僕の覚えている最後の記憶は親に就寝の挨拶をしてベッドサイドの推しのブロマイドに愛を告げてから布団に潜り込んだことだ。気が付いたら僕の目線に合わせてしゃがみ込んでいる目の前の可愛い系イケメンとがっつり目が合っていて、慌ててそらそうと下を向いたらガラス張りの床で、怖くて悲鳴をあげたら笑われて、ひとしきり1人で騒いだ後に「夢ですか?」と尋ねると、「違うよ」と返されてしまったので夢ではないらしい。

そうしてちょっと眠そうな蜂蜜の瞳に、ウルフカットの前髪だけ姫カットみたいにしたミッドナイトブルー頭のその人は自身を神だと言った。

僕の中での神はもっとこう羽がいっぱい背中に生えていて、そんなんで足りるかと言わんばかりの白い布を体にくるくるして、裸足か茶色のあみあみのサンダルを履いて地面から5cmほど浮いてるような神々しいものを指す言葉だったけど、眼前の自称神にはどれも当てはまらなかった。

「はろぉ〜^ ^そろそろ落ち着いた?」

「あ、1人で騒いですいませ「まあボクフラットな神だからね〜。全然許しちゃうよぉ!モットーは親しみやすくいこう!」

「…ありがとうございます…?」

「うんうん、お礼が言えていい子だね!そんな君にはこれをあげちゃう!」

気だるげな雰囲気に合わないくらいおしゃべりな神はそう言って僕に青いナニカを投げてきた。

慌ててキャッチするとそれは見覚えのある色で星の形をした透明の

「石…?」

「それね、ボクのなんだけどあげるよ。キミに。」

「あの、なんですかこれ…」

「ボクの心臓。無くさないでね」

「え」

心臓、と告げられた途端手の中の10円玉くらいの石がドクドクと確かに僕の手のひらに鼓動を伝えた。恐怖で落としそうになったけど、なんとなく落としてはいけない気もしたからぎゅっと握りしめてからポケットに突っ込んだ。そういえば寝巻きじゃなくて制服だ。

神は少々意地悪に笑って立ち上がると、ちょっと長くなるけど黙って聞いてね、と前置きをして話し出す。

「キミにはこれから異世界転生をしてもらいます」

「は?!?!?異世界転生ってあの車に轢かれたり過労死したりして俺最強!ってなるやつ!?!?!」

「うーんキミ反応早いね!なんか説明する気失せちゃったから質問形式に変えない!?」

あっ気まぐれだこの神。いやこれは僕が声を出したのが悪いのか。

「大体なんでも答えてあげるよ、聞いてみ」

じゃあまずは1番の疑問を聞くことにした。

「ここはどこなんですか、そしてあなたは誰なんですか」

「ここはキミ視点で言う異世界の雲の上的場所で、ボクはこの世界の神かな!」

いやこれ聞いても訳わからないな、

「ありがとうございます…じゃあ、異世界転生ってどういうことですか…?僕死んだんです…?」

「いちいちお礼言わなくていいよ、あと敬語じゃなくてタメ口でね。…えっと、別にキミは死んだ訳じゃないんだけど、たまたまこっちに魂が迷い込んじゃった〜というかそれで帰れなくなっちゃった〜というか…伝わる?」

「ゆ、幽体離脱?」

「いや体ごとなんじゃない?むこうは管轄外だからわかんないけど」

ボクキミに触れるし、と頭をわしゃわしゃされた。年が近そうな相手にこれをされるの結構キツイな…

「帰れなくなったって言ってまし「敬語」…言ってたけど、それはどういうことなの?」

「普通キミの世界とボクの世界はほぼ繋がりがないんだけど、たまに迷い込んできたり逆にそっちに迷い込んだりしちゃうんだよね。そっちは八百万?だかの神様たち優しいからすぐ返してくれるんだけどこっちの世界はそっちから弾き飛ばされた魂を返すだけの力がないの。」

「えじゃあ僕2度と帰れないってこと?」

「いいや、一つだけあるんだよこれが。でもその前に自己紹介しない?」

そういう大切な情報は勿体ぶらずに教えて欲しい、そんな目で神を見つめるとまあまあと言って自己紹介をしだした。

「さっきから何度も言ってるけどボクはこの世界の神。今は一応レグルスって名前があるよ。キミは?」

「…僕の名前は雪代燐吾(ゆきしろりんご)。果物とおんなじ発音だよ。それで、高校一年生」

正直この燐吾って名前、キラキラネームだし、女の子っぽい響きだからあんまり好きじゃない。でも、神____レグルスは名前よりも最後の高校一年生に引っかかったようで首を傾げられた。

「コウコウイチネンセイ…?カレッジのことかな?10代くらいだと思ってたけど学校行ってるんだ、頭いいんだね燐吾くん。それともボクの見立てより幼いのかな?」

「いや年は16歳で、別にそんなに頭は良くないと思う…。こっちでは九年義務教育して、大抵の人が高校ってとこに進学するんだ…」

「ふーん…?なんとなくわかったよ。ボクの方はミドルスクールが終わったら勉強ダイスキ!勉強サイコー!!って人しかカレッジ行かないんだぁ。」

え普通に羨ましい、僕も願わくば高校いきたくなかった。親が「大学までは行ってくれ、就職大変だぞ」だの「推しに貢ぐ金を稼ぐには頑張らないと!」だの言ってきたから渋々通っているけど。

「他には何か聞きたいコトある〜?」

ちょっとこの時間に飽きてきたのか、三角座りで宙に浮きながら話しかけてくる。まだ飽きないでほしい、今僕が1番聞かないといけないことがまだだから。

「帰れる方法を教えて」

「ああそんな話してたね。簡単だよ〜、帰る方法はボクの世界(ここ)の王様になるコトだよ!」

…?

「王様って言った?」

「うん!」

そんな曇りなき眼でニコニコされても…

「王様というかね、ここの頂点になれば何でもかんでも願いが1つ叶えられちゃうんだよ!素敵な世界でしょう?」

楽しげに、子どもが新しいゲームを与えられた時のような顔でレグルスは話す。その瞳の奥には隠しきれない憎悪が見えた気がした。

「キミが王様になって、元の世界に帰りたいって望めば、帰れるんじゃないかな?」

はっきり言って超怪しい提案だ。王様ってなんだ、ひょいひょいなれるもんじゃないだろ。でもすでに眼前の軽い神もこの空間も、何もかも普通ではないのだ。今更そんな真面目に考えたって意味がないんだと思う。僕はやっぱりこれは夢なんだと割り切ることにした。ならやることは簡単。

「本当に、帰れるんだよね?」

「勿論。どんな願いでも叶うことはボクが保証してあげるよ♪」

「じゃあなるよ王様。」

勢いよく立ち上がって、早く帰って推しイベ周回しなきゃだし!と付け加えると、何言ってるかわかんないけどそりゃ大変だね!と笑われた。きっとコイツはオタクを無自覚に傷つけるタイプ。


それから少しの間世界が違うせいで絶妙に噛み合わない世間話をした。2人とも好きな座り方で、ずっとずっと下に見える森や家や湖を眺めながら。よく見てみると昔読み聞かせてもらった絵本に出てくるような建物もある。日本じゃ絶対建築法に引っかかりそうな形のもあった。あれは何、と聞くとレグルスはかなり事細かに返してくれる。住んでる人のことも米粒より小さいから見えもしないのに知っているようで、おかげであの近辺に引っ越したみたいな気分にされた。“下”を見つめるレグルスはなんとなく悲しそうで、何かあったの?とか聞いてみたくなったけど、出しかけた声は不意に立ち上がった彼に遮られてた。


「さて…無駄話はこの辺にしないと。いつまでも帰れなくなっちゃうからね!異世界ライフきっと楽しいよ。ボク応援してるからね。」


バイバイ!と最後までフランクな神は両手を横にブンブン振る。その途端ちょっとずつ眠いようなふわふわした感覚に襲われ、一瞬戸惑ったけれど、何故か“下”に行くんだと理解したからそれを受け入れるように大人しく目を閉じる。

不思議なこともあるもんだな、目が覚めたら朝になってればいいんだけど。


そういえばどうやって王様を決めるんだろう、という思考を最後に意識が途絶えた。




雪代 燐吾 ユキシロリンゴ

年齢 16

見た目 サラサラの黒髪に祖母の影響で青い目。結構ぱっちりしてる。童顔より。身長は168くらい。

概要 女性向けアイドル育成ゲームが好きなごくごく普通のオタク高校生。いい子でちょろい。ちょっと思考が子供っぽいかもしれない。面倒臭いことはしたくないけど、好奇心は一丁前なので行動力はあると思う。



レグルス

自称神。見た目は中に書いてある通り。

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