第57話 うわっ…俺のMP低すぎ……?
久々に悠斗とふじこのステータスを開示させました。
お互い文句でも言ってやろうと顔を上げた瞬間、見覚えある巨大な海龍の姿が目に入る。
「…………えっと、こんにちは?」
既視感を感じる悠斗。
そこには倒したはずの海龍リヴァイアサンが姿を現した。
「生きていたのか……?」
「みんな構えて!」
アルマの声に急いで武器を構える悠斗達。
そんな彼らを見てウンディーネは。
「みな安心するのじゃ。警戒する気持ちも分かるが、今のこやつはお主達の敵ではない」
そう続けてウンディーネは悠斗達に振り返り、話しを続ける。
「そう……なぜならこやつは元々わしが召喚した召喚獣だからじゃ!」
ドヤ顔を決めるウンディーネを見て悠斗は、プニプニと柔らかそうな両頬を摘んで引っ張った。
「この……! この……!」
「痛ひゃい、痛ひゃい! こっ……この大精霊様に向かって何をするのじゃ!」
「もっと俺達に合った試験官を用意しろ!」
「しっ仕方なかろう。われと契約するんじゃからあやつ程度に認めてもらえねばテストにならぬ。それに無事生きているんじゃからよいではないか」
ウンディーネは慌てるようにして「ほれ、早く行くぞい」と言って誤魔化そうとする。
悠斗はそんなウンディーネの手を捕まえて。
「まあ待て待て……それで本音は?」
ウンディーネはゆっくりと顔を振り向いて。
「――わしが召喚できる召喚獣の中で話せる奴がその……こやつだけだったのじゃ……寂しかったのじゃ……」
それを聞いた悠斗は、何も言わずウンディーネの頭を撫でる。
「…………それじゃ行くか」
悠斗はこの話題にこれ以上触れないよう振る舞いながら周囲を見渡す。
もちろんアルマ達も触れない。
「そんでここからどうやってマリーディアへ行くんだ?」
「ここはこやつの寝床みたいな所での……唯一外海と繋がっておる」
そう言ってリヴァイアサンの側まで歩いていくウンディーネ。
リヴァイアサンの大きな体表を撫でながら指を前方に向ける。
「この海を潜って行くと入り江へと繋がっておるのじゃ」
「海を……潜る?」
「そうじゃが?」
悠斗の疑問へ当たり前のように答えるウンディーネ。
「リヴァイアサンは海龍だから問題ないし、ウンディーネは精霊だから大丈夫……なのか? だけど俺達は精霊でもなく水中呼吸できる生物ではないのだが……」
当たり前のような疑問を叩きつける悠斗へ「そこで大精霊であるわしの出番なのじゃ!」と平野同然の胸を片手で叩くウンディーネ。
「ここならわしの神域じゃからお主に魔力がなくても、ここにいる者達を水中で呼吸できるようにするなぞ赤子の手をひねるより簡単じゃ!」
「へ~。なら安心だな! …………ちょっとまって、気になった所があるんだが」
ウンディーネの言葉に1つ疑問が出てきた悠斗。
「俺にもなけなしの魔力はあるぞ!? ……じゃなく、ここは神域? だからウンディーネだけでも魔法とか使えたりするんだよな?」
「そうじゃ!」
「じゃあここじゃなかったら……?」
恐る恐る聞いてみる悠斗に対して、ウンディーネは元気よくこう答えた。
「わしだけでは使えないのじゃ!」
「使うには契約者の魔力……つまりは俺の魔力が必要だったりする?」
「うむ!」
悠斗は恐る恐る自身のステータスを表示してみた。
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■名前
三嶋 悠斗
■職業
下級冒険者(F) NEW!※2
■称号
精霊の契約者 NEW!
■種族
ヒューマン
■ステータス※1
LV.60(+50)
HP : 1016(+804)
MP : 164(+128)
STR :163(+126)
DEX :206(+181)
VIT :268(+227)
AGI :177(+146)
INT :1(+0)
MND :96(+87)
LUK :28(+21)
■スキル
・くぁwせdrftgyふじこlp(Lv.3) NEW!
・言語理解(Lv.∞)
・精霊魔法(水) NEW!
■契約精霊
・ウンディーネ
-*-
■名前
ふじこ
■職業
スキル
■種族
くぁwせdrftgy
■ステータス
LV.3(+2)
HP : -
MP : 999999999999(固定)
STR :4(+2)
DEX :5(+2)
VIT :3(+2)
AGI :6(+2)
INT :999999999999(固定)
MND :32544(固定)
LUK :-
■スキル
・創造魔法
L みずてっぽう NEW!
・生命共有
・精霊共鳴 NEW!
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※1:「()」は前回からの成長度。
※2:NEW!マークは前回から新しく変更or追加された項目。
「(うわっ……俺のMP低すぎ……?)」
自身のステータスを見てそっと崩れ落ちる悠斗。
実際低いのか高いのかはわからないが、アルマ達のステータスを見たことはないけどLv60にしては低いと感じている。
悠斗がアルマ達へステータスを見せて欲しいと言わないのも、この世界でのセクハラになるのでは? と思って聞けずにいるのがあるからだ。
そんな悠斗の難しい顔に気づいたウンディーネは。
「そんな難しい顔をしてどうしたのじゃ契約者よ。ほれっわしにすていたすを見せてみよ」
悠斗はウンディーネへ自身のステータスを開示した。
「………………まあなんじゃ、魔力量が低くても、魔法素養が最低の1であってもわれはお主を見捨てたりはせぬのじゃ」
そう言ってウンディーネは小さい体で崩れ落ちてる悠斗の頭を優しく包容してやった。
「……ちなみにだけど、現在の魔力量だったら何ができるんだ?」
「そうじゃの……精霊魔法は消費が激しいゆえに、今の魔力量だと相手の手足を撃ち抜くか、それとも固めて足止めぐらいが限界かの?」
全然使えないと予想していたのだが、以外とできることが増えたので希望を宿す悠斗。
「ちなみにだけど……何回ぐらい使える?」
しかし……。
「………………1回か2回が限度だの」
「うわぁぁぁぁぁぁん! ちっきしょう! 絶対に強くなってやるーー!!」
この日、悠斗は異世界に来て1番大きな声を上げるのだった。