表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんなお母ちゃんはイヤだ。  作者: ヒロくん
35/36

そんな料理はイヤだ。

 朝のお母ちゃんはいそがしい。台所を行ったりきたりコーヒーのんだりしながら、おれとアッチの朝ごはんを作って水とうをつめて、カバンやマスクといっしょにそろえてくれる。(ちなみにしょっちゅう、どれか1コ忘れてる)


 でもある朝、お母ちゃんが言った。


「ヒロくん、目玉焼き作ってみるか?」


「えっ、なんで?」


「お母ちゃんが子どものころ、家庭科実習で 『おれクッキ○グパパ』 とか言いながらすいすい料理作ってる子がいてな、それがめちゃくちゃカッコ良かったんや。料理できるとモテるぞー」


「それはどーでもいーかな。おれリア充なんてめんどうだし。ばくはつしろ」


「小学生でかれるな、ヒロくん……!」


「でも目玉焼きはつくれるようになりたい!」


「よしよし。えらいぞヒロくん」


「おれが自分で作れば、黄身がとろとろの卵がいつでも食べられるもんね!」


「…… いや。お母ちゃんも、とろとろで火を止めるんやで。そのあとやな、ちょっとアレコレしてる間に余熱で」


 しょーがないな。やはり、おれが目玉マスターになるしかない。


 まず、お母ちゃんに教えてもらったとおりに、フライパンに油をいれてガスの火をつける。油がじんわりのびていくのが、おもしろい。


 いよいよ卵をわるぞ!


「こうな、シンクの角とかつかって、卵をコンコン当てて、ひびを入れて……」


 お母ちゃんの手からフライパンの上に卵の、とうめいでツヤツヤした中身がポトン、と落ちてジュッと音がした。


 よし、おれもやるぞ。

 まずは角にコンコン…… あっ。


 ぐしゃっ。


 おれの手のしたで卵は、かいめつしてしまった。


「おっと」


 お母ちゃんが、流しに落ちそうになった卵を手ですくって、フライパンに落とした。


「セーフ」


「それセーフっていわんやろ!」


 黄身の部分が完全につぶれて、全然おいしそうじゃない。


「いいや。セーフや…… いいか、ヒロくん、覚えておきなさい」


 お母ちゃんは、すごくまじめな顔になった。


「食材は、火を通せば食べられるんや!」


「そんな料理イヤだ」


「そうかー? 料理に対する勇気がわく、名言だと思うけどな」


「次は成功させるぞ!」


 こんこん、しんちょうに卵にヒビを入れる。

 フライパンの上で、割る。

 うまくいった…… あっ。


 べしゃ。


 フライパンに着地したしょうげきで、卵の黄身がつぶれてしまった……!


「おれ、やっぱり才能ない。もうやめる」


「そんなあんた、たかが2回の失敗で。最初はみんなそんなもんや。何度もやってたら、なれてくんねん」


 塩で味付けして、水を入れて、ふたをして……


「とろとろが好きやったら、早めに火を止めるで…… 黄身がピンクになったらもう遅い。黄色のうちに止めて、余熱で仕上げればちょうどちゃう?」


 お母ちゃんの言うとおりにしたら、お皿についだときには卵はやっぱりトロトロじゃなくなってた。


「お母ちゃん……!?」


「あれ、おかしいなあ。あかんかったか」


 まーこれもおいしいやん、ヒロくんがはじめて作った目玉焼きやで、味付けも上手にできたねー。


 お母ちゃんはニコニコしながら、黄身がつぶれて固くなった目玉焼きを食べた。


 …… こんなんおいしいわけないやん。

 お母ちゃんはおおざっぱすぎるから、いつもトロトロの目玉焼きが作れないんだな。 


「いや、お母ちゃんは実は、黄身がかためが好きなんです」


 ―――― おれ、やっぱり目玉焼きマスターになろう。


 あらたに決意をした、おれだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お母ちゃんが書いてる(主に)ガーデニングの写真付きエッセイはこちらです。

i525752
バナー製作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[一言] ほっこり目玉焼き話ですね~(^^♪ ちなみに私は柔らかめが好きです☆彡
[良い点] かための目玉焼好きですよ? 食べやすいし、食器も汚れづらいですし。 あと、かための黄身を無理矢理ごはんと混ぜて醤油をかけると、トロトロの黄身と比べて食感に重みが出て、美味いと思うのですよ。…
[良い点] きっとヒロくんは上達する気がします。 作ってくれる人に困らないほどモテモテならいいですが、そうでなければ作れた方がいいですよー。 眼鏡をかけた猫も最低限作れてました。 慌ただしい中、おおざ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ