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追放された荷運び係のところに、竜人がやってきた  作者: 山吹弓美


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42/78

42.作戦を開始した

「さて」


 援軍到着から一日経って、朝。

 俺たちと『緑の槍』は、一枚の小さな地図を広げた周りに集まっている。

 地図は手書きで、下側にこの村の一部がちらりと入っている。そこから北にある林のそば、川岸の段差のあるところに洞窟があって、そこにバツ印。洞窟を中心に、川岸に沿って点線で歪んだ円が描かれている。なお、地図も印も円も描いたのは俺。


「今朝方確認できたゴブリンコロニーの位置と規模は、こんな感じだな」


 朝早く、日が昇るずっと前にゴブリンはこの村の周囲を徘徊していた。それを待ち構え、尾行することでゴブリンコロニーの場所を特定した。

 規模については、夜があいつらの行動時間なんで表に出てるんだよね。水飲んだり、用を足して縄張りの臭い付けしたり、あとコロニーの中のゴミを捨てたり。それを確認すれば大体の範囲と、あとは個体数も確認できる。

 臭い付けやゴミがあるせいで場所さえ確認できれば規模は分かりやすいんだけど、その場所を確認するのがちょいと手間なのだ。

 気配は人間レベルで感じるようだから、こちらがしっかりしてれば大丈夫なんだけど……ゴブリンって、人間の半分くらいの体格だから、一度見失ったら探すのが大変なわけだ。


「規模に関しては少々大きめに見積もりましたが、概ねそのような感じです」


「せやねえ。過小判断しとったら、うっかりえらい目に合うかもしれへんし」


「個体数はやはり、おおよそ四十程度。長は不明だが、念には念を入れたい」


「ゴブリンだけのコロニーならともかく、別種の長がいる可能性はあるからなあ」


 でまあ、『緑の槍』はそういう追跡には慣れている。スイナが小柄でヴィラが大柄という凸凹コンビの視点がずれてるので、どちらかが見つけやすいし追いやすい。セリカは土の魔術が得意で、その流れで足跡とか踏まれた草とかをよく見るんだとか。

 ということで、コロニー周辺の状況を確認してもらった結果が先程の地図である。ヴィラの言う『長』はこの場合、ゴブリンコロニーを牛耳るトップのことだ。ゴブリンの家長である場合も、他の魔物である場合もある。今回は、不明。

 何が出てくるかは分からないが、さすがにドラゴンってことはないだろう。今まで、そういうことはなかったから。


「その時は、ヴィラとリュントに任せることになるな。頼むよ」


「任せろ」


「お任せください、エール」


 この二人に任せておけば、大概の難敵はどうにかなる、と俺は思っている。単体の場合だけどね……いや、ヴィラなら相手が複数でも行けるか。リュントも多分大丈夫だけど、まかり間違ってドラゴンにならないようにしないとな。


「んじゃ、作戦開始と行こうか」


 とにかく、やってみないとわからないよな。




 村からは、歩いて五分ほど。少し高くなっている土地から、川岸に降りていく前で俺たちは足を止めた。ちらりと見える洞窟が、間違いなくゴブリンコロニーへの入り口である。内側はある程度深くなっているようで、後は周囲にも生活の場が広がっている。

 こちらには俺たち『白銀の竜牙』、ここから洞窟を挟んだ向こう側には、『緑の槍』がいる。リュントがひょいと手を挙げると、それを確認したようにヴィラの槍が掲げられた。そして。


「築け築け、高き塀。道を塞ぎ敵を逃さぬ、高き塀!」


 凛とした詠唱が響く。普段の訛りのある言葉遣いとは対照的な、完璧な詠唱とともに洞窟と生活の場の周囲、川岸の上にまでぐるりと土が盛り上がり、壁が形作られた。天井はない。


「燃えよ燃えよ、清めの炎!」


 その理由、壁の中に強い炎が放たれた。横から見れば、太い土の煙突から炎が吹き出すように見えている。


「………………ッ!」


「ぎああああああ!」


「ごおおおおおん!」


 土壁の中、激しい炎の音に混じって悲鳴が聞こえる。もちろん、完全に焼ききれるわけではないから、そうなると。


「きゅあっ!」


「ふん!」


 壁の中からどうにか逃れてきた、成体のゴブリン。それらをリュントとヴィラ、そしてスイナが片っ端から切り刻む。中には燃えている棍棒やら杭やらを持ち出してきているやつもいるから、本気でかからないとこちらも危ない。

 で、俺の役目はだな。


「スイナ、下!」


「はい!」


「ヴィラ、壁から二体出てくる!!」


「小賢しい!」


「リュント、投げてくるぞ!」


「お任せを!」


 離れたところ、木の上から全体を見わたしながら各自に指示をする。戦えないからねえ……しくしく。

 おっと、土壁の内側で炎が燃えてるからその関係で壁にヒビが入ってきたな。


「セリカ、そろそろ壁強化!」


「任しときい!」


 とまあ、こういうのも俺がやるわけである。荷運び屋はまともに戦闘力がない分、観察とか指示とかができたほうがパーティ全体の役には立てるからな。

 と。


「エール! ……ナーガがいます!」


「そっちか!」


 リュントの声に、うわあと顔をしかめた。

 ナーガ、ドラゴン亜種のモンスターだ。水のそばにいるから、言われてみればこの場にいてもおかしくないってな。くそ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ある程度戦闘要員揃ってるなら指揮官重要だよね
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