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『デートコースのサーチを開始……』

「…………」


 ツッコミたいのにツッコミで時間が取られるのを考えて黙っておく。


 スマホから目に見えない魔力が放たれこの迷宮の道を読み取っていく。波の届く半径500Mの範囲で常時スマホに投影される。


「ほぼ真っ直ぐだな」


 進んでいくと途中、行き止まりの横道がいくつか見つかったがそこは無視して進む。しばらく進むと、スマホからラランの声が聞こえてきた。


『この先に私達のデートを邪魔する魔物がいるわ』

「……了解」


 デートじゃねえよ! その言葉を飲み込み、腰のホルダーからハンドガンを抜き出す。


 ハンドガンにはグリップに宝石のような物が埋っていて掌に当たるようになっている。ここから魔力をすいとり、魔力弾として打ち出される仕組みになっている。魔力の少ない一般人はこれで打ち出すとしても2発も撃てない。僕は教本通り両手で保持してゆっくり歩いていく。


 奥から歩道でも歩くように警戒することなく歩いてくる人影が見えた。その体の中心に向けて引き金を引く。爆竹を鳴らしたような音がして人影は体を折り曲げる。もう一回引き金を引き、銃口をそらさないまま近づく。


 それは腹から赤紫の血を流して踞っていた。緑色の肌に醜悪な顔。口からはみ出した乱杭歯をギリギリと歯軋りさせながらこちらを睨んでいる。


 その顔に魔力弾を撃ち込みとどめを差した。


『ふん。私達のデートを邪魔するからこうなるのよ』


 ちげぇよ!


「……回収を頼む」

『ハーイ』


 スマホを向けると砂のようの崩れ、画面に吸い込まれる。


『ゴブリン。魔力量25』

「訓練用だし、これ位かな」


 一般人の魔力量は平均で10。迷宮の中では魔力量で強さが決まる為に一般人は入ることを禁止されている訳だ。それでも迷宮産の素材目当てに入ろうとするバカもいる訳だが。


「魔力の波長は録ったか?」

『チャンと録りました。画面にあげるわね』


 スマホに地図と一緒に赤い点が浮かび上がる。複数重なるようにしてある所も見える。


「そこまで大変じゃなさそうだが、慎重にいくか」


 その場で特殊な呼吸法を行う。これによって魔力弾によって無くした魔力を取り戻す。


 その後はなるだけ1対1になるように心掛けてゴブリンを倒していった。


 そして1時間後、最奥にある扉の前にたどり着いた。




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