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絶望の足音5
村は一言で言うとひどいだった。立ててあった看板は折れ、屋根の無いひしゃげた家が散らばっており、
何より人のいた形跡が完全に消えていた。ここにいた人たちがどうなったかは一目瞭然だろう。
「どうして、あれ?村のみんなは。どこに?両親は。」
頭がおかしくなっていた。
「あははは、みんななんで隠れてるんだろう。鬼ごっこかな?」
リナの件だって回復していたわけじゃない。ただ無意識のうちに隅っこに追いやって、自分を守っていただけだ。そこにこの仕打ちだ。保つわけがなかった。
「うふふふ、街にいるのかな?あはっ、あはははは」
ただ乾いた声を漏らしながら街に向かった。
「絶望まであと一歩。」