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プロローグ

どうもよろしくおねがいします。

「何だここは……頭が痛てぇ……」


 上も下も右も左も、全てが真っ白な世界。 どんなに遠くへ目を凝らしても草木一本生えていない無の空間。


 そんな所に一人の男が立っていた――裸で。


 朦朧としていた意識が回復していき、男は自身の体を見ると……。


「って何で俺裸!? そもそも一体何があったんだっけ……」


『それはじゃの――』


「え!? ちょ……誰!」


 彼の目の前に突如男性にも女性にも見える謎の人物が立っていた。 声は男性なのか女性なのか判別は難しく、中性の様にも聴こえる。


「いや、ちょっと待って。 今俺裸だから……」


 前かがみになり手で大事な幼子を隠しているこの男は『三嶋 悠斗』26歳独身。 どこにでもいる普通のサラリーマン。 最近の悩みは、後4年経つと魔法使いにジョブチェンジする事だ。


 『そろそろデ○ヘルとかに手を出した方がいいのかな? でもこれって童貞卒業になるのか……?』と悩むのがこの男の最近の口癖である。


『大丈夫じゃ、手をどけてよく見てみろ』


 「いや、でも!」と渋る悠斗に『いいからいいから』と囃し立てる謎の人物。


 何かあったら絶対に訴えてやろうと考えていた悠斗は、恐る恐る手を離していくと――なんということでしょう。


 乱雑に生え、ろくにお手入れもされてない黒い草原にそびえ立つ小さな苗木はAV(アニマルビデオ)に出てる俳優さんの様に――。


「モザイクがかかってる……これじゃ男――じゃなくて俳優みたいじゃないか!」


『安心といったじゃろ?』


「そうだな。 確かにこれなら見えないな……ってそうじゃない! ここはどこだよ? 何で俺は裸なんだよ!」


『質問の多い奴じゃの~。 そう焦るでない。 ここは狭間にある空間。 お主は死んだのじゃ』


「死んだ? 俺が? ――ハハ……まさか……そんなはずは――」


『本当じゃ。 覚えておらぬのか?』


「ん~う~」


 顔をしかめっ面に変えながらナニカをひねり出すかの如く唸っているのだが、一向に出てくる気配はないみたいだ。


「駄目だ! 思い出せない……OTL」


『行動を絵文字で表現するのはやめぃ……』


「はいはい。 っで俺ってどうやって死んだの?」


『急に態度がコロっと変わりよって……。 お主はトラックに跳ねられて死んだのじゃ』


 悠斗の手のひらを返したような態度の変化は『分からない事を何時までも考えていては意味はない』という独自の考えによるもの。 悠斗のいい所でもあり悪い所でもある。


『本当に君たちトラックで死ぬの好きじゃよの。 トラックの運転手の気持ち考えた事あるかの?』


「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! こちとら好きで轢かれたわけじゃないんじゃい!」


『喜怒哀楽が激しい奴じゃのう……。 っで日本人で童貞でオタクなお前さんならもうこの後の展開もわかるじゃろ?』


「……!? トラック転生! チート! ハーレム! きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


『ハーレムかどうかは分からんが……どうやら転生の意志はあるようじゃの』


「あるある! っていうか……今更だけど神様?」


『本当に今更じゃな! まぁ自己紹介せんかったワシも悪いがの。 ……コホン、ワシの名は『創造神トゥリアナ』である。 こうしてお前さんを輪廻転生させる前にこの狭間に呼び寄せたのは、察していると思うが別の世界に行って欲しいのじゃ』


「よし、よし、よし! よっしゃぁぁぁぁぁぁ! 行くよトゥリアナ様!」


『落ち着けい。 これは最後の意思確認じゃ。 本当に本~~~~~当にいいのじゃな?』


「大歓迎だ!」


『よろしい。 もう撤回できん故な』


「駄目だって言われても絶対に行くから! でっ、俺が行く所はどんな所なんですか?」


『お主が生きていた世界とは違って魔物が闊歩する危険な世界じゃ。 文明は未発達だが、その代り魔法がある。 分かりやすく言うとじゃな……ねろう小説と言えば伝わるかの?』


「小説をねろうか! 神様もそんな所みるんだな」


『お主らに会話を合わせる為に地球の流行りを把握しておるだけじゃ』


 と言い訳しているようだが、喜色の声色をしており意外と外界の書物も好きなんだなというのが分かるが、ここは敢えて突っ込まない悠斗。


「まぁ俺がこれから行く所はなんとなく想像できたよ。 それで俺が転生するって事だけど、どこかの貴族とか王族とかから始まるの?」


『そんなわけないじゃろ。 お前さんを異世界で生きれるように肉体を作り直して行ってもらうんじゃ』


「あ~なるほど、そっちのパターンね、うんうん」


 何がうんうんなのか本当に理解しているのかちっとも謎なのだがとりあえず頷く悠斗。


『さすがにそれだけではすぐに死んでしまうじゃろうから、一つだけスキルを与えよう。 お主だけの専用スキルじゃ』


「俺……専用!」


 悠斗は目をキラキラさせ、口からヨダレを垂らして妄想にふけている。 どうせ下らない妄想をしているのは想像に難しくない。


『後はオマケで言語スキルも与えよう。 言葉をきちんと交わすというのは重要じゃからな』


「それで専用スキルってどんなスキルなんですか?」


『ふむ。 それはアレじゃ。 行ってからのお楽しみじゃ』


「えっ教えてくださいよ!」


『お楽しみは後にとっておけい。 安心せい、お主に与えるスキルは専用スキルで嘘はない。 お主だけしか使えん固有スキルじゃ。 そのスキルと同じものを持っておる奴はおらん』


「うぇへへ……専用スキル……俺だけの固有スキル……唯一無二……」


『これ、帰ってこんか』


「はっ! ちょっとトリップしてました」


『後はサービスで衣服と一週間程の食料。 後は少ないが路銀もやろう。 いきなり街に転生させるわけにもいかんし、真っ裸で送るのも忍びない。 お主にはちょっと離れた森から始めてもらう。 数日も歩けば人里にでもつくじゃろう』


「うっし! サービス満点じゃん! それで俺は異世界で何すればいいんですか?」


『とくに何もせんでよいぞ。 お主の好きに生きるとよい。 ハーレムとやらなんやらでも好きにやるといい』


「ってことは別に危ない事しなくてもいいし、まったり新しい人生始めてもいいし……うぇへへ……」


『これ、トリップするでない』


「はっ! いかんいかん、またトリップしていた」


『さて、これでワシからの話は終わりじゃ。 転生させるが準備はよいか?』


「はい、トゥリアナ様! 準備バッチオーケーです!」


『それでは転生させる。 よい人生を送るのじゃぞ……よい人生を……』


「はい、ありがとうございます! それでは行ってまいります!」


 トゥリアナはどこから持ってきたのか、いつの間にか持っているシンプルな木の杖を右手でコツンと地面を叩く。 すると悠斗の周囲に魔法陣が描かれて光輝き出した。


 魔法陣はどんどんと光を強めていき、やがて悠斗の全身を包み込んでいく。


 包み込んだ光はやがて消え去ると、その場に悠斗の姿は無くなっていた。


『ふぅ……やれやれ、行ってくれたか。 あやつがバカで助かった。 にしても、地球に生きる人間……いや、日本で生きる者達は本当に不思議な言葉を創りだすのぅ。 ワシでもよくわからんスキルになるとは……なんとか押し付ける事ができて安心じゃわい。 さて仕事に戻るかのぅ……』

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