第23話 修羅場?
ちょっと短いです。
「ねぇ悠斗。これはどういうことか説明してもらえる?」
床に正座させられている男はもちろん悠斗だ。
そんな彼を睨みつけながら腕を組んでいる女性はアルマ。
浮気を叱っている妻と夫の図に見えるのだが、もちろんレイとニーナもいる。
アルマと同じくその顔には般若でも乗り移っているかのような顔をしたレイに、笑顔を浮かべているニーナの背後には鬼の姿が見えるのだが幻想だ。
絶対にお前は逃さない。
言葉を出さなくてもそんな幻聴が聞こえてくる悠斗はアルマ達に囲まれながら、冷や汗を流していた。
そんな中ローザは『きゅ~♪』と泣くホーンラビットの「うさこ」とモグモグお菓子を食べている「ふじこ」の顔をニコニコと眺めている。
部屋の一室では天国と地獄が繰り広げられていた。
「どうしてこんなことに……」
どうしてこんなことになったのか。
それは少し前に遡る。
*
日が夜へと傾きつつある夕暮れ。
ローザと『うさこ』を連れて王都へ戻ってきた悠斗とふじこ。
『小さいとはいえ魔物なんて連れてきて入れるんだろうか……』と心配していたのだが杞憂であった。
まず1つはうさこの角が折れていた事。それにふじこが大事に抱えていた為危険に見えなかったのだ。
それでも魔物に変わりない。
若い守衛は入らせまいと声をかけようとしたのだが、そこへローザが割って入った。
ローザは被っていたフード少し外して若い守衛の顔を見つめる。
若い守衛は顔を驚愕に染め上げ慌てて踵を返すと、数分後に上司と思われる男を連れて戻ってきた。
「どうぞ、問題ありません。お通りください」
守衛の二人はそう一言述べて道を開ける。
「いつもご苦労さまです。行きましょう、悠斗」
「おっおう……」
なんとなくローザがどういう立場にあるのかさすがに察してしまう悠斗であったが、空気を読んで心の中に留めておいた。
門を潜り噴水前まで来た悠斗達。
「今日は本当にありがとうございました。悠斗が来てくれなければ今頃私は……」
「結果良ければ全て良し! ローザが無事で良かったよ」
「本当にありがとう悠斗。なんとお礼を言っていいか……」
「あの場だったら誰でも同じことをするさ」
な? っとふじこの頭を撫でる悠斗。
「いいえ、そんなことありませんわ。誰にでもできることではありません」
「そう言ってくれると嬉しいな」
ちょっと照れて頬を赤く染めながら頭をかく悠斗は恥ずかしいのを誤魔化すように目をそらした。
そんな悠斗を見つめるローザは何か思いついたかのように両手を叩く。
「そうだ、ぜひお礼をさせてください!」
「別にお礼なんていいよ」
「そんなことありません! ここでお礼もなしに悠斗を帰してしまっては王k……いえ、家の恥です」
ローザの顔はお礼をするまで絶対に帰りませんと言わんばかりの表情をしている。
悠斗は『ここで断り続けるのも失礼だよな……』と思い諦めた。
「仕方ないな……分かった、ローザの言う通りにするよ」
「ふふ、楽しみにしていてくださいね。悠斗とふじこちゃんは今日の宿は決まっていますか?」
「ああ、今お世話になってる宿があるんだ」
「それは残念です、ご招待しようと思いましたのに……ちなみに宿の名前は?」
「俺とふじこがお世話になってる宿は『天の方舟』って言うんだ」
「まぁ! なんて運命なのでしょう。私がご招待しようと思いました宿が一緒だなんて」
ごめんなさい、まだ続き書けてないので次回更新はでき次第で……。
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