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第16話 歓迎会~after~

今回はアルマ・レイ・ニーナだけしか登場しません。

つまりは女子回です。

 狂乱の宴が終わり、悠斗とふじこが寝静まった頃、片付けられたダイニングルームでアルマ・レイ・ニーナの3人はお茶をしていた。


 いわゆる女子会だ。


「皆様、お茶のご用意が整いました」


 シルベスタはアルマ達へソーサーとカップを置き、音を立てず静かに紅茶を注いでいく。


「それでは、何かありましたらこちらのベルでお呼びください」


 そう言い残してシルベスタは去っていく。


「さすがはアーヴァイン家執事長の娘。使用人の質も段違いだな」


「レイの所だって使用人の皆が凄腕じゃない」


「私の所は武門の家だからな。一定の戦闘技術がないと雇わないようにしているだけで、変わりに使用人の腕は並程度だ。そんなことよりもだ……」


「ふじこちゃんにデレデレしていただけじゃないのね」


「当たり前だろう。武門の家といっても私も公爵家の娘だ。これぐらいは弁えてるつもりだ」


「本当ですか? 凄く楽しそうにしていた様に見えましたけど♪」


「茶化すなニーナ。ほらっ本題に入るぞ」


 これで終わりだと言わんばかりに話の腰を折るレイ。少し怒っている様にも見えるが、頬が赤くなっており恥ずかしいだけのようだ。


「レイをからかうのはこれぐらいにして……やはり信じがたいけど異世界からの住人で間違いないようね」


「あぁ、確たる証拠は何もないが間違いないだろう」


「そうですね。見た目が綺麗すぎるのもありますし♪」


「この世界で肌の良さと明らかに戦い慣れてないのを見て確信したわ」


「大事に育てられているどこぞのご令嬢ぐらいじゃないか」


「あらっ私のことかしら?」


「ご令嬢にしては少し血に塗れすぎているのではないか?」


「ふふふ、レイ貴方こそ」


 お互い笑っているようだが、目は笑ってない。


 すぐ脱線する2人を注意するニーナは怒っているようだ。


「ほら2人とも、脱線していますよ♪」


「悪かったわニーナ」


「すまない、ニーナ」


 アルマとレイがたまに脱線してはニーナがそれを止める。


 これが彼女達の普段の距離感なのだろう。


「ほらっ本題に戻って……悠斗さんが異世界人はいいとして……いえ、よくないのですけど、問題があるとすれば持っているスキルですね♪」


「そうね……あの読めないスキル、あれはあれで問題だけど……」


「そうだな。読めない以上スキルの能力も効果も分からない。あのふじこちゃんを召喚するだけなのとスキルが読めないのは理由にならないからな」


「そうですねー。何にしても問題ではありますが、()()()さほど脅威とは感じませんね。何しろ本人にも分からないようですし♪」


「それよりも問題は『言語理解』の方だな」


「あれはちょっとマズいですねー♪」


「えぇ、悠斗はスキルが無ければ読めなかっただろうと言っていた。つまりは……」


()()()()()()()()()()()()()だな」


「であれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()ということですね♪」


 もし悠斗本人が慎重かつ警戒心のあるタイプなら、こういった事にはならなかったかもしれない。


 しかし本人はあまり警戒心が無く、自分の情報を話すぎるのは少々危険なのだ。


 これがアルマ達でなく、危険な人物であったのなら最悪悠斗の命は無くなっていたかもしれない。


 もしくは幽閉されていたか、利用されていたか、どちらにしろいい結果にはならなかっただろう。


 悠斗は本当に運が良かったのだ。


「スキル名が『言語理解』であることから、私達の文字しか読めないという事はないでしょう」


「そうだな。私達の扱う言語しか理解できないというよりも、古代語を含めた他の言語も理解できると考えた方が理にかなっている」


「本当に考えれば考える程不思議な方ですよね♪」


「あぁ、平民なのに肌が綺麗で教養のある者が多くいる世界か……異世界というのは恐ろしいな」


「それで……今後はどうするんだ?」


「彼の処遇のこと?」


「ああ。悠斗……あいつはこの国……いや、この世界にとって毒にも薬にもなるだろう」


「そうですね。教養はあっても頭は余り宜しくないように思いますし♪ 他国や悪い貴族に目をつけられたりすれば……」


「最悪国家間のバランスにも影響がでるわね」


「では暗殺でもするのか? 今なら容易いが……」


「我々教会としてはお止めいただきたいですね♪ 何よりもふじこちゃんがいますから♪」


「そうね……。暗殺というのは可能性の1つとしてあるけれど、あくまで可能性の1つよ。今はまだ静観といった所じゃないかしら」


「最終的な判断は……」


「えぇ、お父様達がお決めになると思う。すでに私の方から手紙を送っているわ」


「仕事が早いな」


「当たり前でしょ。これでもアーヴァイン家の娘なんですから」


「教会としてもすでに教皇様へ訴状をお送りしています♪」


「教会なら当たり前か……」


「はい♪ 異世界の住人だったとしても万民平等の精神は変わりませんから♪」


「本音は?」


「ふふ♪ レイさんのご想像どおりかと♪」


「どこも考える事は一緒というわけね。それで今後の方針はどうするの?」


「そうだな……期間内にGランクへ昇格できたことだし、父様達の試験も無事クリアした」


「ですので今後も冒険者として続けていく事はできるのですけど……♪」


「悠斗とふじこちゃんを放っておいて……というのは無理ね」


「ああ、私のふじこちゃんがあいつと2人きりだなんて……クッ!」


「レイ! 貴方本気だったの!?」


 驚くアルマに対して、レイは心外だとばかりに声を上げる。


「演技だとかそんな器用な真似を私ができるわけないだろ?」


「はぁ……流石は武門の家の娘ね」


「ほら2人とも、また脱線していますよ♪」


「ごめん、ニーナ。方針は……とりあえず保留でどうかしら?」


「父様達の返答次第というわけか?」


「そうですね……。私も訴状の返答を教皇様からお聞きしないと身動きとれませんし♪」


「お父様達の返答次第だけれど、私達のパーティーに入ってもらおうと私は考えているわ」


「それは監視や引き留めの為か?」


「それも否定はできないけど……何よりもふじこちゃんが心配じゃない?」


「ふふ。それもそうですね♪」


「ああ、あいつと2人きりだなんて私のふじこちゃんが心配だ」


「どうだか……ふじこちゃんが心配だといいつつも悠斗に少し惚れちゃったりして?」


「そっそそそそそそそんな訳ないにゃろーー!」


 レイの顔は茹でたタコのように真っ赤になっており、言葉はどもり、かみかみで怪しむアルマとニーナ。


「えっ……本当? レイ……」


「だから違うって言ってるにゃろー!」


「アっアルマこそどうなんだ?」


 反撃にでようとアルマに話を振るレイなのだが。


「私? 私はそうね……悠斗次第かしら。見た目も問題ないし、あるとすれば家柄ぐらいだと思うわ」


 これが心に余裕のある女と余裕のない女の差なのだろう。


 華麗に返されてしまい、ますます追いつめられるレイは仲間を増やそうとニーナにも話を振る。


「ニっニーナはどうだ?」


「私ですかー? そうですね……今の所ないです!」


 バッサリと笑顔で言うニーナ。普段は優しく、そして穏やかな性格をしているように見えるのだが、こういった事はバッサリと斬ってしまうタイプのようだった。


「まだまだ弱くて、ふじこちゃんを守るどころか守られてると思いますし、男性として情けなくて魅力がないですねー♪」


 言葉は時として凶器になる。この場に悠斗がいないことは幸いだ。


「むしろ、レイさんは悠斗さんのどこを好きになったんですか?♪」


「すっ好きじゃにゃーーーい!」


 こうしていつしか女子トークに花を咲かせて夜は更けていくのであった。

あ~レイ可愛いんじゃ~。

それにしても、華麗にサラッと毒を吐くニーナさん……。

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