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魂の継承者〜導く力は百万の前世〜  作者: 末野ユウ
第二部一章 王都へ
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『英雄の名は』

 大陸の東に位置するセリア王国。

 その王都セリアルタは、精巧な石造りの建物が立ち並び、この国伝統の赤い屋根が陽光を受けて眩く佇んでいる。街はセリア城をぐるりと囲むように造られ、整備された石畳が敷き詰められている。

 街ごと覆う城壁の東門から太陽通りと呼ばれる大通りが、城の正門に向かって真っ直ぐ伸び、多くの商店が建ち並ぶ交易の場所でもあった。

 旅人に「朝日と人ときんが差し込む道」と呼ばれたその道は、この日最も華々しい盛り上がりを見せていた。

 

 世界の危機を救った英雄たちの凱旋。

 しかも、一人は歴史上類を見ない力を授かったという。


 物語のような英雄の存在は、老若男女問わず強い関心を集めた。

 太陽通りを練り歩いたパレードでは、雷迅らいじんの賢者ガルフをはじめテーベ村騎士団の若き勇姿など、戦争の凱旋では見られない光景がさらに好奇心を駆り立てた。


「静粛にっ!」


 一行が城にたどり着くと、魔法で声量を増した左大臣の声が響いた。

 テーベ村をはじめ、各地の空に浮かんだ長方形のスクリーンには、着飾った姿が映されている。


「セリア王国、第二十五代目国王。ルイベンゼン・フォン・キングス・セリア様からの御言葉である!」


 隣に立つセリア王が、数歩進み出た。

 右手に王笏おうしゃくを持ち、真紅のマントに身を包み、代々受け継がれてきた王冠を頭上に輝かせる絶対君主。

 齢四十を越えてもなお、威風堂々とした王の風格は高まり続けている。


「国民よ……いや、世界の国々に言葉を送ろう」


 王は真っ直ぐな瞳で言った。


「北の大地を、世界滅亡の力を持つ厄災が襲った。ゼノ山脈は消え去り、確認できる限りバーサ帝国は正体不明の暗黒に包まれている」


 テーベ村の村人たちは、自然と北の方角に視線をやった。


「その厄災は『魔喰』と呼ばれるもの。雷迅の賢者ガルフの最高位魔法すら、滅することはできなかった」


 映像を見ていた人々に、どよめきが起こる。


「しかし! 勇神アインの御力が働き、女神シュワは我らが冥界へ大挙することを許さなかった! 砦の兵士や村の勇敢な若者たちが、その進行を防いだ。そして、賢者ガルフの娘モモは最高位魔法を超える新たな極地。超天魔法を生み出したのだ!」


 今度は「おぉ!」という歓声が巻き起こった。

 スクリーンは誇らしげなテーベ村騎士団の中で、恥ずかしそうに頬を赤らめるモモの姿を映した。


「だが、魔喰はそれをも喰ろうた。だが! 奇跡は終わらなかった! 我ら人間族の永き歴史上類を見ない、最強の戦士が目覚め、見事魔喰を討伐したのだ!」


 いよいよ高まった人々の興奮が、今にも爆発しそうだった。


「今日は、歴史に刻まれる偉大な日となる。この勇者と同じ時代を生きれることを、私は誇りに思う。皆も、そうであってほしい」


 セリア王が横に動くと、スクリーンの端で隣に並ぶ人影があった。


 絶対たる王と並び立つ。

 それだけで、この国では何にも代えがたい名誉であった。


「では、紹介しよう」


 王は改めて、大きく息を吸い込んだ。


「この者こそ、厄災魔喰を倒した英雄! 人類で初めて、四元素の妖精と契約した妖精剣士シュウ・タキメノである!」


 国中で大歓声の爆発が起きた。

 

 称賛と尊敬の声が絶え間なく投げかけられ、聞いたばかりのその名を誰もが呼んだ。

 シュウがおもむろに剣を抜き、天にかざすと契約した妖精たちが螺旋を描いて現れ、四色の光を放った。

 王の言葉に半信半疑だった者も、シュウの力が本物であることを認め、改めて驚愕した。


 胸を張りつつも、緊張で固い笑顔を見せるシュウ。


 そんな父の姿をナミラは笑いながら眺め、誰にも負けない拍手を送っていた。

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