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追放された荷運び係のところに、竜人がやってきた  作者: 山吹弓美


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46.角はあげた

 二つの刃に、まるで鋏で切られるように断たれたナーガの頭は、大地に落ちると同時にばしゃん、と泥水になって弾けた。枝分かれした角だけがからんと転がって、それがなければ水竜が存在したとは誰も思わないだろう。

 一瞬遅れて、胴体の方も同じように崩れ落ちる。ばしゃばしゃ、と全ては泥水として、地面に吸い込まれていく。


「取った?」


「取ったな」


 スイナもヴィラも、その光景を目を丸くして見ていた。まあ、ナーガの最期なんてあまり見るもんでもないしな。俺は、確かコルトが倒した中にいたはずなんで、それで見てたんだけど。

 土壁の、ひび割れの中からゴブリンがひょこっと顔を出した。次から次へと、その手に焼け残った武器を携えて。


「皆、ゴブリンを片付けるよ」


『はい!』


「切り裂け切り裂け我が敵を! 風よ刃となれ!」


 とっさに口に出した言葉に、他全員が一斉に頷いてくれた。そうして、土壁をくるりと四人で取り囲んでゴブリンに斬りかかる。あ、一名だけ魔術だけど……ま、風の刃出してきたから一緒か。


「と、俺も頑張らないと!」


 ほんの少しだけ、四人から漏れるように逃げ出すゴブリンがいる。そいつらを足止め、できれば片付けるのが俺の役目だ。『暴君』の爪の短剣は、俺にでも魔物を斬れる力をくれているから、できる。


「きゅいーん」


 ……まあ、トカゲの頃と同じ声を上げながらずばずばとゴブリンを切り倒しているリュントにはかなわないんだけど。ははは、何というか気が抜けるなあ、あの声。


「……リュント、緊張感がない」


「ありゃ口癖みたいなもんだから、気にしないでくれ」


「んー、まあ強いんは強いから、ええねんけど」


 ヴィラが呆れ顔になるのも、無理はない。だけど、そういう『緑の槍』御一行もほぼ流れ作業レベルで片付けているだろうが。セリカなんて、土の槍作ってざくざくと串刺しにしちゃったりしてるし。


「全く、器用です、ねっ!」


 そうして、スイナが脳天をかち割ったのがおそらく、最後の一体だったろう。もう、ヒビの向こうから出てくる者は、いなかったから。


「ふー、片付いたな」


「みたいやな。一応、洞窟の中確認する必要あるけど」


「それは当然だな。もともとはナーガの巣だったみたいだし、その後ゴブリンが住んでたわけだし」


 俺とセリカは、土壁を崩しながらやることの整理をする。いや、本来ならこの土壁、セリカの魔術でできたもんだから魔術を解除すれば戻せるはずだったんだけど、内側で炎燃やしたりナーガの水浴びたりしたせいかそれができなくてさ。

 一方。

 リュントは、ナーガが遺した角を拾ってヴィラとスイナに差し出していた。


「ヴィラさん、スイナさん、こちらをどうぞ」


「ナーガの角?」


「いいんですか?」


「首を落とされたのはお二人ですから」


 まあ、確かに。ヴィラの槍とスイナの剣が、ナーガの首を落としたのは事実だ。それなら、二人がその証拠として角を手にするのは何も不思議じゃない。


「せやな。二人とももらっとき、ドラゴンまでは行かへんけどナーガもええ獲物やし」


 セリカも同じように考えたみたいで、二人にそう言っている。『緑の槍』で自分だけはナーガの角を貰わなくても、特に問題ないと考えてるのかもな。

 『太陽の剣』のときは、多分コルトが二本とも持っていったんじゃなかったっけなあ。リーダーは自分だからとか何とか言って……まあ、俺を除く他のメンバーは言っちゃアレだけどコルトの女だったし、なあ。


「そもそも、俺たちへの依頼ってゴブリンコロニー潰すことだったしな。コロニーは潰せたんだから、後はきっちり調査して報告書出せば終わり。俺はそれでいいけど、リュントは?」


「私は、エールが良いと思いましたので角をお渡ししました。特に問題はありません」


 要は、俺たちは俺たちの依頼をきちんとこなしたので問題ない、ということである。

 ナーガに関しては、報告書に書く必要があるだろうけれどそこには、『緑の槍』のヴィラとスイナが倒したときっちり記しておくつもりだし。


「それでは、遠慮なくいただこう。武器としては使えなさそうだが、お守り代わりに持っておくことにする」


「ヴィラがそういうなら、私もいただきます。てへ、ありがとね」


 なので、結果として二人が角を受け取ってくれたことにほっとした。

 確かに、ドラゴンの爪とかと違って武器にはならないんだけど、水難を避けるお守りになるんだよね、あれ。

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