おれとお肉とプレゼント。
コロナウイルスのせいで、おうちに引きこもりになってた3ヵ月が終わって、やっと学校が始まった。
ついに、2年生だ!
……が。
おれにはひとつ、問題がある。
それは……
は ら の に く
だ。
お外にほとんど出ず、食べるだけ食べている間に、おれのお腹には、ぽっこり肉がついたのだ。
父ちゃんは、なにかというと 「コロナ太り」 「でぶ」 とおれをからかう。
その度に母ちゃんが、「ヒロくんが気にするやろー!」 と父ちゃんを怒る。
……いや、気になるけどな!
「気にするなー! 成長期やから、普通にしてたら、すぐ戻るわ!」
って、母ちゃんは言ってくれるんだが……
そのすぐ後で、
「そういうワケで、腹肉つまませてー! ぷにぷにー♡」
ってやるのは、やめてほしい!
「きゃー♡ やめられない! この柔らかさ♡ めっちゃイイ♡」
とか、喜ばれても、おれはちっとも嬉しくない……! なんだかこそばいい感じがするが、嬉しいわけじゃ、ないんだ!
けれども母ちゃんは、『尻はなでる用、腹はもむ用』 と決めたらしい。
「尻肉腹肉インフェルノ~!」 とか、変なことを言いながら、おれの腹をもんでくる。
そんなある日。
おれは、母ちゃんの誕生日プレゼントを、一生けんめい考えていた。
なぜなら母ちゃんは 『何がほしいー?』 と聞いても、『んー…… あんたらがしっかりご飯食べて、ケガも病気もしない1年間』 だとか、アホなことばっかり言うからだ。
「そんなんじゃなくて、普通のもの!」
「うーーーん」
母ちゃんは真剣な顔で悩みまくってる。
「おれ、お金600円ためてるから、何でも買ってあげられるよ!」
「それはヒロくんの好きなもの買いなよー」
「いいの! 買ってあげるのが楽しいの! アッチにも、う○い棒買ってあげたりしてるんだぜ!」
「うーーーん……」
母ちゃんはそれからしばらく悩んで、やっと決めた。
「腹もみフリーチケット。20年間有効で」
「よっし、OK!」
おれも、かくごを決めた。
以後、母があまりにヒロくんの腹をぷにぷにするので、弟のアッチくんは自ら 「おなか ぷにぷに ちて」 と志願するようになりました。