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魂の継承者〜導く力は百万の前世〜  作者: 末野ユウ
第二部一章 王都へ
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『王立学院アインズホープ 正体』

「モ〜モちゃん。大丈夫?」

「……あれ? わたし、なにを」


 正気に戻ったモモは、アニの呼び声にぼーっと答えた。


「そ、そうだ! アニちゃん、大丈夫? 怪我はない?」

「大丈夫、みんな無事だよ。ありがとう、私たちのために怒ってくれて」


 アニに抱きしめられたモモはお礼を言われる意味が分からず、恥ずかしさで頬を赤らめた。


「さーて、皆の衆。そろそろ食事にしようかの。ほれ、食堂に急げ!」


 ガルフは結果に満足しながら、手を叩いて明るく言った。


 ナミラたちは四勇士が案内役を自ら務め、無礼を謝罪された。モモはバーバラとアニに囲まれながら、道中それぞれの相手と親交を深めていた。


「……きみには本当に驚かされたな。それに、聞きたいことが山ほどある」

「いいですよ。でも、勝者の特権でこっちからいいですか?」


 グレイヴが頷くと、ナミラは前に立ち塞がり一行の足を止めた。


「歩きながらじゃダメかい?」

「そうですね」


 ナミラはすべてを見透かすような視線をグレイヴに向けた。


「あなたが使った威光剣という技。あれは本来、王家秘剣。威光王剣バシレウスという技のはずだ」


 グレイヴはなにも言わず、驚く仲間たちの声を聞いていた。


「王家秘剣は、王の直系にのみ伝わる秘伝。だから今まで誰も気づかなかったのでしょうけど、おかげで確信を得られました」


 ナミラが微笑むと、グレイヴは観念したかのように目を閉じた。


「昨夜セリア王から手紙が届き、俺は貴方を探す密命を受けました」


 ナミラがおもむろに跪く。


「セリア王国第一王子。アレキサンダー・フォン・キングス・セリア様」


 四勇士の仲間やアニたちが、信じられないといった顔でグレイヴを見る。

 すると、みるみるうちに長い金髪が短く縮み、体格も一回り小さく変化していく。

 魔法で変身していた仮初めの姿から、本来の容姿へと戻ったのだ。


「その通りだ……お前たち、今まで騙していてすまない」


 口を開けて固まる四勇士に、アレキサンダーは頭を下げた。


「さて、色々ありますが……とりあえず、いい加減出てきたらどうです?」


 ナミラが声をかけると、建物の陰から一人の男が姿を現した。

 ナミラたちが乗ってきた馬車の、御者の男だった。


「こんなところでなにをしている。学院の中は、お前のような男がうろうろしていい場所じゃない」

「申し訳ございません。少し道に迷ってしまいまして」


 アレキサンダーが追い出そうとしたが、ナミラが笑って静止した。


「もう芝居は必要ないですよ。はじめから気づいてましたし」

「あ、本当に?」


 とぼけた声を上げ、御者は深く被った帽子を脱ぎつけ髭を取った。


「よぉ、久しぶりだなドラ息子。俺と違って変装が上手いなぁ」

「父上っ!」

「ルイベンゼン王っ!」


 本来なら玉座に座っているはずの王が、ニヤつきながら立っている。

 ナミラ以外の全員が驚きの声を上げ、慌てて跪いた。


「色々積もる話もあるが、これだけは言わせてもらうぞ……もう逃さないからな?」


 引きつった笑みで後ずさったアレキサンダーの肩に、ナミラが逃さぬよう手を置いた。

 アレキサンダーはガックリと肩を落とし、諦めの表情を浮かべた。


 空にかかる虹は半日以上輝き続け、多くの人々が目にした。

 ある者はその美しさに、新たな時代の到来を感じたという。

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