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第27話 ぬいぐるみ?いいえ、魔物です。

「それ……ぬいぐるみじゃなくて魔物じゃない!」


 アルマの声にニーナとレイは武器を構える。


「ローザ様、ここは危険です、お下がりください」


 ローゼリアの盾となるようにアルマ達は前に出るのだが、ふじこがトコトコ歩いていく。


「ふじこちゃん、危ない!」


 レイが1歩前を出てふじこを抱き止めようとするのだが。


「ふっ……ふふふ。その子は大丈夫ですよ」


 ローゼリアが口を抑えながら笑っていた。


「ローザ様、何が――」


「ふふっ。だってその子はふじこちゃんの騎士(ナイト)ですもの」


『きゅ~♪』


 同意を示す様にうさこが鳴き声を上げながらぴょんぴょん跳ねる。


「「「……は?」」」


 アルマは「それがどういう……」ことかと尋ねようとしたその時、悠斗が声を遮る。


「あぁ、それは今から話そうとしたんだが……」


 落ち着いてる悠斗が話そうとしたのだが、アルマは般若の様な顔をしながら悠斗の両頬を抓る。


「それを早く言いなさい!」


「いっいひゃいいひゃい! 言う、言うから!」


「ふん!」


「ったく、この暴力娘め……」


 とボソッと呟く悠斗であったが、アルマに聞こえたのかギロリと睨みつけられる。


「イエ、ナンデモアリマセン」


「早くいいなさい」


「はい。……それで……確か俺とふじこは3階層でうさこと出会ったんだ」


「うさこ……もう名前を付けたのね?」


「まぁ……名付け親はふじこだけどな。ちょっと脱線した。出会った時のうさこはゴブリン達に虐められててさ……」


「ゴブリンが? あそこでは強さも含めてホーンラビットであるこの子が頂点のはずよ」


「いや、俺も理由は知らないけど、出会った時はそうだったんだよ」


「もしかして……この子の角……なんでしょうか?」


 そう指摘するニーナは念の為にうさこの角へヒールをかけてみるが変化はない。


 うさこは差し出されるアルマ達の手を怖がる事もなく、手に顔をスリスリと擦りつけて懐いている。


「かっ可愛い……うっ!」


 うさこの可愛さにまた胸を抑えてうずくまるレイ。


 『こいつはもう手遅れだな』と悠斗は思い、ローザは見ないふり。


 果たして一体レイに何があったのか……。考えても無駄だなと思ったアルマとニーナは無視を決め込んだ。




 閑話休題。




「まぁその後うさこを助けたんだが、その時に懐かれてしまってさ。そこからとくに何もなく、最下層に降り立った俺達は扉を開けると……草原が広がっていたんだよ」


「何でそこで草原なのよ……まぁいいわ。それで?」


「そこからはローザの言った通りだよ。遠くに横たわっている人がいるのを見つけたから、注意して近づいたら突然巨大なホーンラビットに襲われた……てのが今日1日の出来事だな」


「悠斗……貴方何かに呪われてるんじゃないかしら」


「えっ! 変な事言うなよ……俺呪われてないよな?」


 悠斗はここまでの出来事を振り返ってみた。


 トラックに轢かれて転生、チートスキルを手に冒険だ! っと思ったらスキルはチートじゃなくて文字化けスキル。


 出会って早々盗賊を見つけてしまい、命の危険に晒されたから一か八かの文字化けスキルの使用。


 使ってみたものの出てきたのは幼女。


運良く盗賊の頭の目を潰せ、アルマ達の活躍のお陰で切り抜けたものの盗賊の仲間に間違えられ、冒険者になって初めてのダンジョンへ行ってみたらイレギュラーな体験。


「あれ、翌々振り返ってみれば結構不幸に巻き込まれて……俺、大丈夫だよね?」


 少し怖くなった悠斗は聖職者であるニーナを見てみるのだが、ニーナは無言で笑顔を見せる。


「えっなにその笑顔! どっちなの!? ねぇ……ねぇ!」


 ガクガクとニーナを揺さぶる悠斗であったが、されるがまま笑顔で口を噤む。


 真相は神のみぞ知るだろう……。




 閑話休題。




 ニーナを揺さぶる悠斗を見たアルマはローザに念の為の確認をする。


「ローザ様も悠斗が見た大きいホーンラビットを確認したんですよね?」


「えぇ、凄く大きくて全然可愛くなかったわ」


「そっそうですか……。その大きいホーンラビットを楽したのはやっぱり……ふじこちゃんですよね?」


「そうなの! 防戦一方だった悠斗を援護するように、ふじこちゃんがこう……シュババババって!」


 『そうだった、姫様は説明が致命的に下手だった』そう心の中でアルマは反省する。


「ふじこちゃんの事も気になりますが、やはりこの王都に近い初心者ダンジョンでイレギュラーが発生したとなれば看過できませんね。もちろん魔物を入れた悠斗達の事も報告しないと……」


「うさこちゃんの事は、私が許可したの……ダメだったかしら?」


「ダメに決まっているでしょう!」


「え~ん、アルマちゃんの意地悪~」


 そう怒るアルマにローゼリアは嘘泣きをするのだが。


「その嘘泣きが今も通用するわけがないでしょう」


 当然通用するわけもなく、アルマはため息を吐く。


「はぁ……まぁ害はないですから悪い様に報告はしませんよ」


「アルマちゃんだ~い好き」


 ローゼリアはギュッと抱きつくと、アルマは顔を真っ赤に変化させる。


「姫様! はっはっはしたないです! お止めください!」


「ぶ~。アルマちゃん戻ってる!」


「はぇ?」


 ローゼリアは顔を急接近させてアルマを追い詰める。


 追い詰められたアルマは限界に達したのか顔を真っ赤にしたままローザから顔を逸らす。


「わっわかりました。わかりましたから少し離れてください!」


 「はぁ……はぁ……」と呼吸を整えたアルマは逃げるようにニーナとレイに声をかける。


「ニーナ、レイ。報告の為に一旦戻りましょう。後は頼んだわよシル」


「承知致しました」


「ふふふ。アルマの慌てた所、久しぶりに見ました♪」


「そうだな」


 『うんうん』と頷くニーナとレイ。


 それを見たアルマは顔を見られるのが恥ずかしいのか、逃げるように体を部屋の出口へ向ける。


「ほらっ勝手な事言ってないで行くわよ2人とも! ローザ様もすぐ戻りますのでここで待っていてくださいね」


 そう言い残したアルマは我先にと部屋を出ていき、ニーナとレイはアルマを走って追いかけて行った。

ぬいぐるみの様に可愛い魔物が一番の強敵だと思います。

****

順調であれば次週も更新すると思います。

評価・感想いただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何だろ、取り敢えず27話までは読んだんだけど何というか全てが噛み合ってない? 会話も地文もギャグも戦闘描写も。 作者さんの頭の中では全部噛み合ってないるんだろうけど 凡人なワイにはチグハグに…
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