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ユーリスの惚気

クラマ・・・ではなく、セシリアをルベージュ子爵の屋敷に迎えに行ったら、彼女はアイシスの後ろに隠れるようにして現れた。

なんだか恥ずかしがっているようだった。その様子もとても可愛くて、愛しさがつのる。

隣に居る部下のキアヌスは、アイシスの美しさに息をのんで立ちすくんでいる。

早くアイシスの手を取り挨拶をかわしたそうだが、上司の私が話し始めるのを待っているらしい。

あいつならアイシスとうまくいくに違いない。私がアイシスにと選びに選んだ男だ。


「今晩は。お嬢様たち。アイシス。セシリア嬢の今夜の装いは、君が選んだそうだね。ああ、セシリア。はやくその姿を見せてくれないかい?」


おずおずとアイシスの影から、自信がなさそうにでてきた彼女に、息が止まってしまうかと思った。

いつもの金色の髪ではなく、夜の海のように光輝く黒の髪に、潤んだ黒い瞳。その黒に映える白い陶磁器のような透き通った肌。

それが淡い黄色のドレスの相乗効果で、この世のものとは思えないほどの美しさを放っていた。

ピンク色の薔薇のような唇から、言葉が音楽のように紡がれる。


「ユーリス公爵様、今夜はお迎えに来ていただき、ありがとうございます」


「・・・・」


「あら。ユーリス様。あまりのセシリアの美しさに、見惚れておしまいになったのね」


アイシスの言葉で、我に返った。

それからのことは、あまり記憶にない。セシリアの手を取ったまま馬車に乗り、今回招待を受けたデュッセル伯爵の邸宅に到着しても、その手を握ったままでいた。


セシリアは凛とした品のある佇まいで、なんの問題もなく招待主のデュッセル伯爵とその婦人に挨拶する。

完璧だ。完璧な女性だ。


セシリアが広間に現れた途端、空気が一瞬凍ったのを見た。たくさんの男達が、彼女に目を奪われて姿を目で追い続けている。

彼女が他の男に見られていると思うだけでも、嫉妬でおかしくなりそうだ。そいつらを殺気を込めて睨みつける。


私が彼女に腕を絡ませるだけで、その白い肌が桜色に染まる。

ダンスを踊っている間中、彼女の顔を見つめていたら、セシリアの笑みがかえってくる。


ダンスのマナーなので、そうしているのだろうが、私を見つめ続ける二つの双眸に、彼女の想いが私にあるのではないかと、錯覚しそうになる。


胸の高鳴りで、押しつぶされそうになる。

彼女がこの腕の中で居るというだけで、こんなにも幸せな気持ちになる。



このまま時が止まればいいのに・・・そう思った。


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