もう一つの指輪
アルフリードは王城に戻り、時間が止まったときと同じ格好をし同じポーズでその時を待った。
時間が動き始めると、数分も経たない内に討伐状況が伝えられた。突然の魔獣の体の崩壊。
誰の頭にも聖女という言葉が浮かんでくる。真実を知っているアルフリードを除いて・・・。
宰相がセイアレス大神官に尋ねる。
「これは聖女の力なのですか?」
「そうだと思います。ユイカは毎日を祈りに捧げていますから、イワノフ町を救ったとしてもおかしくありません。聖女の能力は誰も知らないのですから」
セイアレス大神官は端正な顔に微笑を浮かべ、そういった。
聖女の能力は未知なる物だ。そういっておけば、良いことが起これば全て聖女の功績にすることができる。
抜け目の無い男だな、とアルフリードは思った。
そのままエルドレッド第二王子の指に目をやる。そこには銀の指輪はなかった。
あの模様、父上がいつもしていた銀のネックレスにもあった。それにエルドレッドが成人したときも、銀の指輪が贈られたと聞いた。同じ模様が彫られていたであろう事は、たやすく想像できる。
エルドレッドは、成人の祝いが粗末な銀の指輪なんてといって、身につけずにしまいこんだと聞き及んでいる。
明日、父上に会いにいって腕輪やネックレス、指輪のことを聞こう。
そしてサクラが元気になったところで、もう一度時間を止めてもらってエルドレッドの指輪を探そう。
なんせあの能力は、盗みと殺しに関しては最強だからな。
サクラがそうぼやいていた時の顔を思い出して、自然と笑みがこぼれる。




