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第104話 作戦会議

 悠斗は素早く声のした方向へ向くと同時に、蒼流の大剣を斜めに振り下ろした。

 素早く振り下ろされた蒼流の大剣は、オルサガの首元で止まる。


「まだ続けるか?」


 悠斗の言葉に苦虫を噛み締めた様な顔をしたオルサガは。


「くっ…………俺達の負けだ」


 そう言葉を口にすると、持っていた武器を地面に落とした。


「俺の勝ちだな!」


 悠斗がそう口にすると、周囲から歓声が轟いた。

 そんな中ラドゥールは少し悔しそうにしながらも、勝者を称えるかのように笑って。


「これは認めるしかありませんね……さすがです、大精霊様の契約者様」


「うへへ、それはどうも……」


 褒められ慣れてないのか、悠斗は照れくさそうにしている。


「この程度で自惚れよって……」


 リーエルはそう愚痴るものの、自身の契約者である悠斗が褒められているので少しうれしそうだった。


「それにしても本当にお強いですね。カイア・オルサガ・ドッシュの3人は名うての元傭兵でしてね……私どもの中でもかなりの実力者だったわけなのですが、これを打ち破るとは……いやはや、感服致しました」


 ラドゥールは悠斗の実力を素直に賞賛する。

 それと同時に、カイア・オルサガ・ドッシュ3人を相手にして勝つ程の実力を持っている人物が、ここまで無名であったのが疑問を覚えた。


「ところでユート殿、貴殿はどこでその実力を身につけられたので?」


「う~ん、そうですね……。色々大変な目にあったというのと、師匠にしごかれたってのが一番の理由ですね」


「師匠……? もしよろしければ、その方のお名前など教えていただけませんか?」


 ラドゥールは、悠斗をここまで育て上げた人物を知っておきたいと思った。

 もちろんあわよくば、その人物を紹介してもらえたらなと考えているのもある。


「ハイン師匠ですね。熊の様にデカい大男だしガサツでエロくて、それでもって娘には激甘なんですけど、ラドゥールさんと同じ貴族なんですよね」


 もしこのセリフをハインが聞いていたのであれば、修練という名の扱きはさらに厳しくなったであろう。


「ハイン……!? もっもしやその方の家名は『コルニクス家』ではないでしょうか?」


 ラドゥールは、自身が知っているであろう有名人物の家名を口にした。

 彼が驚く程、『コルニクス家』の武勇は有名であった。


「そうです。『ハイン = ウル = コルニクス』と言って、アルヴェイム王国の貴族なんですよね……ってハイン師匠のことご存知なんですか?」


「ご存知も何もコルニクス家の現当主様じゃないですか! コルニクス家の武勇を知らぬ者など、この周辺国にはいないですよ!」


 迫りくる勢いで圧の強くなったラドゥールにちょっと引いてしまう悠斗。

 そんな悠斗の感情に気づきもしないラドゥールは。


「なるほど、だからこれほどまでに強かったんですね……」


 すぐ納得をしたラドゥールを見て、悠斗は内心『師匠って何者だよ……』と思う。


「すみません、少々脱線してしまいましたね。ユート殿の武勇、確かに拝見しました。……ですが、それでもやはり……」


「まあ確かに俺の実力では大したことはできないですけど、それでも大精霊であるミラ達もいますし、ラドゥールさんも兵を動員してくれるんですよね? であれば何とかなるかもしれないじゃないですか」


「ユート殿の言う通り、我々からは約2000程動員できます……ですが」


 ラドゥールは難しい顔をして少しだけ言いよどむ。


「共和国兵だけであればユート殿と大精霊様のお力で何とかなるかもしれません、それでも相手はあのアブラです。彼はおそらく追加で奴隷達を使うでしょう……」


「なっ! もしかして、この集落にいた人達と戦うことになるかもしれないってことですか!?」


「はい。それだけではなく、我々と志を同じくとした元仲間達も差し向けるでしょう……そうなれば……」


 小国とはいえど、国を相手に約2000名+αの人数で戦うのは無謀に感じる。

 しかし、大精霊であるミラは元々ここサウガダナンでは崇められていた存在だ。

 相手側も動揺はするし、こちらに寝返る……もしくは信仰深い者は戦意を喪失するかもしれない。

 それゆえ、サウガダナン兵だけであれば勝算は少ないが可能性はあった。

 しかし、相手の中に自分達の仲間がいたら話は変わる。

 今回の戦いは失った者達を取り戻すための戦い。

 その相手と戦うのでは本末転倒となり、大義が揺れてしまうからだ。

 少なくとも士気が下がるのは予想がつく。


「なるほど、こっちに手を出させないということか……くそ!」


「アブラは既にこちら側の動きは把握しているでしょう。であればそういった手口を使うことも目に見えています」


 アブラの手によってナルシャが連れ去られているのもあって、相手がそういった手口を使うのは想像がついた。

 どのような非道な手口だって手に取ることは容易い。


「何か手はないか……」


 だからと言って諦めることはできない。

 悠斗は必死に対抗策を考えるのだが、中々良い手は思いつかない。

 そんな暗雲が立ち込める中、ミラは平然と口にする。


「奴隷って強制契約の魔術だっけ? それなら解除しちゃえばいいのだ!」

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