表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/68

サクラ お城で会議に参加する

その後、時を動かしてからアルフレッドは転移魔法で一旦王城に戻り、私とユーリス様は馬車で王城に向かった。前回は訓練場に戻るためアイシス様が同乗していたが、今回は二人きりである。

しかも会議に参加するため、セシリアの格好だ。


つまり、長い黒髪に黒い瞳、髪はハーフアップで見事に編みこんでいてそこに宝石のついた髪飾りでとめてある。

貴族の令嬢のお出かけするときの装いでもあるような、シンプルで淡いラベンダー色のドレスを着ていた。


これはアイシス様が12歳頃に着ていたドレスらしいが、残念な事に胸まわりもぴったりだった。まぁ、このささやかな胸がたとえ成長期が今後来たとしても、アイシス様のようにドッカーンと大きくなることはありえないだろうから、こんなものでも満足しよう。うん。うん。

それよりも向かいに座るユリウス様の視線が、痛い。


「あの・・・」


私がなにかこの重い空気を打破しようと口を開いたと同時に、ユーリス様が言った。


「どうして私にだけ、未だにユーリス様、なのかな?」

はい?


「アルフリード殿下のことは、いつ頃からかアルと呼んでいるよね。一時、ユーリスと呼んでくれたけれど、またすぐユーリス様に戻った・・・」


ああ・・・そうだったっけ・・。と思いを馳せる。


「私のことはユーリと呼んでくださいといいませんでしたか?」


すごく厳しい瞳でどんどん攻めてくる。


「・・・いや、でも・・だってユーリス様は公爵様ですし、その上騎士隊長でも・・・」

私のささやかな反論に被せるように・・・しかも子供に言い聞かせるような口調でゆっくりと言う。


「アルフリード殿下は第一継承権を持った王子様だよ?なのに彼はアルで、ただのしがない公爵の私がユーリス様と呼ばれるのは納得がいかない」


ただのしがない公爵・・・そこまでおっしゃいますか。日本で言えば公家のお家柄だと言うのに・・・雲の上のやんごとない方でいらっしゃるのに・・・そこまでして私にユーリと呼ばせたいのか・・・。


私は深い溜息をついて、言った。


「わかりました。ユーリ」


すると突然ユーリス様は両目を輝かせて、感動に浸っているような顔で私の両手の上にその両手を重ねた。


「・・・!!もう一度・・・お願いします」


ヤバイ。この人、溺愛が最近、暴走している気がする。

私は思い切り冷たい目で彼を一瞥すると、要望には答えず会話を続けた。


「このドレス。変じゃないですか?なんか国の偉い方が集まる会議にこんな格好、いいのでしょうか?」


心配そうにドレスを見ながら言う私に、ユーリス様は笑って答えた。


「君のようなご令嬢が会議に出席といったことはまず前例がありません。ですが今回はサクラが聖女だと知っている者だけの、いわばアルフリード殿下陣営だけの非公式会議です。ですから心配には及びませんよ。セシリア」


そうだ私は対外的には、今回セシリアとして王城に招かれた事になっている。表向きはユーリス様の今回のイワノフ襲撃事件に対しての賞賛を承るための会議で、私はそれに着いてきた形だ。もちろん最初の設定のとおり、恋人として・・・。


でも私は不安を隠せなかった。私はきっと聖女なのだろう。もうそのことは私がいくら否定しようが、いままでに起こった事柄が全て証明している。


でももう私には聖女として生きていくことは、苦痛でしかない。

この世界に来て、神殿から放り出されてから出会った人たち・・・。騎士訓練場で、出会った騎士様、雑用係の仲間達、食堂のおばさん。もちろんアルやユーリのことも大切だ。

その人たちともう別れたくは無かった。


よっぽど私は不安そうな顔をしていたのだろう、いつの間にかユーリが傍らに座っていて、何も言わず肩を抱いてくれていた。


「大丈夫。いざとなったら私は爵位と仕事も捨てて、一緒に田舎で暮らしてもいいと思っているから」


溺愛モード。健在だなぁ・・・。

私は少し元気を取り戻した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ