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第53話 謎の幼女とふじこの変化

「柔らかい人の肌……」


 悠斗が意識を取り戻して最初に吐いた言葉がこれだった。


「(膝枕をされてるような幸せな感触……ここは天国か? 何もかも出し切ったんだしそうに違いない)」


 人生始めて味わう感触に、目を開けることができるにもかかわらず、このまま永眠していたいと考える悠斗。


「(あれ? まてよ……天国ってことはこの膝枕をしている人物は女神様だと限らず、トゥリアナ様の可能性も……)」


 そう思ってしまった瞬間、全身に鳥肌が立った悠斗は勢いよく目を見開いた。


「――あの……どちら様で?」


「ようやく目が覚めようじゃな」


 透き通るような空色をした髪は波のようであり軽く肩まで伸びており、まん丸とした目が特徴的。


 鼻筋も通っていて顔立ちがはっきりしており、肌は染み1つないたまご肌。


 さぞ大きくなったら可愛らしく美人に育つだろうことが分かる美幼女はニヤリと笑みを浮かべて。


「いつまでそうしておるのじゃ? ……ははぁ、さてはお主、わしの美貌に見惚れておるのじゃな? 分かっておる、分かっておる。何も言わなくてよい。わしほどの美貌を持っている者に膝枕されては少々刺激が強かったか。美しすぎるとは残酷じゃの……」


「(あっここ天国じゃないな)」


 残念そうな幼女の言葉を聞いて冷静になり、ここが現実だとハッキリする悠斗はガバッと起き上がる。


 幼女は何やらブツブツと話しているようだが、悠斗は耳も傾けず自分の体をペチペチ触っていて話しを聞いていない。


 どうやら先の戦闘で受けた傷をチェックしているようだ。


 体中の骨は折れ、あらゆる所から血を吹き出す程に致命傷を負っていたにもかかわらず、セルフチェックをしてみればとくに痛みも違和感もない。


 なぜ自分は生きているのか、戦闘があったはずの形跡はなく、そしてこの幼女は何者なのか。


 疑問は山程あるが、今はいったんよそに置いてふじことアルマ達のことを探す悠斗。


 アルマ達はまだ倒れており、ふじこは呑気にスヤスヤ寝ている。


 無事な姿のふじこを見た悠斗は抱きかかえ、どこか傷がないかチェックをするが見当たらない。


「よかった……」


 悠斗が一安心してふじこの頭を撫でていた所、ようやく謎の残念幼女は自分の方を見ていないことに気がついた。


「……であるからして……って聞いておるのじゃろうな!?」


「わるいわるい、あとで話しを聞いてやるからちょっと待っててもらっていいか?」


「お主達の傷を治してやったのはわしじゃのに失礼な男じゃの」


 気分を悪くしたのか、両手を組み頬を膨らませている。


「君が助けてくれたのか!? 本当に助かった、ありがとう」


 本来なら「そうだね」と流すか無視をしているところなのだが、こんな場所に無垢な幼女が1人でいるはずもなく、悠斗はこの幼女が本当に助けてくれたんだと信じた。


 しかし、容姿の姿から身長までふじこと似たサイズであったので、ついいつもの癖で頭を撫でてしまう。


 頭を撫でられた本人は満更でもない様子で、顔を蕩けさせている。


「デヘヘ~って――はっ! 子供扱いするでな~~~~い!」


 どうやら子供扱いされたようでご立腹の様子。


 最近の子供は難しいな~っと呑気に考える悠斗。


 ツッコミ不在のままワチャワチャと騒がしくしているため、側で眠っていたふじこが起床した。


「おっ目が覚めたか」


 寝ぼけているふじこは、手で水を出すとバシャバシャ顔を洗う。


 悠斗は比較的綺麗そうな布を取り出して、ふじこの顔を拭いてやる。


「……うぬ? うぬぬぬぬ?」


 そんなふじこを見て、謎の幼女は難しい顔をする。


 意識がハッキリしたふじこは見知らぬ声が聴こえる方向へ顔を向けた。


 目と目が合う幼女☓幼女。


 難しい顔をしながらもふじこをガン見する幼女に、片や見知らぬ幼女にガン見されて固まる幼女(ふじこ)


 自分から積極的にコミュニケーションをとるタイプではないふじこは、素早く悠斗の後ろに隠れた後、そ~っと顔を覗かせる。


 ここに来て悠斗はふと思う。


 今でもよくわからない文字化けしている謎のスキル。


 このスキルが奇跡的に発動してふじこが現れてから、ずっと大人に囲まれていたなとふと思う。


 コミュニケーションは大事であり、歳が近い? であろう子供同士仲良くなるべきで、ふじこもお友達を作るべきだと考えた。


 そう考えてしまっては、自称兄である自分がほんの少し手助けをしてやろうじゃないかと考え、後ろに隠れていたふじこの背中を押して前に出してやる。


「ほらっふじこ」


 悠斗に背中を押され、前に出るふじこ。


 恥ずかしいのか、後ろを振り返って悠斗の顔を見つめる。


 心配そうな顔をして、目をウルウルさせ悠斗を見つめた。


「(あれ? なんだか表情が豊かになってないか……?)」


 そう考えるも、脇に思考を落としてふじこを励まそうとする悠斗は。


「ほらっ大丈夫だ。俺がついてやるから、勇気を出すんだ」


 そういってふじこの小さな手をギュッと握りしめてやる。


 小さくコクリと頷いたふじこは前を向き深呼吸をすると、未だに難しい顔をしている幼女に向かって。


「ふじこ……」


 ボソッと呟かれた。


 呟かれた小さい声は、確かにハッキリとふじこの口から呟かれた。


 幻聴でもなんでもない可愛らしい声に悠斗は。


「しゃっ……しゃべったーーーー!!」


 驚いて大きな叫び声を上げてしまう。


 初めて聴くふじこの声に、悠斗の叫び声が部屋中に響き渡る。

ロリが増えた!

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