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バリア・フリーの階段  作者: 望月笑子
32/35

バリア31

このメールを送信すると、執筆中小説にこの内容が追加されます。


夜の帳が降りる前の師走の夜に、木々の枝が、まるで影絵のように、幻想的な雰囲気を醸し出していた。

紺碧の空には、淡い虹色の雲が溶け込み、白紫色に染まった夕暮れが、本格的な冬の到来を告げようとしている−−−。


その時、手に持っていた携帯電話の着信が光った。

「はい」

純氏からだった。

「今、どこにいる?」

「あったかホームの建物の前です」

「どうだ。建物には、何人くらい入っているようだ?」

窓もカーテンも閉められてはいるが、利用者の部屋の明かりは、外からでもハッキリと分かる。

「3つです」

「3つ?」

「はい」

「やはり、昼食代600円だけが、原因ではないようだな。」

「そのようですね…」

私は、栗林に指摘されたその日に、研修先へ行き、お詫びをして忘れた昼食代600円は支払ってきた。

「払え、と言わなかった側にも、管理責任はある。」と『みちのくユニオン』も言っていた。

「例の件は、どうなった?」

「今、本社側に、労働組合との団体交渉に応じるよう要求している段階です。」

電話の向こうで、純氏の笑い声が聞こえた。



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