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1話 女神の愚痴

 

 俺は今、人間が死んだら来る場所にいる。

 そう、俺は死んだ。超能力者なのにうっかりと。


 目の前には女神がいる。そして女神は何故だか知らないが、俺のことをとても怒っている。

 というか、めちゃくちゃ怖い顔をして睨んでいる。


「初めましては何回目かしら。どうも、女神レイヤといいます」


 先ほどから、そう言いながらも睨み続ける女神レイヤ。


 俺と女神は椅子に座って見つめあっているわけだが、何故、会ったばかりの女神に睨まれなくてはならないのかさっぱり解らないのだ。


 この綺麗な、長い銀髪の女神が何故怒っているのか一応聞いてみた。


「あの、なぜそんなに怖い顔をして、俺を睨んでいるんですか?」


 そして、女神はこんな事を言った。


「——あなたね、なにうっかり死んでるんですか? まだ十九歳ですよ? 寿命はまだずっと先ですよ? 予知できなかったんですか? あなたが死んだ瞬間に力が暴発して、この第三十五宇宙が無くなってしまったらどう責任をとるのですか? 今回は大事に至らなかったから良いものの……寿命までしっかり生きて下さいよ、まったく」


 何を言っているのだ。俺の予知能力は突然にやってくるタイプなので、自分の寿命など自由に予知できないのだ。超能力者と言えども、できないこともあるのだ。


「あなたのそのバカみたいな超能力は、転生してもそのまま魂に受け継がれてしまいます。その強力な能力が、次に行かれる世界で、暴発しないようにする為、

 神の命により、私はまたあなたの転生先へ着いて行く事になってしまいました。簡単に言えばお守役です。最悪です。まったく、どうしてくれるのかしら。以上です」


「あ、あの……」

「何でしょうか?」

「俺のってそんなに面倒くさい能力なんですかね?」


「聞くまでもないでしょう。あなたには脳が無いんですか? あぁ、死んでしまったからありませんでしたね。これは失礼」


 なんなんだよ、この女神。


「下手に出てればなんなんですかその態度は。なんでそんな事をあんたに言われなくちゃならないんですか」


 俺は腹が立って、少し懲らしめてやろうと超能力を使う為、少しだけ眉根を寄せた。


 女神は見透かしたように言う。


「言っておきますが、私にだけはあなたの能力は何も通じませんから。超能力を封じてしまうのです。それが理由で私が選ばれている訳です。その辺、理解をして下さい。それから、今回のあなたの死は神すらガッカリするものでしたので、その辺もご理解下さい」


 懲らしめるどころか通じないらしい。しかも、神にガッカリされたらしい。


「えー……だって、俺の予知は突然にくるタイプなんで、自分の意思ではできないんですよ?」


「そんなの解るわけないでしょう? バカなの? あなた」


「はぁぁあ? なんなんですか? 俺にだってできない事もあるんですよ!」


「大声を出して誤魔化し、何かをしようとしても、この場所で能力は使えませんので」


「…………」


 これも、すっかりバレていた。


「では、転生します。ゼロから頑張りましょう。ちなみに今回の死はイレギュラーでしたので、転生しても身体等はそのままです。言葉や文字も普通に使えますので。はぁぁ……」


「ちょ、ちょっ、まっ――」



 そして、俺の意識が途切れたのだった。


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