おれとアッチとついでにお父ちゃんの、バースデー大作戦。
朝、けんこうしんだんに出かけたお母ちゃんは、お昼すぎにヨロヨロと帰ってきた。
「バリウムさいあく…… もう2度としない」
と言い残して、ひるねしている。
お母ちゃんによると、生まれてはじめて、『食用コンクリみたいなもの』 と 『炭酸のこな』 をいっしょに飲んだそうだ。
「それからな、ゲップをがまんしながら台の上に乗って、ななめになったり引っくり返ったり、それはもうグワングワンと…… あれは軽くゴーモンやった…… まだきぼちわるい…… おなかいたい……」
それはともかく、今日は、お母ちゃんのたんじょうびだ!
だからおれとアッチは、いっぱいお祝いしてあげたくて、プランを立てた。
まずは、グッタリしてるお母ちゃんを、グラグラゆすって起きてもらう。
「お母ちゃん、ハッピーバースデー!」
「おかあたん、たんじょうび、おめでとう」
「おう、ありがとう、ヒロくんもアッチも」
お母ちゃんはそのたびに、ニコニコして、おれたちをぎゅうぎゅうしてくれる。
…… よし、そろそろ、おれたちのおかげで元気になったっぽいな。
そしたら、第2だんだ!
「ねえねえ、お母ちゃん、見てて!」
おれはあおむけにねころがって、ぽん、と上にのってきたアッチを、両手と両足で支える。
「ほら、アッチ!」
「おかあたん、おたんじょうび、おめでとう!」
おれはアッチをぽいん、と飛ばす。
これがおれたちの 『おいわいヒーロー』 だ。
(空とんでるヒーローのイメージ!)
「おーすごい! ありがとう!」
お母ちゃんがはくしゅして喜んでくれたから、おれたちは何回も組たいそうをした。
それから、夕ごはんはパーティーだ!
おれはお父ちゃんに、おすしを山もり、たのんでもらった。
おれは、おすし大好きだからな!
お母ちゃんは、「口はおいしいけど胃が受け付けない……」 と言いながら、ケーキだけはたくさん食べてた。
お母ちゃんの好きなフルーツたくさんのケーキ、おれのチョイスはバッチリだ。
パーティーのあとは、いよいよプレゼントタイムだ!
プレゼントは、おれとアッチが選んだ、かごバッグだ。
お母ちゃんはいつも、同じバッグを持ってるからな。
「ねーねーお母ちゃん! この麦ワラが、夏っぽくていい感じでしょ?」
「うんうん、すずしそうでいい! おしゃれだね」
「ぼくとヒロくんで、えらんだんだよ! かわいいでちょ」
「うん、すごいかわいい!」
お母ちゃんはめっちゃ喜んでくれた。
おれとアッチのプランは、だいせいこうだ!
「ごめん、ちょっと、もう限界……」
お母ちゃんはそのあと、2回くらい、必死にト○レに、かけこんでいた。
バリウムの後に飲んだお薬が、効いてきたんだって。
―――― お母ちゃん。
たんじょうびの日に、けんこうしんだんは、もうやめたほうがいいんじゃない?




