バリア31
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夜の帳が降りる前の師走の夜に、木々の枝が、まるで影絵のように、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
紺碧の空には、淡い虹色の雲が溶け込み、白紫色に染まった夕暮れが、本格的な冬の到来を告げようとしている−−−。
その時、手に持っていた携帯電話の着信が光った。
「はい」
純氏からだった。
「今、どこにいる?」
「あったかホームの建物の前です」
「どうだ。建物には、何人くらい入っているようだ?」
窓もカーテンも閉められてはいるが、利用者の部屋の明かりは、外からでもハッキリと分かる。
「3つです」
「3つ?」
「はい」
「やはり、昼食代600円だけが、原因ではないようだな。」
「そのようですね…」
私は、栗林に指摘されたその日に、研修先へ行き、お詫びをして忘れた昼食代600円は支払ってきた。
「払え、と言わなかった側にも、管理責任はある。」と『みちのくユニオン』も言っていた。
「例の件は、どうなった?」
「今、本社側に、労働組合との団体交渉に応じるよう要求している段階です。」
電話の向こうで、純氏の笑い声が聞こえた。




