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バリア12
このメールを送信すると、執筆中小説にこの内容が追加されます。
「はい、認知対応型あったかホームです」
栗林の声だった。
「もしもし、赤城桃子です。明日から、いつも通り出社しますので、よろしくお願い致します」
「こちらはもうノータッチですので、本社に電話してください」
すぐに電話を切られた。
さっそく仙台の本社に電話をすると、本社側ではまだ事情を聞かされていなかったのだろうか、「分かりました」とあいまいな態度をとった。
再び、純氏に携帯でこの事実を伝えると、
「大丈夫。オレも若い頃、会社の専務に”辞めろ””辞めろ”と言われ続け、それでも3年間仕事場に通った経験がある。アホになれ。アホを決め込むんだぁっ!!」
と怒鳴った。
この時私は、本気でアホを決め込むつもりでいた。親ですら、
「そったな会社さ行ぐ必要ね。結局、お前には合わねがったんだがら、ハローワークさ行って、早ぐ次の仕事さ探せっ!!」
と言って、取り合わなかった。
それでも私は、純氏を信じていた。信じるしかなかった。
純氏の言葉を胸に、11月3日、誰よりも早く、『あったかホーム』に出社した。