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第26話 百合

2020/04/29:修正

ローザリア:✕

ローゼリア:○

「ひっ姫様?」


 ふくれっ面しているローゼリアを見て、アルマが声をかけてみるが。


「あなた達イチャイチャしてます……」


「イッイチャイチャだなんて……しっしてないですよ!」


 ローゼリアからの指摘に赤面するアルマ。


「そっそそそそうですよ!」


 狼狽するレイ。


「いやですね……ローゼリア様、ご冗談なんて……ふふふ♪」


 顔は笑ってるけど笑ってないニーナ。


 3人の顔を見てビビるのはローゼリアではなく悠斗。


「もう……そういう所ですよ!」


 とプンプンしたままソファーから立ち上がったローゼリアは悠斗の前に立ち、スカートの両端を摘むと。


「悠斗、アルマ達からお聞きしたと思いますが、改めまして私の名はローゼリア。このアルヴェイム王国で第3王女をしています『ローゼリア = ルクス = アルヴェイム』と申します」


「ローゼリア = ルクス = アルヴェイム……」


「はい。以後も変わらずローザとお呼びください悠斗」


 悠斗はローゼリアの顔を見つめ、ローゼリアも笑顔で悠斗を微笑みかける。


「「……」」


 2人だけの世界が始まろうとした……のだが、その空気をニーナが破る。


「はいはい、お二人共自分達だけの世界を作らないで下さいね♪ それで姫様、悠斗さんのお話は本当なのですか?」


「つーん」


「もう……姫様ったら。――ろっローザ様……これで……いいですか?」


 上目遣いでローゼリアを見るニーナ。


「きゅん! 可愛いので許します」


 そう言いながらローゼリアはニーナの可愛さに抱きつこうとする。


 ニーナは抵抗もしないままお人形の様にギュッと抱きつかれてしまう。


「やん。ローザ様ったら♪」


 今度はニーナとローゼリアの百合世界が展開されると思いきや、そこをレイが食い止める。


 なお、悠斗はその光景を見てニヤニヤと鼻の下を伸ばしていたのだが、アルマから制裁を受けたのは言うまでもない。


「お止めください姫様!」


「つーん」


 またしても邪魔されたローゼリアはレイから顔を反らすのだが。


「姫様、ほらっふじこちゃんが見ていますよ」


「うっ……」


 流石に幼女が見ている手前恥ずかしくなったのか心が揺れてしまう。


「でっでも……姫様って呼び方、なんだか昔より関係が薄くなった様で少し寂しいです……」


 ローゼリアの落ち込んだ顔を見て今度はレイが。


「うっ……!」


 突然胸を抑えて倒れ込むレイ。


 その姿を見て悠斗は『急性心不全かな?』と現実世界のSNSでよく使われていたネタ画像3種が順番に出てきた。


 内心『何で急にコントを初めたんだよ』と疑問にも思ったのは言うまでもない。


「ほらっニーナもローザ様もこの辺にして」


 さすがに話がそれ過ぎたのでアルマが仲裁に入る。


「仕方ないですね……レイは?」


「――最近はいつもの事なので大丈夫です」


 アルマのその一言で、これ以上は触れない方がいいと思った思ったローゼリアは話を元に戻した。


「そっそう……それで悠斗が話してた事でいいのですよね?」


 ローゼリアの質問に頷くアルマとニーナ。


「えぇ、アルヴェイムの名に誓って悠斗の言ってる事は真実です。といっても、私が知っているのは最下層での事だけですけど」


「ってことは……悠斗が言っていた事は本当だったのね」


 悠斗の言っていた事に半信半疑だったアルマ達はあっさりと信じる。


「だからそう言ってるだろ! こんな事で嘘つくわけないじゃないか」


 悠斗が怒るのも無理はないのだが、何故アルマ達があっさりと信じたのか。


 それはローゼリアが言ったとある一言『アルヴェイムの名に誓って』と言ったからだ。


 この世界で家名に誓う事は非常に重要である。


 姓が与えられていない一般市民には関係ないが、姓が与えられている階級の人間にとって家名に傷が付く事を恐れるからだ。


 それ故に『○○に誓って』と家名に誓う言葉は『私の言った事は真実です』という言葉と同義になる。


 これは階級が高ければ高いほど重要視されており、特に王家であるローゼリアが言うと言葉の重みが違う。


 王家であるローゼリアが軽薄に使うと、家名どころか王国の信頼に影響を及ぼす。


 そうなると現王政の信頼が揺らぐ事にもなるからだ。


 アルマ達があっさりと信じたのも、ローゼリアが王家の名に誓ったからである。


「疑って悪かったわ、その……ごめんなさい悠斗」


「いや、こっちこそ大人気なかった。それでどうやって草原に行ったかだよな?」


「そうよ。あそこは一本道のダンジョン、最下層もただの洞窟で、草原なんてあるわけないもの」


「それだよそれ、クレヴィスのおっさんも言ってたが一本道じゃなかったぞ?」


「え? あそこは一本道よ。深さも5階層に一本道、魔物もホーンラビットにさえ気をつければ大抵の人が最下層まで行っても帰ってこれるから初心者ダンジョンって言われてるもの」


「いや、入って早々別れ道に出会ったんだが……な? ふじこ」


 ふじこはコクリと頷いて同意を示す。


「……まぁいいわ。続けて」


「そのまま道なりに進んだ所で宝箱見つけたから回収。2階層は何もなく3階層へ進んでちょっと歩いた所でコイツと出会ったんだ」


 悠斗はそう言いながら抱き上げたのは角が折れたホーンラビットのうさこ。


『きゅ~♪』


「「「……っえ!?」」」

百合って良いものとは思いませんか? 私はそう思います。

****

順調であれば次週も更新すると思います。

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