表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも僕は最低ですか?  作者: 礎彩月
6/9

6話 妹

5話まで読んでいただけたでしょうか?

読んで頂けたらコメントや評価をお願いします。


さて今回は6話『妹』です。

今回は今までの学校での物語から少し離れて

妹のことで咲太が奮闘します。


体育祭から2日がたった。今日は体育祭の振替休日だ。

ほとんどの人は普段は混んでて土日にはなかなか行けないディズニーランドや、ラウンドワンなどに行って体育祭のあとのつかの間の休息を楽しんでる。もちろん俺も誘われたがバイトがあるので断った。


前にも言ったが俺には母親がいない。だから自分の小遣いは自分で稼がなきゃいけない。それと紗季のお小遣いも俺が出してる。父親が生活の基盤となるお金は払ってくれているが僕達のお小遣いまでは手が回らない。兄もいるが兄は自分の大学の学費を父と一緒に払ってるためバイトしてもお金はほとんど余らない。


俺は近くのファミレスで働いているため中学の知り合いとかがよく来るから結構楽しくやれてる。

今日は珍しく平日の昼間に働いているからお店には常連のおばさん達しかいない。お昼ご飯の時間はサラリーマンたちが多少は来たから少しは忙しくはなったがいつものように団体客がいる訳でもないので案外楽だった。


休憩時間にはいり、一昨日の大輔の言葉の意味を考えてた。昨日のバイトの休憩時間も考えたが全く思いつかなかった。だが大輔は根拠のないことを言ったりするような人間じゃない。どうしてあんなに勉強ができないのにものを考えるのが早いのか疑問だ。



近くの小学校の低学年の子達が帰宅する頃に俺もタイムカードを通して家に帰った。紗季が帰ってくるのは1時間後ぐらいだろう。夜ご飯の仕込みをしたら帰ってくるだろうと思っていた。


だが2時間たっても紗季は帰ってこない。

委員会には入ってないし、今日は部活は休みのはずだからこんなに遅いのはおかしい。少し心配になって

中学校の方に探しに行った。


けれどいつも紗季が通ってる道に紗季の姿はなかった。そのまま駅の方を探しに行くと見慣れた制服を着た紗季がいた。ただ放課後に駅の方まで来て遊んでるだけにも見えるが一緒にいるのは、紗季のひとつ上の先輩でよく悪さをしていると噂されている女子3人組だった。


紗季がそんな人たちと関わるなんてありえない。

それは全くなんの根拠もないが、紗季と今まで一緒にいたから分かる。それに紗季はそのままゲームセンターに入っていったのだ。うちの事情を考えると、ゲームセンターに行くなんてあまり考えられない。


俺が考えられる可能性は2つだ。

1つは俺の知らないところでそっち系の人たちと関わるようになったか。もう1つはあの女子たちに脅されてるかのどっちかだ。だが紗季の正確から考えると前者の方は考えずらい。とするとひとつの仮説を立てた俺はそれを証明するために紗季が帰ってきてからひとつ質問をした。

「ゲーセン楽しかったか?」


「え、なんで知ってるの?」明らかに驚いた表情だった。


「今日たまたま駅の方行ったら、見かけたんだよ」


「そうなんだ、うん楽しかったよ」紗季は耳の後ろを触りながら話した。紗季が嘘をつく時は必ず耳の後ろを触るのが癖だ。


「そっか、ならよかった。」


「うん」明らかに楽しかったことを話すような顔ではないことは分かった。


「なんか、困ってることあったら俺に言えよ」


「うん、ありがとう」これ以上は何も言わなかった。

無理に聞き倒せば何があったのか言うだろう。だが、そんな事までするつもりはない。言いたくないことは言わなくていい。これが俺の考えだ。そのうち本当に大変になったら必ず頼ってくることは分かっていたから。


翌日、体育祭のあと最初の学校の日だったこともあってかクラスに落ち着きがなかった。だが修斗は俺に告白の話をしてこなかったから香織はまだ答えをだせていないのだろう。


帰宅して夜ご飯を済ませた後に、紗季が俺の部屋に来て「あの、お兄、お金欲しいんだけど」申し訳なさそうにお金をねだる所は昔と変わらない。だが、今回は何かがいつもとは違って少し声が震えていた。


「いくらほしいんだ?」いつもお金が欲しいと言われたらこう聞いている。


「1万円」声にならないくらい小さな声で言った。

こんなに申し訳なさそうにしてるのは大金を要求するのが初めてだったからなのか他の理由があるのか答えは目に見えていた。


「何に使うの?」


「えっ、あ、あの、その」何も考えていなかったのか焦っていた。まるでライオンにおわれる草食動物のように


「紗季、やっぱり何かあったのか?」


「え、いや、えっと」


「やっぱり何かあったんだな」

「怒らないから言ってみな」


「本当におこらない?」


「俺がお前に怒ったことあるか?」


「確かにそうだね」

「えっと、」ぼそぼそと何があったのか話始めた。

つまりは俺の仮説通りだったらしい。あの女子3人に脅されていて、ほかの誰かに言ったりしたらボコすぞ的な事だったらしい。


「紗季って担任の先生誰だ?」


「えっと、近藤先生だけど、先生に言うの?」


「えっ、あつしちゃんだったの?」


「知ってるの?」


「知ってるも何も俺は中学3年間ずっとあの人が担任だよ」近藤先生はうちの事情も知っていて、特待生制度を教えてくれた張本人だ。


「でも、先生には言わないで、、、」


「先生に言ったらボコすとか言われたのか?」


何も言わなかったが小さく頷いた。


「でも先生には言うよ」


「でも、そしたら」俺の言葉を遮るように言ってきた。


「大丈夫だよ、あの人は俺が身内以外じゃ大輔の次ぐらいに信用してるから、事情を話したら分かってくれるよ」


「でも」紗季は何かを言いたそうだったが、言わせる暇も与えないように学校に電話した。


「1年3組の榊原紗季の兄なんですが、担任の近藤先生はいらっしゃるでしょうか?」こうは聞いたが近藤先生はいつも1番最後まで仕事している人だからいるのはわかっていた。


「少々お待ちください」その声の後にお決まりの保留音が流れた。


少し経ってから

「はい、お電話は変わりました。近藤です。」


「紗季の兄の咲太なんですけども」


「おー咲太かー、どうした珍しく俺に敬語使って」俺は中学3年間で近藤先生に敬語を使ったことがない。だが近藤先生に敬語を使わない生徒は結構いて、先生もそれを嫌がってなかった。


「一応今は紗季の保護者ってことなんで」


「そうか、で、どうした?」俺はその後に紗季に何が起こってるかを話した。だが、ひとまず何もしないで欲しいと言った。近藤先生はどうするのか俺に聞こうとしようとしたがそれを取りやめて、「じゃあ解決したらまた電話してください」とだけ言って電話を切ってくれた。


「紗季、明日もヤンキー達とゲーセン行く予定なのか?」


「いやまだ言われてないけど明日の放課後にどうせ人目のつかないとこで言われるよ」


「そうか、じゃあ明日は学校終わったらできるだけ早く帰ってこい」その後にどうするかを言った。





次の日

紗季が帰って来たのと同時に「ちゃんとやれたか?」と聞いた。


「うん、だけど」


「よしそれじゃヤンキーの家に行くぞ」


「えっ?どういうこと?」


「まぁお兄に任せろ」


そう言ってヤンキー3人組のリーダー的な存在である

高橋というやつの家に行った。


「紗季いいか?俺が聞いたことだけに答えろ、向こうの両親に何を言われても俺が良いと言うまで堪えるなよ」そう言ってピンポンを押した。高橋を恐れて紗季が事実を隠すのが怖いのでこう言った。


高橋のお母さんが出てきた。

「海城中学の榊原の兄なのですが、娘さんのことについてお話したいのですが少しお時間よろしいでしょうか?」


「うちの娘何かやりました?」深刻そうな顔をしていた。


「いや、それも含めてお話したいのですが」


「分かりました」そう言って家にあげてもらった。


中に入ると「娘を読んできますね」と言ってきたが


「あの、出来ればお母様とお話したいんですが」そう言って俺が紗季の方を見るとお母さんは俺の意図したことを察したように

「分かりました。では居間に来ないように言ってきますね」


「ありがとうございます。」



そうして戻ってくると父親も一緒にやってきた。

サラリーマンだとは思うが体つきがよく何かスポーツでもやってるのかと思う。


椅子に座るとお茶を出してくれた。その後簡単な挨拶を済ませたところで本題を話し始めた。

「一言で言いますと、うちの妹が娘さんたちにお金を要求されて脅されたということです。」母親は驚いたようにしていたが父親は至って落ち着いていた。


「何か証拠はありますか?」


「証拠ですか?」


「ええ、うちの子は町でもよくない噂が流れていますが今までこんな風に家に来た人はいたのですが、それは全部当て付けがましいものばかりで、こう言うのもなんですがこちらも信じるには何かがないと」これ以外にも色々と悪事を働いていると思ったがここまで親に信用されているということは親の前ではいい子ちゃんを演じているのだろう。そう思った。まぁあの怖そうな父親の前でいい子ちゃんにならない方が難しいだろうが


「そうですよね、では」そう言って紗季のスマホを出した。「これが証拠です」そう言って録音した音声を流した。


音声を聞いた後「まさか、本当にこんなことを」高橋の父親は偉く驚いていた。俺が流した音声は今日、紗季が高橋たちに脅されている時の音声だ。俺は昨日のこのように紗季に指示していたのだ。


「明日早く帰ったらスマホを持って、高橋たちのところに行ってこい。行くって行っても紗季からは声をかけるなよ。近くを通って話しかけられるのを待て。そうしたらおそらく脅されるだろう、それをちゃんと録音しておけ、あとお金を要求されたら1度「嫌だ」ときっぱり断るんだ、そしたらボコすぞとか言ってくると思うからそしたら分かりました。とか言え。紗季が痛い思いする必要は無いからな」このように指示をしていたのだ。


「これで納得頂けましたか?」


「はい、娘が申し訳ないことをしました」


「それでこの後のことについてなんですけど、僕からひとつ提案があります」


「なんですか?」


「僕たちが望むのは、取られたお金の返却とこれ以上は紗季に関わらないで欲しいという2つだけです」

「これに対して不満があるのでしたらこちらはこの事を警察に通報します」父親に何も言わせないように付け加えた。


「分かりました。寛大な解決を感謝します。」父親は話のわかる人で良かった。おそらく俺がこれを警察に提出すれば高橋はただでは済まないだろう。だが俺は高橋の未来に泥を塗りたいんじゃない。紗季が安心して中学生活を送れればそれでいいのだ。


「お金を使ったのは高橋さんだけではないのでお金をどうゆう配分で返していただくかはお任せ致します」


「かしこまりました。それでは」そう言って取られたお金を全部出してくれた。後は向こうの両親達で話してどうにかしてくれるといった感じだった。


「それと最後に紗季にこれ以上手を出したら本当に警察に通報すると娘さんに言っといてください」これだけ言ってあとは挨拶をして、家に帰った。その後、近藤先生には解決したことを伝えた。


紗季の事は無事解決して、少し浮かれていた。

この後にもっとめんどくさいことに巻き込まれるとは知らずに

(面白い)(先が気になる)と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想も心よりお待ちしております。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ