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バリア10
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目にいっぱい涙が溢れていた。凍てついた空気が流れたと思うと、うなだれた首筋に冷たいものが当たっていた。
ぽつぽつとそれは次第に強くなり、気が付くと、灰色だった道路一面が、真っ黒になっている。
慌てて軒下に入ると、思わず携帯電話を取り出し、年の離れた友人の岡目純氏にすべてを話した。
「それはひどい…」
岡目純氏は、現在は退職しているが、現役時代は労働組合『みちのくユニオン』で先頭を切って活躍してきた、社会運動一筋の強者である。
経済的弱者の味方で、今まで多くの経済的弱者を助けてきた。
彼と知り合ってから、まだ半年しか経っていないが、私はこれまでも何度か彼に助けてもらったことがある。
その純氏が言うのだから、確かだった。