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異世界召喚 まさかの聖女がふたり?!

高い所に位置する繊細な絵が描かれた天井壁画、それらを包み込むように配置されたステンドグラス、荘厳な装飾がされている祭壇。色とりどりの花束。いつかテレビで見たようなヨーロッパの教会そのものの景色に、心臓の音がどんどんと大きくなっていく。


夢・だよねえ。だってさっき私は、剣道都大会で見事、高校2年女子の部で優勝を飾った祝勝会の帰り道だったのだから・・・。


倉島 桜は17歳 御堂第一高校2年生 剣道部所属。倉島流剣道師範代の祖父の鬼指導の元で、剣道に関してはほかに追随を許さぬほどの腕前になっていた。今年も都大会優勝を難なく勝ち取り、剣道部の仲間と祝勝会の帰り道、突然自分をおそった事態にまだ現実を感じれ得ないでいた。


それもそうだろう。夕暮れ時、ほのかに薄暗くなっていく良く知った道路を歩いていたら、突然見えていた景色が陽炎のように揺らいだかと思えば、次に現れたのはさんさんとそそぐ陽光と、荘厳な建物。そして桜を取り囲むようにして立ち歓声を上げる、灰色の聖衣をまとった総勢20人ほどの人々の視線をいっせいに浴びていたから。


彼らは一様に灰色の眼と灰色の髪をしていて、フードを深くかぶっている。そして口々に同じ言葉を繰り返していた。その目は感動に包まれ、余りの衝撃に立ちつくしていた。


「・・・聖女さまだ!!」


「聖女様が、お二人も…!」


なんなんだ、このコスプレ集団は・・・!!?映画の撮影かなんか!!?

この感じだと、私が聖女って事なのかな?

聖女って聖なる女って事だよね・・・まあ言われて悪い気はしない。うん。


ん?ふたり?


周りを見渡すと、隣にふわふわの茶色い髪で薄茶色の大きな眼をした、可愛い女の子がうずくまっていた。ピンク色のワンピースを着ていて、またそれが良く似合っている。そしてその女の子の前に膝を折り、その


可愛らしい小さな手をうやうやしく自身の手に重ねている人物が見えた。

その人物は一人だけ、オレンジ色の聖衣を着ていてすぐに一番偉い人だと分かった。

すご~い! かっこいい~!映画のワンシーンみたいだよ。

可愛い女の子にひざまずく、イケメン!!


その鮮やかな衣からふさりと銀色の腰まで長い髪をたらして、まるで彫刻のように整った顔は、天国にでもきたのではないかと思わせられるほどに神々しく光り輝いていた。


そのイケメンが、口を開いてその女の子に向かっていった。


「聖女さま。私は大神官長のセイアレス・クローネ・シュールビアンと申します。お会いできて光栄です」


「あ、はい・・・ 高木 ゆいかです。よろしくおねがいします」


まるで少女漫画から抜け出てきたような美少女が、ワントーン高い声で可愛らしく答えた。

う~ん。変わった夢だけど、この展開だと私も聖女でいいのかな?

うわぁ。恥ずかしい。17歳にもなって、聖女様に選ばれる夢なんて誰にもいえないかも・・。


そんなことを考えながら、にやにや笑いがこみ上げてくる。

むかし親友の文香から借りて読んだ乙女小説の内容とそっくりだ。きっとチートな聖女限定の魔法とやらで、ばったばったと魔獣を倒しつつ、イケメン男子に囲まれてきゃっきゃ、うふふの展開になるに違いない。


現実の世界じゃ、私に言い寄ってくる男なんていなかったもんね。剣道で国体優勝だって言うと、みんな引いてたわ。


だけどこの時、私はまだなにも気が付いていなかった。これからの自分の運命を・・・。まさかこれが夢ではなくて、しかも魔力ゼロ展開で聖女不合格の烙印を押され、神殿からたたき出されることになるとは・・・。


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