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アルの正体

そう決めた途端、きびすを返して走り出した。彼には魔力がある。普通に逃げてもすぐに捕まる。

すぐ前で立ち竦んでいる騎士が連れてきたであろう馬に、動いてと念じながら手を触れる。

突然時間が動き出し、しかも周囲は時間が未だ止まったままだという違和感を動物的本能で察したらしい馬は、興奮して前足を上げて暴れだす。


ちょうどその馬の陰になるようにして、アルの視線から逃れる。私は手当たりしだいの動物に触れ、時間を動かす。

魔獣の時間を戻しても良かったのだけど、そうしたら傍にいる人たちが傷ついてしまう恐れがある。考えろ。

どうすれば逃げきれる?


「クラマ。待ってくれ!これには訳がある!!」


思ったより近くで、アルの声が聞こえた。もっと遠くへ逃げなくては!!もう二度と神殿には戻りたくない!

小さな瓦礫の隙間を潜り、裏通りを抜けて広場に出てくる。その間、逃げ惑う人や怪我をして倒れている人を大勢見かけた。

その人たちに当らないように気をつけながら、走って行くとそこに見知った安心する顔を見つける。


「ユーリス様・・・」


ユーリス様が金色の鎧に身を包み、前方に剣先を突きつけ、その先からちょうど膨大なエネルギーを放出しようとしているところだった。大きな光の塊が、剣のすぐ手前1メートルくらいのところで止まっている。

その先にあるものに目を向けると、戦慄で体の動きが止まった。

誰に聞かなくてもわかる。これが大魔獣だ。先ほどの魔獣とは桁が違う、その5メートルもありそうな大きさもさることながら、その胴体からは3つの頭がでている。その真っ赤な口からのぞく獰猛な牙と、そこから今にも発せられようとする巨大な炎の固まり。

大魔獣が災害だと揶揄される意味を、今更思い知らされた。


あまりの迫力に呆然と立ち尽くしていると、背後にアルが迫ってきていたのに気づく。


「こないで!!」


「クラマ・・・」


振り返り、後ろに抱えていた剣を手に持ち威嚇する。

魔法は使えなくても、剣の腕には自信がある。もし今、私を殺せば時が二度と動き出さないかもしれないリスクを踏まえてまで、私の命を取りにはこないであろう。

アルは私の姿をみとめてからその歩を緩め、ゆっくりと私に近づいてこようとしている。


「やめて!!とまって!!アル!!」


「クラマ。今まで隠していて悪かった。きちんと説明をするから聞いてくれ。危ないからその剣を降ろしてくれないか。オレはお前に魔力を使うことはしない。信用して欲しい」


「ダメ!こないで!!信用なんてできない」



アルはそのまま、歩みを止めずに近づいてくる。

私はパニックになってきた。このままじゃ捕まる、もう神殿にいたときのような目にあうのは嫌!!

私は剣を構えたまま、ゆっくりと後ずさる。そこに銅像のように立ったままのユーリス様に、背中が一瞬触れた・・・と思ったら、ユーリス様の時間が動き出した。


その剣から放たれた膨大なエネルギーの塊は、そのまま動きを止めたままの大魔獣に向かっていく。静寂のとばりを破り、いきなりの大音量が空気を揺るがす。


大魔獣はその攻撃をまともに受けた。


ユーリス様は大魔獣に攻撃が当ったのを確認し、次の反撃に備えて構える。


しかしその時はじめて、時が止まっていることに気がついたようで、周囲を驚きの顔でゆっくり見渡す。

そして私の存在を、驚愕の表情で見とめた。



「・・・嘘だろ・・・クラマどうしてこんなところに・・・」



「ユーリス様・・・」

ここで一旦きります。前編です。後編はまた月曜日の朝にします。

読んで頂いてありがとうございます。

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