おれたちのストレス解消法。
コロナもそろそろ終わりかな、なんて、お父ちゃんとお母ちゃんがニュースを見ては話し合っている。
終わりになったら、うれしいな。
おれは早く、学校に行きたい。
友だちにも会いたいなー。
ちょっと前に1かい、お母ちゃんにおねだりして、テレビ電話で友だちと話した。
……話したいことはいっぱいあったのに、いざってなると、気持ちの方が先にいっぱいになって、何をしゃべったらいいか、わからなくなってもーた。
おれは、ひたすら花とか虫とか石ころとかを映して、教えてあげた。
後でお母ちゃんが言った。
「しょうちゃん、照れちゃってたから、ずっと、だまってたんだって!」
そんなこと、わかってる。おれもだったし。
「あとで、ヒロくんとゲームのお話すればよかった、って言ってたらしいよー」
そうだな。おれも、そう思う。
「お母ちゃん、またしょうちゃんと話したい!」
「そうやねー、またねー。でも、その前に学校始まるといいな!」
お母ちゃんは、ブツブツと 「統計的に言うともう、普通に気をつければ、かかるひとはよっぽど運が悪い、ってレベルやのになぁ」 とぼやいている。
…… めっちゃ運が悪かったらかかる、って、おれは、こわいと思うんだけどなー?
おそろしいお母ちゃんだ。
そんな毎日の中で、おれはついに……!
究極の、ストレス解消法を見つけた。
それは。
は だ か お ど り だ !
お母ちゃんに見つかると、「服着なさい!」 とうるさくいわれてしまう。
だから、チャンスはお母ちゃんが買い物に出てる時だ。
おれは、すかさずTシャツをぬぐ。
アンダーシャツも、もちろんぬぐ。
ズボンとパンツは、いっしょにぬぐ。
すっぽんぽんだぜ!!
ひゃっはーーー!!!
弟のアッチも、おれのまねをしてぬぐが、途中で泣き出した。
「ぼく、うえ、どうやったらぬげるのか、わからないようー!」
「じぶんでがんばれよ」
「いやだようー! ひろくんが、ぬがちぇて!」
しかたがないなー。
おれはしぶしぶ、アッチを脱がせてやる。
ふたりで、すっぽんぽんだぜ!
おどりまくるんだー!!!
ひゃっはーーーーー!!!
めっちゃ、きもちいい!!!
「なにしてんねん! おまえらー!」
はだかで騒ぎまくってると、お父ちゃんがきて、ちょっと怒られた。
「お父ちゃんも一緒に、はだかおどりしよー!」
「ちよー!!」
「あほー! するかーー!」
さっさと服着ろ、と怒られたけど……
「いやだー!」 「いやー!」
アッチと一緒に、おお父ちゃんから逃げまくる!
「ぅわぁぁぁん!」
アッチが泣き出して、見たら、ついにお父ちゃんに捕まってた。
アッチはまだ小さいからなー。
押さえつけられて、無理やり服を着せられてる。
負けるなアッチ!
男の意地を、つらぬくんだ!
……けど。
「グミ食べてもいいで!」
「うっ、うぇ…… オレンジのはいやだよう」
「じゃソーダにしたら」
「ぅぇーん、うん、ぼく、ぅわぁん、チョーダにちゅる! ぅぇーんぅぇーん!」
泣きながらも、確実に、オヤツにつられていくアッチであった……。
くそう!
おれだけでも、最後まで生きのこってやるからな!
オヤツなんか、いらないぞ!
逃げまくる、おれ。
だが、敵はつよい。
あっという間に追いつかれて……
「こらーー!!」 と、ひっぱられた。
なにが、っていうと……
おれの、だいじなイチモツが、だ!
……お父ちゃん、ひどいんだぜ。
よし!
おれは、心に決めた。
今度は、絶対にお父ちゃんも、はだかおどりさせてやろう。
そして、お父ちゃんのだいじなイチモツも、いっぱい引っ張ってやるからな……!
お ぼ え て ろ !
そして、夕ごはんの時。
おれたちは、お母ちゃんに報告した。
「こんどはおれが、お父ちゃんのを引っ張ってやるからな!」
「やめときー汚いで」 と、お母ちゃんはクールだ。
「おとこはみんな、はだかおどりするんやー! イチモツがぶらぶらするのが楽しいんやー!」
おれが主張しても、お母ちゃんはクールに 「あほやなー」 と返してくる。
「あんたらがいちばん賢かったのは、赤ちゃんの時やな! 後はアホになる一方や」
それはしかたない。
「だってアホなことするのが楽しいんだよー!」
「さよかー」
おれとお母ちゃんが話してると、お父ちゃんが、やたらデレデレとした顔で口をはさんできた。
「お父ちゃん、お母ちゃんに引っ張ってもらいたいなー」
「あほやなー」
……お母ちゃんは、やっぱり、クールだった。
母:我が家では、とりあえず早期の性教育は行っておりません。
……行ってない、はずなんですが…… なぜか息子たちは勝手に下ネタスキーに成長し、それに乗っかる一番上の大きい子が……orz