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やっとアイシス様のお屋敷に戻る

アイシス様の傍らに戻り伝心魔法で二人に合図を送ると、時を動かした。


一瞬爆音があたりを包んだと思ったら、人々の歓声に変わった。

2体の大魔獣、ならびに魔獣全てにいたるまでが突然崩れ落ちた。人々は理由も分からないまま、その奇跡に狂喜する。

だれかが最初に呟いた。


「聖女様だ・・・」


その言葉はまるで水面に落ちた小石の波紋のように、人々に伝わっていった。



「聖女様のおかげだ」「聖女様が助けてくださった!」「ありがとうございます。聖女様!」


アイシス様は、周囲の状況の変化に始めは驚いたようだが、すぐに取り直してある方向に向かって走り出した。


「えっ!ちょっとアイシス様」


私は、なんとかアイシス様に追いつくと、理由が分かって照れくさくなった。

キアヌス様は瓦礫の間に立ち、崩れ落ちた魔獣の死亡を他の騎士と一緒に確認していた。魔獣の死体も研究材料になるので、できるだけ傷をつけずに運ばなければいけない。

キアヌス様は、死亡を確認した後、他の騎士に的確な指示を出している。


その騎士たちが指示によってその場を離れ、キアヌス様が一人になった頃を見計らって、アイシス様は傍に駆け寄ると、そのフードを取って顔を見せた。

キアヌス様は突然戦場に現れたアイシス様をみて、驚きの表情を隠せない。


「アイシス様・・どうしてこんなところに・・」


「キアヌス様は脚に怪我をされているようですね」


アイシス様がキアヌス様の右太もも辺りから流れ出る血を、冷ややかに見つめながら流れるような仕草で言う。

キアヌス様がまるで叱られた子供のように、硬直したまま固唾を呑んだ。


「あれほど怪我はなされないようにと、言っておきましたのに・・・」


うわー。これ恋人同士の会話なの?どう見ても蛇とそれに睨まれた蛙にしか見えない。それか、SMプレイ?

私は少し距離を置いて、二人の様子を見守る。


「す・すみません」


絞り出すような声で、謝罪する。

うわー。キアヌス様だって騎士様だよ!しかもかなり腕がたつってユーリス様がいってた。その彼をいいように操るアイシス様。やっぱり女王様だよね。

っていうかそういえばキアヌス様ってアイシス様の奴隷だったっけ。

私は納得した。


「今回はすぐに治して差し上げますけど、次はそうはいきませんわ。わたくしとの約束を覚えてらっしゃって?あなたの怪我は、わたくし以外の方に治すことを許しません。なのでキアヌス様は怪我をしないようにしていただかないと、困るのです」


「・・・はい」


うわー最悪なことを言われているのに、キアヌス様。恍惚の表情でアイシス様を見つめている。

キアヌス様ってそういう方だったんですね。うん。さすがユーリス様がアイシス様にと選りすぐった騎士様だわ。


でもアイシス様のそれまでの取り乱した様子を思い出すと、キアヌス様に対してまんざらではないのが分かる。


私は二人の邪魔にならないように、そっと近くにあった岩に腰掛けた。

しばらくしてアイシス様が戻ってきたので、こっそり二人で物陰に入ってから転移魔法で、アイシス様のお屋敷の地下に戻ってきた。


その後の記憶はあまりないが、まるでゾンビのように侍女が用意してくれていた寝室に入り、すぐに眠りについた。




疲れた。今日はとにかく何も考えずに寝てしまおう。ぐうぅ。


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